海風に抗って

2011年03月29日 21:30

東日本大地震が起こるホンの少し前のお話‥‥


海風が哮り声をあげながら湘南海岸のあらゆるモノを揺るがしていた。
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海は荒れ、波が白い波頭を立てて打ち寄せては、岩礁に大きな飛沫をあげる。


船宿エリア
海風は船宿へも容赦なく吹きつけている。
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ミイロはそんな海風に独り身を晒していた。
「何しているだミイロ、こんなところで。寒くないのか?」



マサムネとシシマルは海風から避難していた。
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そこへ風に吹かれてシズクがやってきた。
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「シズク、こんな日はあちこち嗅ぎ回らないで大人しくしてた方がいいぞ」


海風は弱まるどころか益々その勢いを増してきた。



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ミイロも皆に倣って船宿の玄関先へ避難してきた。


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そのミイロが見つめる先‥‥そこはカポネのねぐらがあった場所だ。
以前ならこの道を悠然と歩いてきたカポネだが、ある日を境に突然姿を消してしまった。



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新入り仔猫が私の足元で盛んに鳴声をあげる。


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黒豹を彷彿とさせるクロベエだが、実際は至って穏やかで気の優しい野良だ。
私が見ていて気の毒なほどに‥‥。



クロベエがすぐに船宿へ近づくことはない。
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いつもこうして離れたところから様子を窺う。


そのクロベエの被毛を海風が翻弄する。
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それでもクロベエはジッとうずくまったままだ。


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シズクは海風を避けて船宿の水場に身を潜める。


新入り仔猫も不安げな顔で動かない。
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野良たちが無聊に苦しみはじめたその時だった‥‥。


海風に抗うようにTANYさんが船宿へやってきたのは。
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TANYさんは近づいてきた新入り仔猫に「ゴメンね、今日は猫缶持ってこなかったんだよ」と言った。
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そして申し訳なさそうに新入り仔猫を撫でた。


TANYさんの誘いに乗るのはいつもミイロと新入り仔猫と決まっていた。
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その様子をじっと見つめるマサムネ。
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TANYさんもマサムネの視線に気がついたようだ。


「お前も遊びたいの?」とTANYさんがマサムネに水を向けた。
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今年6歳になる大人のマサムネだが、TANYさんの誘いにすぐさま乗っかった。


TANYさんもそのマサムネの反応に「いやぁ、この子が遊ぶとは思わなかった」と嬉しそうに笑った。
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小枝のジャラシで無邪気に遊ぶマサムネを見て、私は無性に切なくなった。


「お前はこういう風に遊ばせて貰うことなんて、今までなかったんだよな‥‥」
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「過酷な生活にお前自身もそんな余裕はなかったはずだ‥‥そうだろマサムネ?」


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野良たちと遊んだTANYさんは「今日は寒いから、これで帰ります」と言って立ちあがった。


そして新入り仔猫を優しく撫でながら「またね」と言った。
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TANYさんの後ろ姿を見送りながら、私は思わず呟いた。
「TANYさん、猫缶なんて持ってこなくてもいいんですよ。それより素敵なモノを両手いっぱい持ってきてくれたんだから‥‥」



船宿前は再び強烈な海風の音に支配された。
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これは以前紹介した『陰湿なトラップ』だ。
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だがよく見ると、手前の釘だけが人為的に曲げられている。
この釘の意味するところは実に明快だ。つまり手前の家の人が野良たちを傷つけるかもしれない陰湿なトラップをひん曲げたのだ。それも律儀に自分の敷地の分だけ‥‥。



陰湿なトラップを見れば分かるように、此処に棲む野良たちの存在を快く思っていない近隣住民がいる。
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でも逆に野良たちを温かく見守っている近隣住民もいるのだ。


その時、強い海風に抗ってやってきたのはキュウさんだった。
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キュウさんは乱れた髪を直しながら「こんな日は外に出ちゃダメ、家に居るべきよ」と後悔の言葉を口にした。


