新顔

2010年10月08日 21:33

PM 02:00
今日も湘南は季節はずれの夏日を迎えたが、陽射しは夏のそれとは違い柔らかく降りそそいでいる。

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PM 02:20 
重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン

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エサ場の外で体を横たえていたミリオンは、私の気配を感じると、ちらりとふり返った。


エサ場には私より先にIおばさんが食事を持ってきていた。
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しばらくすると、ミリオンを案じてHさんもやってきた。
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孤独なミリオンはこうして幾人もの人の世話を受けて暮らしている。


帰路の途中、見知ったカップルの姿が偶然私の視界に入った。
それはウータンさんとブースカさんだった。

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ふたりの視線を辿ると‥‥草むらの中に一匹の茶トラがいた。


私はこれが初見だが、この野良の存在は数人の人から聞いていた‥‥人懐こい茶トラいると。
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よく見ると、まだ幼い野良だった。


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ここ3週間あまりで、私は三匹の新顔に遭遇したことになる。
今月3日に植込みで再会した黒シロの年齢は定かではないが、先月28日に遇った黒猫とこの茶トラはこの春生まれたばかりだと思われた。
海岸にこれ以上遺棄された新顔が現れないことを、私は心から祈った。




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雨中の猫

2010年10月09日 23:58

PM 04:10
朝から降りだした雨は本降りになり、風に煽られ湘南海岸に銀色の斜線を引いている。
江ノ島は、模糊として灰色の靄の中に隠れ、その所在すら分からない。

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PM 04:20
新顔の茶トラが居た場所。
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植込みの側に昨日なかったはずの傘が2本、バケツの水を護るように置かれていた。
おそらく幼い茶トラのためだろうと思われた。



私が舌を鳴らすと、どこからか悲しそうな猫の鳴き声が聞こえてきた。
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その声を頼りに防砂林の中へ入っていくと、果たして植込みの中に茶トラがいた。


私が側に寄ると、茶トラは鳴くのを止めその眼に警戒の色を灯した。
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まだ幼い野良のため、私はできるだけ易しい猫語で話しかけた。
「お前は、いったいどこから来たんだ?」「寒いならこっちへおいで」



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しかし茶トラは口を閉ざして何も応えようとしない。


雨を避けるためか、そのうち茶トラは居場所を替えた。
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しかしいくら生い茂った潅木の葉でも、この雨を完全に防ぐことはできない。


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私が見ている間にも茶トラの頭上からいく筋もの雨が落ちてきて、その体をしとどに濡らしていく。


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茶トラは堪らず雨に濡れた体を舐めはじめた。


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この状態だと、今夜は眠ることもできないだろう、
どうにかしてやろうにも、植込みの奥から出てこない以上私には手の出しようがなかった。



PM 05:20 
重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
人っ子ひとり通っていない雨のサイクリングロードを、私はミリオンのエサ場へ向かっていった。

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しかし、エサ場にミリオンの姿はない。


こんな雨の中、ミリオンに出かける用事はないように思えるが‥‥
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ただ小雨模様だった早朝にミリオンを訪ねたゆきママさんから「私が与えたカリカリを全部たいらげました」と記されたメールを受け取っていたので過度な心配はしていない。


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夕闇が濃くなるにつれ江ノ島が姿を現してきた。


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帰路の途中茶トラを再び訪ねたが、最後に目撃した場所に姿はなかった。
その時、小さな鳴き声が私の左手から聞こえてきた。



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茶トラは雨に濡れた冷たい地面にうずくまり硬く眼を閉じていた。


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この雨は深夜にかけてさらに強くなると予報が告げていた。



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茶トラの支援者

2010年10月10日 21:51

昨日からの雨は、夜通し降りつづいた。
眠ることもできず、冷たい雨に震えていた茶トラの姿が私の脳裏から離れなかった。



AM10:10
茶トラのことが気になった私は、睡眠剤のせいで完全に覚醒しない体を自ら叱咤しながら海岸へ赴いた。
私が舌を鳴らして呼ぶと、茶トラはすぐに姿を現した。

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茶トラは私よりずっとスッキリした顔でこちらを見つめている。


そして、いきなり激しく鳴きはじめた。
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最後には叫ぶように大きな鳴き声をあげた。
「これだけの大声を出せる元気があるなら、心配することはない」私は安堵した。



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最初は私を警戒していた茶トラだが、甘えた声を発しながら徐々に近づいてきた。


腹が減っているかと思い、まずは持ってきたカリカリを与えた。
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茶トラは、トレイに移したカリカリを貪るように食べはじめた。


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カリカリを食べ終えた茶トラは、警戒した様子でトレイから離れていった。


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残されたトレイを覗くと、見事に完食していた。


そこへ猫好きおじさんがやって来た。
茶トラのために2本の傘を置いたのは、このおじさんだった。

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猫好きおじさんが、新たな食事をカリカリと一緒に食器へ入れた。


それは食パンを小さくちぎったモノだった。
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茶トラの側へ食器を差し出すと、これもまたガツガツと食べだした。


