ボスという猫

2010年10月25日 23:58

AM06:10
今日も2時間ほどで布団から出た私は、覚醒しないまま雨上がりの湘南海岸へ足を運んだ。

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上空にはまだ鈍色の雲が残っていたが、ふと西の空に目をやると、青空が覗き月が顔を出していた。


海岸へ出た私は、食事中のボスを発見した。
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ボスはTさんから貰ったカリカリを味わうようにゆっくりと食べていた。


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食事中のボスの側にいるうち、天気が急速に回復してきた。


食べたら出す、これは自然の摂理だ。(この時は小の方だったが)
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猫は自分の排泄物をちゃんと後始末する行儀のいい動物である。
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この行為から『ねこばば』という言葉が生まれたのを、猫は不本意なことだと感じているはずだ。
「そうだよな、ボス」



このメスのキジトラをボスと名付けたのはdodoさんだ。
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去年までは私のブログにも頻繁に登場していたボスだが、今年なってあまり姿を現さなくなり、人を避けるようになってしまった。


去年の秋頃から急に痩せはじめ、今もお腹周りはへこんだままだ。
それ以前のボスを知るTさんが「昔と比べると体が3分の2くらいになった」と言う。

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ボスは、痩せた体を私にすり寄せてくる。
その痩せこけたボスの体を撫でているうちに、私は急に切なくなってきた。



私がボスと初めて会ったのは、一昨年の夏の終わり頃だと記憶している。
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その頃は健康的な体を持った美しいレディーだった。


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この場所は本来のエサ場から少し離れているため飲み水は用意されていない。
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そこで仕方なく雨水で咽を潤すボス。


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猫は好んで雨水を飲むが、よく腹を壊さないものだといつも感心している。
ストレスで簡単に穴が開く、私のひ弱い胃袋などとは比べ物にならない丈夫な胃腸を持っているようだ。



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明るくなっていく東の空を見つめてボスは何を想っているのだろう?
3年前に急死した兄弟を思い出しているのか、それとも近くに棲みながら逢えぬ母を想っているのか‥‥

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私はそんなボスの体を、慈しむように撫でた。


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ふり返ったボスの表情は、いかにも寂しそうだった。
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独りでいるボスを残して去るのが忍びなく、後ろ髪を引かれる思いで私は海岸を後にした。


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故郷に届いた訃報

2011年11月13日 23:00

灰色の雲に覆われた湘南海岸‥‥。
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故郷から帰ってきて以来、これが二度目の海岸訪問だ。


そこで懐かしい人に遭遇した。以前はミケのエサ場でよく会っていた“猫おばさん”だ。
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そしてこのキジトラも久しぶりの登場になる。やはり同じキジトラのボスの母猫だから“ボス母”と呼んでいる海岸猫だ。


ボス母は警戒心の強い野良で、心を許したニンゲンにしか近づいてこない。
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こうして猫おばさんが側に付き添っていないと、食事もしないほどだ。


以前、私にも体を触らせてくれたが、今の彼女の様子から、それを期待するのは無理だと思われた。
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「それ以上近づかないでよ」彼女の体からは、そんな無言のプレッシャーを感じる


私が側にいても逃げないのは、猫おばさんの存在があるからだろう。
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まだ猫おばさんに甘え足りないのか、ボス母はいきなり地面に横たわった。


どういう理由か分からないが、数ヶ月前に棲む場所を娘と同じこのエリアに移動したボス母。
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果たして彼女は、同じエリアに棲む娘のボスの身に起こったことを理解しているのだろうか?


10月6日、ボスは近くを走る国道で車に撥ねられ、その生涯を閉じた。
その訃報がdodoさんからもたらされたのは、私がまだ故郷にいたときだった。


ボスは住み慣れた防砂林の隅で永遠(とわ)の眠りについていた。
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この手厚い葬られ方を見ても、この野良がいかに多くの人に愛されていたかが分かる。
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「長年海岸で暮らし、車の恐ろしさを知っていたはずのお前が、何故‥‥」


去年の冬‥‥。
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日の出前の薄明かりの中、私の足許にいきなり現われたときは驚かされた。


「こんなに暗いのに、どうして私だと分かったんだ?」
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私がしゃがむと、お前は何度も何度も体をすり付けてきたなぁ。


そして今年の春‥‥。
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やはり早朝に出会った時のこともよく憶えている。


エサは食べるのに痩せたままのお前は、私が与えた猫缶の味を確かめるようにゆっくりと食べはじめ‥‥、
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結局、一缶全てを食べ尽くした健啖ぶりにも驚かされたものだ。


そんなお前との思い出のなかでも、特に印象に残っている情景がある‥‥。
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それは、物憂い表情で昇り来る朝陽を見つめている姿だ。


東の空を同じ姿勢で、じっと眺めている痩せたお前の後姿を見るたびに、私は思っていた。
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お前は新たな一日の始まりに、何かを願っているのか、と。そして、もし願っているなら、それが叶えられるといいな、とも。


過酷な海岸での生活はさぞ辛かったろうな。そんな中にありながらも多くの人へ癒しを与えつづけてくれてありがとう。
そして‥‥、

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サヨナラ‥‥ボス。


墓前に向かった私は、ボスと会ったときにいつも報告していた言葉を呟いた。
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「ボス‥‥、3年前、このエリアから保護したあの茶シロは、家猫として元気にしてるよ」


「wabiさん、ひさしぶり~!」
道路に出た私に、いきなり声をかけてきたのはK夫妻だった。

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ふたりはボスの世話をしていたので、今回の急死には心を痛めているようだ。


猫おばさんに別れを告げた私は、K夫妻に同行してミケに会いに行った。
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今回の帰郷で、6月27日の一周忌に墓参出来なかったことを、まず詫びた。


Kおばさんは用事があるので、ここでお別れだ。
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残ったKおじさんが墓の周りを掃き清める。


それからミリオンを訪れ、久しく会いに来られなかった理由を報告した。
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Kおじさんと別れた私は海岸を東へ向かうことにした。私には早く会いたい海岸猫がいたからだ。
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ただ、その海岸猫には必ず会える訳ではないので、無駄足になることも覚悟していた。


ところが、私の想いが通じたのか‥‥、
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エリアに着いた私の目の前に見慣れた後姿があった。



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