実はキュウさんと此処で会う約束をしていたのだ。ただその約束を交わしたのは海風が吹く前だった‥‥。
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キュウさんが来たことを知った野良たちが水場に集まってきた。


ところが、いきなりクロベエとシロベエの間に不穏な空気が流れはじめた。
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シロベエが威嚇の唸り声をあげた。クロベエはただ身じろぎもせず、その場で身を硬くしている。
この2匹の間に何があったのか‥‥側にいた私たちにもまったく見当がつかない。



後ろ脚を脱臼して戻ってきた直後はひどく怯えて萎縮していたシロベエだったが、最近はやたらと仲間と諍いを起こすトラブルメーカーになってしまった。
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怪我をするほど酷い喧嘩でない限り野良の諍いは仲裁しない。何故なら私たちが一時的に止めても根本的な解決にならないからだ。


それに多くの場合、威嚇し合うだけで収束に向かう。今回もそうだろうと思った次の瞬間だった‥‥。
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2匹が縺れ合ったまま跳びあがったのは!


場所を替え再びいがみ合う2匹‥‥。
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このままでは何時まで経っても収まりそうもないので、仕方なく割って入った。
しかし特攻隊長のミイロが参戦しないのは珍しいことだ。



キュウさんが取り出したのは、彼女お手製の猫用おやつだ。
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その正体は鰹のたたきを茹でたモノ‥‥。海岸猫の前に舌鼓を打つキュウさんちのニャンズの様子はこちら。


匂いを嗅ぎつけ、真っ先に食らいついたのは新入り仔猫だった。
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二番手は特攻隊長のミイロ‥‥。


茹でた鰹のたたき‥‥。
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おそらく此処の野良たちは初めて口にするモノだろう。


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猫によっては食べ慣れないモノに目もくれないことがよくあるのだが‥‥。


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食材が良いのか、キュウさんの腕が良いのか‥‥口にしていない私には分からないが、野良たちには好評のようだ。


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マサムネの場合、初めて口にするモノであろうがなかろうが、食べるスピードは飽くまでもスローペースだ。


トラブルメーカーのシロベエも鰹のたたきが気に入ったようだ。
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新入り仔猫以外は皆脇目も振らず黙々と食べつづけている。


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キュウさん手作りの鰹のたたきは、欠片も残さずキレイに売れ切れてしまった。


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海風は勢いを弱めず、その後も吹き荒れつづけた。



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信じるモノが何であれ、とどのつまり私たちはまた歩き始めなければならないのだ。
涙を流しながらでも‥‥。



『上を向いて歩こう』 唄:坂本 九

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カポネは何処(いずこ)へ

2011年03月27日 19:30

東日本大地震が起こる数日前のお話‥‥


雨上がりの湘南海岸‥‥。
上空には厚い雨雲が居座り、一筋の陽射しも届かない。

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手がかじかむほど冷えこむ砂浜に人影は見えない。


船宿エリア
船宿前にSさんがいた。何故午後のこの時間にいるのか、私は訝しく思った。
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そのことを尋ねると「朝は雨が降っていたせいで野良たちが集まらなかったから、午後もう一度出直したんだ」とSさんは言った。


Sさんの言葉を聞いた私は、此処の野良たちは幸せだなと思った。
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さらに漁港に棲む野良が気ががりだと言いSさんは出向いていった。


クロベエは縋るような眼でSさんの姿を捜し求める。
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「クロベエ、心配するな、Sさんはじき帰ってくるよ」


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相変わらず私を見つめるマサムネの視線は刺すように冷たい。


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「シシマルよ、お前は食べている時が一番幸せそうだなぁ」


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コユキを見る度、私はついミリオンを想い起こしてしまう。


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マサムネがカリカリを食べている。いつものように一粒一粒味わいながらゆっくりと‥‥。