そこへ今度は、初老の女性が自転車に乗って茶トラを訪ねてきた。
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この女性、どうやら茶トラとは親しい間柄のようだ。


その女性の手から直接チクワを貰う茶トラ。
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器用に食べるものだと感心していると‥‥
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ポロリと地面に落としたりするから、猫は可愛い。


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場所を替えてチクワを食べようとするが、茶トラはさっきの失敗が頭にあるのか、つい前足を出してしまう‥‥こういう仕草もまた可愛い。


その女性が、来たときと同じように自転車に乗り帰っていくと、茶トラはその後ろ姿を名残惜しそうに見送った。
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そうしてしばらくの間、その場で佇んでいた。


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何を思ったか、茶トラはいきなり地面に転がった。


その茶トラが見つめる頭上に目をやると‥‥、
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白い雲の合い間から青空が覗いていた。


PM 03:20
午後、予報より早く天気が回復した海岸へ、私は再び足を運んだ。

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海岸101010-02.jpg


重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
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ミリオンの姿はなく、エサ場の中は静まり返っていた。





AM9:50
午前中に茶トラのところへ行く途中、ボスの姿が目に入った。

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数ヶ月ぶりに間近で見るボスは何だかやつれていた。


持っていたカリカリを与えると、すぐに食らいついた。
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食欲がある様子を見て安心したが、痩せた体がやはり気にかかる。


私の顔を思い出したのか、ボスは痩せた体をすり寄せてきた。
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そんなボスの体を、私はいたわるように撫でた。


カリカリのお代わりをトレイに盛ってやると、ボスは味わうようにゆっくりと食べた。
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「ボス、今度から食べ物を持って来てやるから顔を見せろよ」



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葉っぱの首輪

2010年10月11日 23:59

PM03:30
夏日を記録した湘南海岸には紺碧の空から強い陽射しが降りそそぎ、夏に逆戻りした錯覚をおぼえる。

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捨て猫の茶トラ
私がいくら呼んでも出てこなかった茶トラが、どこからともなく姿を現した。
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それは、心を許したこの女性の訪問を知ったからだった。


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今日もチクワを手ずから貰う茶トラ。


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この女性は親しみをこめて茶トラのことを「チャチャ」と呼び、茶トラもその呼びかけに応える。


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食事が終わったら、お遊びタイムの始まりだ。


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猫じゃらし代わりに草を眼の前へ差し出すと‥‥


すぐに茶トラは反応した。
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まだまだ遊び盛りのこの幼い野良にも同い年の兄弟がいたはず‥‥


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捨てられずに家猫のままでいたら毎日遊んでくれただろう兄弟を、茶トラは思い出しているのかもしれない。


女性が歩くと茶トラも歩調を合わせてついていく。
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そして女性が立ち止まると、茶トラも立ち止まる。


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その様子を見ていた私の目には、まるで生き別れた母猫の面影を茶トラが追っているように映った。


茶トラは女性から素敵なプレゼントを貰った。
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それは葉っぱの首輪だった。
そうされても茶トラは嫌がりはしないが、何故か寂しげな表情でこちらを見た。










これから数分間の写真は、1枚もない。

理由は私にその余裕が全くなかったからだ。

茶トラが心から信頼しているその女性に協力を頼み、私は茶トラの捕獲を試みた。

この茶トラの里親が見つかったからだ。

しかし幼い野良の必死の抵抗は想像以上で、危うく取り逃がすところだった。

用意した洗濯ネットに押し込める時、私は渾身の力を振り絞った‥‥

それくらい茶トラの力は強かった。












キャリーケースの中に囚われてからも、茶トラは怒りの鳴き声を上げつづけた。
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捕獲の際、女性は茶トラの牙で手に傷を負ってしまった。
私の手渡したティッシュが鮮血でみるみる染まっていく。
可愛がっていた茶トラの信頼を失うだけでも彼女にとっては苦痛だったはず‥‥。
彼女の心中を忖度するにつけ、私は本当に申し訳なかったと心から思い、そして感謝した。



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この捕獲にはTさんも協力してくれていた。洗濯ネットもキャリーケースもTさんが用意したものだ。


茶トラと最後の別れをする際「野に暮らしても良いことないのよ」と諭すように彼女は言った。
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そして1度もふり返らず、その場をあとにした。


その女性の後ろ姿を見送った茶トラは、悲しげな声で泣きつづけた。
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しばらくすると泣き疲れたのか、茶トラは無言で女性が去った方を見つめるだけになった。


茶トラはこれから自分がどうなるのか、その運命を、まだ知らない。
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私はそんな茶トラに言った。
「お前はもう冷たい雨に濡れることも、凍てつく風に震えることもないんだよ」





重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
茶トラを里親さんに届けるため、今日はミリオンのエサ場へ行くことができなかった。
しかしゆきママさんから、午前9時頃訪ねたらエサ場の奥にいて食欲もあったという報告が届いている。




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