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思ったより早くSさんが漁港から戻ってきた。


訊くと「エサは余すほどあって、ねぐらまで置いている。あれなら安心だ」とSさんは独りごちるように言った。
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そしてねだられるまま、新入り仔猫に追加の猫缶を与えた。


Sさんの後を追うように『浜の伊達男』が帰ってきた。
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コジローは出張っていた漁港でSさんと遭遇したのかもしれない。


そこへ仲良し夫妻がやってきた。カポネが戻っていないことを知った二人は落胆の色を露にした。
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ご主人に目ヤニを取られるマサムネはジッと耐えている。
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奥さんはまるでグズる赤ん坊をあやすようにマサムネを抱きかかえる。


生粋の野良がこうして大人しく抱かれるのは稀有なことだ。
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屈託のないマサムネがいつもより幼く見えるのは私だけの錯覚だろうか‥‥?


マサムネは辛うじて残った右眼で辺りを眺めはじめた。
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私は時々考える。マサムネたち野良の眼には我々の世界がどう映っているのだろうかと。
そして自分たちをこんな境遇に追い込んだニンゲンをどう思っているのか、と‥‥。



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いつの頃からかシシマルがシロベエを警戒するようになった。
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こういう状況になると、シロベエは争いを避けてソッと離れていく。
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数ヶ月前に遺棄されたミイロ‥‥ココを終のすみかにする覚悟を決めたのだろうか?
信じていたニンゲンに裏切られた彼女の心を想うと、切なくなると同時に気が咎める。



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世話を終えたSさんが帰ってゆく。Sさんはこうやって毎日往復40分かけて野良たちの為に船宿へ通う。
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そのSさんを塀の上から見送るコジロー。


この野良はクールな面差しから受ける印象どおり何かと目端が利き要領がいい。
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コジローが人間なら出世街道を駆け登っていることだろう。


ただ私はこの手のタイプが大の苦手で、猫だからこうして写真を撮るため側に寄るが、人間なら出来れば近づきたくない。
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この私の想いを動物の勘で察しているらしく、私に対するコジローの態度はたいていに於いてよそよそしい。


ベテラン野良であるカポネも何かを予見して身を隠したのだろうか?
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そして世の中が落ち着いたら姿を現すつもりなのか‥‥。


海岸での目撃情報がないことから、国道134号線を越えて街中へ行った可能性もある。
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私は国道を渡り住宅街に足を踏み入れた。


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猫が好みそうな場所が幾つかあったが、カポネはおろか他の猫の姿も見えない。


カポネが生きていけば、必ず何処かで食べ物を手に入れているはずだ。
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しかし国道を挟んで船宿エリアと隣接する住宅街にエサ場は見当たらなかった。


海岸に限れば、船宿エリアから一番近いエサ場は『西のエサ場』だ。
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西のエサ場
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このエサ場にはかつて十数匹の野良が暮らしていた。


ところが、いつの頃からか野良がいなくなり始めたのだ。
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病気がちな野良も多かったが、若い野良も何匹もいた。それなのに、何の前触れもなく次々と姿を消していった。


残った2匹の野良の姿も最近目にしていない。このエサ場に何が起こったのか‥‥誰も知らない。
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信じて貰えないかもしれないが、此処にはかつて十数匹の野良が暮らしていた‥‥。


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私たちが信じるべきなのは、形あるモノではなく、もっと不確かなモノかもしれない‥‥。

ジョン・レノンの言葉を理想主義者の世迷い言にするかどうかは、残された我々の行動で決まる。



* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

想像してごらん 天国なんてないと

やってみれば簡単だ

僕達の下に地獄はなく

上にあるのは空だけ

想像してごらん みんなが

今日のために生きていると‥‥


想像してごらん 国なんてないと

そんなに難しくないよ

何かのために殺したり、死ぬこともない

宗教もない

想像してごらん すべての人々が平和に生きていると‥‥


想像してごらん 財産がないのを

君にできるかな?

貪欲も飢餓も必要ない

人類はみな兄弟なのだから

想像してごらん すべての人々が

全世界を分かち合っていると‥‥


君は僕のことを夢想家だと言うかもしれない

でも僕は独りじゃない

いつか君が僕達に加わるといいな

そうすれば世界はひとつになるんだ

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


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クローン カポネ

2011年03月25日 14:00

東日本大地震が起こる数日前のお話‥‥


湘南海岸の上空には青空が広がっているが、吹く風は存外と冷たい。
いったい春は何処で足踏みをしているのだろう?

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危うく見逃すところだった‥‥。
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それにしても、惚けた顔をした野良だなぁ‥‥。


因みに、この野良は眼を閉じているわけではない。
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これがノーマルな状態なのだ。私の接近もその細い眼でしっかり確認している。


腹を減らしているのか‥‥試しにカリカリを与えてみた。
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この距離を保てば大丈夫だが、これ以上近づくとすぐさま逃げてしまう。


もう1匹も近づいてきたので、同じようにカリカリを与えた。
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このキジ白もこれ以上近づくと、警戒の眼を向ける。
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この2匹も決まった人の世話を受けているので、飢えている様子は見られない。


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ずんぐりした体型を見ると、健康状態は別にして栄養状態は良さそうだ。


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ただこのシャムミックスが一時期より痩せているのは少々気がかりだ‥‥。


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カリカリを食べ終えたキジ白が鋭い三白眼で私を睨んでいる。まるで、さいとうたかをが描くスナイパーのような眼つきだ。


狙撃されないうちに退散した方が良さそうだ。
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丸ペンで描いたような眼からは何も窺えないが、コイツも私を警戒していることだけは間違いない。
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此処の野良たちの信頼を得るには、もう少し時間が必要のようだ。
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船宿エリア
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この2匹‥‥ほぼ同時に遺棄されたからか、本当の親子のように仲むつまじい。


ミイロが首輪をしたまま遺棄されたのが、去年の11月25日。
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そして、その3日後に新入り仔猫が遺棄されたのだ。


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船宿の周りに野良たちの姿が見える。


マサムネがチラッと振りかえった。
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そこへコユキも姿を見せた。


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美しい被毛を持つアイも船宿前に姿を現した。


さらに、どういう風の吹き回しなのか、サビ三毛まで来ていた。
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この野良がいつ何処で生まれ、どんな境遇に育ったのか‥‥私は一切知らない。


2匹の野良が仲良く水上バイクの上にいた。
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逆光に目を細めてよく見ると、コジローとクロベエの兄弟だった。


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「クロベエ、お前にとっちゃ天敵だったカポネがいなくなってホッとしてるかい?」


カポネは元々このエリアの野良ではなく、去年の夏ころから顔を見せるようになった、言わば新参者だ。
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そんな新参者が行方知れずになったとて、気にすることはないということか‥‥。


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ミイロとマサムネが親しげに挨拶を交わす。


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そしてシンクロするようにカブリを振った。


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2匹の視線の先には散歩中のワンコの姿があった。


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コジローがこちらの様子を窺っている。私がいつキャットフードを取り出すか待っているのだ。


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マサムネは夕日に身を晒したまま黙想中だ。


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知らぬ間に、警戒心の強いコユキまで来ている。


ふと目を移すと、ミイロが新入り仔猫の体を舐めていた。
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まるで我が子を慈しむように優しく毛繕いをつづける。
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こういう光景を見ていると、この2匹を引き離すことなど出来ないと思ってしまう。


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ミイロに疎まれているクロベエまでが船宿へ近づいてきた。


これ以上野良たちを待たせるのも気の毒なので、持ってきたキャットフードを与えることにした。
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仲間が残したキャットフードを一手に引き受けているのはシシマルだ。
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そして相変わらずマサムネの食事はスローペースだ。


私が最後にカポネの姿を見てから、既に3週間が経とうとしている。
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頭と脚に負った傷もほぼ癒え、重油の汚れも取れてきた時期の失踪だけに気になっている。


居なくなる直前のカポネに特段変わった様子はなく、健康状態にも問題はなかった。
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サカリも落ち着いたように見えたのだが‥‥


このように、ある日突然行方知れずになる海岸猫は多い。
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そして‥‥たいていの場合二度と還ってくることはない。


カポネの頭のカサブタを切断したのは仲良し夫妻のご主人だった。
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そして、残った部分が剥げないように切り取ったそのカサブタの在り処も、奥さんがコメントで報せてくれた。


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もしカポネがこのまま戻らなかったら、このカサブタからクローンカポネを作製しようと考えている。


「それにしてもカポネよ、一言の挨拶もなしにいきなりサヨナラは冷たいんじゃないの‥‥」
今回お前の身に何が起こったのか私は知る由もないが、この失踪が凶兆でないことを祈るばかりだ。

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この顔を見たらご一報を‥‥!
但し、賞金は出ません。



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これから私たちは何を信じて生きていけばいいのだろう‥‥?


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新しい遊具 その弐

2011年03月24日 11:30

新し物好きのミイロは興味深そうにトレーラーを調べはじめた。
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そしてついにはトレーラーの下に座りこんでしまった。
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いつまで経っても動かないミイロに業を煮やした船宿のご主人が車から降りてきた。
ご主人に「危ないだろ!」と咎められると、ミイロはやっと重い腰をあげた。



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だがミイロが新たなモノへの関心を失くしたわけではない。


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ミイロは水上バイクを積載したトレーラーを凝視したままだ。


そのミイロが船宿を去るTANYさんの後を追った。
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ミイロは船宿へ遺棄されるまで人に飼われていた。だからだろうか、こうやって優しい人を慕うのは‥‥?


TANYさんも別れを惜しむようにミイロを遊びに誘う。
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まだ若いミイロはすぐさまその誘いに乗った。
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おそらく家猫だったときには、こうやって遊んでもらっていたのだろう‥‥。
「なのにお前は捨てられた‥‥」私はミイロの無邪気な様子を見るたびに、やるせない気持ちになる。



束の間とはいえ、船宿の野良たちへ優しさを与えたTANYさんが帰っていく。
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ミイロと一緒に戻った船宿に野良の姿はなかった。
「皆何処へ行ったんだ?新しい遊具にも飽きたのか‥‥」



何気なく駐車場を見やった私は意外な光景を目にした。
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船宿の駐車場には数台の水上バイクが置いてあるが、シシマルはこれまで一切関心を示さなかった。
シシマルが水上バイクの上にいるのを、私は初めて見た。



誰よりも早くこの新しい遊具に関心を示したミイロは、躊躇うことなく跳びのった。
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『RESCUE』と描かれたこの水上バイク‥‥通常のモノより高性能だろうと思われる。そしてまた、高額だとも思われた。


この水上バイクが如何なる理由で此処へ運ばれたのか私には分からないが、野良には分不相応な遊具であることだけは確かだ。
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私は祈った。シシマルが、シートで爪を研ぐことなどないようにと。


その祈りが通じたのか、シシマルがバイクから跳び下りた。
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ところが安堵したのも束の間、違う野良の姿がタンデムシートの上にあった。


「クロベエ、お前もか‥‥!」
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シシマルが去り際に振りかえった視線の先を辿ると‥‥。


此処にもう一匹、新しい遊具を好奇の眼で見つめる野良がいた。
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どうやら野良の男子の眼にも、この手の乗りモノは魅力的に映るようだ。


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水上バイクを見上げるマサムネの表情には警戒と好奇が入り交じっている。


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意を決してトレーラーの上に乗ったマサムネだったが‥‥


隻眼ゆえに距離感が掴めないのか、トレーラー上をうろうろと歩き回るばかりだ。
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新しい遊具で興じることを諦めたマサムネに代わって、母であるシズクが登場した。


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探究心の強いシズクは2台のマシンを仔細に点検している。


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ひと通り点検を終えたシズクは操縦席に座ると、得意満面で周りを見回した。


「おいシズク、いったい誰をレスキューするつもりなんだ?」
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出来れば、突然消息を絶った海岸猫の安否を確認してくれると嬉しいのだが‥‥。


今月に入って船宿へ姿を見せなくなった野良がいる。
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このエリアのどの野良に訊いても、誰もその行方を知らないという。


怪我が癒えてやっと元の状態に戻った矢先の失踪だった。
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「カポネよ、お前はいったい全体何処へ行ったんだ!?」


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新しい遊具

2011年03月23日 06:32

東日本大地震が起こる数日前のお話‥‥


鈍色の雲が低く垂れ込めた湘南海岸は寒さに震えていた。
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船宿エリア
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マサムネは私の姿を認めるとついと眼を逸らした。


船宿の水場に見慣れないモノが置かれていた。
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これがいったい何なのか‥‥私には見当もつかなかった。


中にはシズクが潜り込んでいた。
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「シズク、居心地はどうだ?」と訊いてみても、シズクは険しい表情で私を見つめかえすだけだ。
正体は分からないが、野良たちには恰好な遊具のようだ。



船宿の周りを見回すと‥‥まず目に入ってきたのは特攻隊長のミイロ。
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そしてそのミイロに疎まれているクロベエ。


目を移すと‥‥コユキの姿が見えた。
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そのコユキが見つめる先には、この時刻滅多に姿を見せないコジローがいた。


コユキがやにわにコジローへ歩み寄っていく。
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しかしコジローはコユキをすげなく受け流した。


ガックリとこうべを垂れるコユキ。
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このあくまでもクールな態度が『浜の伊達男』と呼ばれる所以でもある。


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『気紛れレディー』のアイも船宿前にやって来た。


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クロベエも船宿前に来て眼を大きく見開いている。


その船宿では3匹の野良が各階に収まって寛いでいる。
縦社会の日本に棲む海岸猫らしく、このエリアの上下関係が垣間見える絶妙な序列だ。

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そこへコジローが好奇心を露にして近づいてきた。


コジローは果たしてどの階に収まろうというのか‥‥?
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「何だコジロー、お前のことだからてっきり一番上の階へ登ると思ったのに‥‥」
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こういう時もコジローはどこまでもクールだ。


重ねて言うが、この序列は絶妙だ。
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新入り仔猫とシズクの位置に違和感を持たれるかもしれないが、成長著しいチビは体力でシズクを日ならずして凌駕するだろう。


それにしても、最上段で辺りを睥睨するミイロの威風堂々たる姿はどうだ‥‥。
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まるで女王か女帝の風格を漂わせている。


その時船宿を訪れたTANYさんもその光景を見て、思わず笑みを漏らした。
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TANYさんは毎日7~8kmの距離をウォーキングしている。
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だからこんな寒い日でもビールが欲しくなると言う。


缶ビールの次にTANYさんがレジ袋から取り出したのは猫缶だった。
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TANYさんは笑いながら「エサをやらないと相手にしてもらえないから」と言った。


野良たちへ一通り猫缶を配り終えたTANYさんは、人心地つくようにビールを一口飲んだ。
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そして缶ビールを置くと、二つ目の猫缶を開けた。


そこへ遅れてクロベエがやって来た。
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クロベエに気づいたTANYさんはすぐ猫缶を与えた。


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TANYさんはクロベエに猫缶を与えると、如何にも美味しそうにビールを喉に流しこむ。


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マサムネの猫缶に新入り仔猫が手を出した。


でもマサムネは困った表情を作っただけで、怒りも咎めもしない。
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「嗚呼マサムネ‥‥お前はどうしてそんなに優しいんだ。‥‥我々もお前と同じ愛を持てればいいのだが‥‥」


「ところでコジロー、ちゃんと猫缶貰ったのか?」
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TANYさんが持ってきた二つの猫缶はあっという間に野良たちの胃袋に収まった。
ただミイロだけは猫缶に見向きもしなかった。



その時、船宿の車が2台の水上バイクを移送してきた。
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それに逸早く興味を示したのは、女帝ミイロだった‥‥。

<つづく>


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お礼

自らの不注意で惹き起こした『ぎっくり腰』に対して、コメントやメールで温かい励ましのおことばをいただき感謝しております。
お陰さまで日毎に痛みは和らいでいます。
ただ過去の事例から比べると軽症であるにもかかわらず、当初予想していたより回復が遅いのは、やはり歳のせいではと思い知らされた次第です。


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マサムネのツボ

2011年03月21日 11:30

2011/03/19
3連休の初日とは思えないほど湘南海岸は閑散としている。

海岸110319-01.jpg
東日本大地震以来、波があってもサーファーは海に入らなかった。
日頃から海に親しむ彼らは今回の津波被害に心を痛め、海への畏怖の念をさらに強くしたのかもしれない。
私は大地震以来、初めてサーファーの姿を見た。



船宿エリア
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クロベエは前日と全く同じ場所に佇んでいた。「クロベエ、ココがお気に入りみたいだな」


私が声をかけると、マサムネは足早に歩き去っていく。
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私を忌避するマサムネの態度に、少々戸惑いを感じている。彼に嫌われるいわれは思い当たらないのだが‥‥。


シロベエがオドオドした態度で車の下から這いだしてきた。
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如何なる原因か分からないが、シロベエは最近仲間から疎まれている。


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特攻隊長のミイロも船宿前にやって来た。


シシマルが唸り声をだしてシロベエを威嚇している。最近こういう場面がよく見られる。
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私が二匹の間に割って入ろうとした時だった‥‥。いきなり新入り仔猫が私の目の前に現れたのは。


それは不思議な光景だった。幼い新入り仔猫が成猫の争いを見事に仲裁したのだ。
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「マサムネよ、本来ならお前の役目だぞ」


ミイロの後ろでシロベエが身構える。
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アイの登場にシロベエは畏まるように身を縮めている。


アイが念のためとばかりに、シロベエへ睨みを利かせる。
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ミイロもそうだが、このエリアの女性は一様に向こう気が強い。


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シシマルとアイ‥‥。今でも十分カワイイが、仔猫の時はさぞや可愛かったことだろう。


でも私はまだ期待している‥‥。
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この子たちなら今からでも家猫になれるのではと。


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そしてすっかり素直になったこの幼い仔も家猫になれると信じている。


私が船宿から離れると、いつものようにミイロが後を追ってきた。そして偶然いたコユキと挨拶を交わす。
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新入り仔猫もか細い鳴声を上げながら私の後についてくる。


すっかり船宿エリアに溶け込んだミイロだが、実は去年の11月25日に首輪を付けられたままココへ遺棄された所謂『捨猫』だ。
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そんな惨い仕打ちを受けても、ミイロはニンゲンを恨むことなく生きている。
‥‥逞しく、健気に、そして懸命に。



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新入り仔猫とミイロは執拗に私の後を追ってくる。


新入り仔猫に至っては私に寄り添って離れようとしない。
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トラとその母猫が棲む釣餌屋は固くシャッターを閉じていた。
因みに大地震以降、私はこの辺りで一人の釣客も見ていない。



ミイロは諦めたようだが、新入り仔猫は何処までも私についてくる。
船宿110319-19.jpg


強い海風を避けるため、新入り仔猫は竹藪にうずくまった。
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そして‥‥不安げな眼で辺りを見回しはじめた。


私は今月に入って姿を見せなくなった野良を、こうして機会あるごとに捜しているのだが、未だに消息は不明だ。
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「おチビちゃん、船宿へ戻ろう」私がそう言うと、新入り仔猫はいそいそと歩を運びはじめた。


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船宿に戻った新入り仔猫はそっとシシマルにすり寄った。


ミイロも少し遅れて船宿へ帰ってきた。
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此処には新入り仔猫が慕ってやまない仲間がいる。
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やはり時折発生する余震に不安を感じているのだろうか、新入り仔猫はいつも何かに怯えている。
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マサムネに寄り添っていても新入り仔猫の表情には憂色が濃い。


その時、シズクが現れた。
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「どうしたシズク、今日はずいぶん遅かったなぁ‥‥。昼寝でもしていたのか?」


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私に対してつれない態度を見せつづけるマサムネに親愛の情を示すことにした。
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私の急接近を知って、マサムネは眼を剥いた。


ミケもそうだったが、マサムネにも気持ちが良くなるツボがある。
ただマサムネの反応は少々ユーモラスだ。


どうして舌を出すのか、私は分からない。因みに、私は同じ反応を見せる野良をもう1匹知っているのだが‥‥。


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猫缶を取り出すと、新入り仔猫が真っ先に走り寄ってきて、熱い視線を私に送る。


気配を察して、クロベエも船宿へ近づいてきた。
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タイミングを見計らって素早くキャットフードを野良たちに分配する。


マサムネは私が差し出したトレイに見向きもせず、ついと離れてしまった。
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ミイロも眼を閉じ、全く関心を示さない。


そこへ、遅ればせながらコジローが戻ってきた。
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クロベエは仲間と一緒に食べることはない。


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コユキも食欲がないようで、殆ど口にしない。


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コジローは腹を満たすと、もう用は無いとばかりにさっさと船宿から離れていく。


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マサムネはまるでハンストでもやっているように、仲間へ背を向け固く眼を閉じている。
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しかしやはり気になるのか時折仲間を凝視する。


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「どうしたマサムネ、何故食べないんだ、腹は減っていないのか?」


野良たちの食事風景を見たカラスが仲間を呼んでいる。
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〝ニンゲンが食べ物を持ってきたからみんな集まれ~!〟とでも叫んでいるのだろう。


怪我の具合を見ようとしたが、勘の鋭いコジローはそれを察知しコンテナの上に登ってしまった。
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コジローは漁港を自分のテリトリーにしようと目論んでいるようで、漁港で盛んにマーキングしている姿を目撃したことがある。


コジローの傷は、おそらく漁港に棲む野良との争いで負ったものだろう。
「コジロー、お前はこのエリアで普通に暮らせているんだ。これに懲りて他のエリアを侵すのはもう止めとくんだな」
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お前たちだけじゃない、我々人間だってけっして侵してはいけない領域があるんだ。
「ところでコジロー、〝バベルの塔〟って知ってるか?」


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船宿へ戻ってみると、仲間の残り物を黙々と食べるマサムネの姿があった。


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コジローには黙殺されたが、皆さんは『バベルの塔』をご存知だろう。
旧約聖書において、ノアの子孫たちが造ったあの塔だ。

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ピーテル・ブリューゲル作『バベルの塔』

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

世界中の人々は一つの言語で話していた。

人々は西へ移動し、シンアルの地に野を見つけ、そこに定住した。

彼らは「みんなでレンガを作ろう」と話し合った。

石の代わりにレンガを焼き、しっくいの代わりにアスファルトで接合した。

そして彼らは言った。

「町を作って、その中央に天まで届く塔を建てよう。そして有名になって、もう大地に散っていかないようにしよう」

そうして人々は天へ向かって塔を造りはじめた。

すると主なる神が降りてくると、塔のあるこの町を見てこう言われた。

「彼らは皆同じ民で一つの言葉で話しているから、このようなことを企てたのだ。そしてこれは始まりにすぎない。このままでは、彼らは自分たちに不可能なことは何もないと思うだろう。ならば彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が理解出来ないようにしよう」

互いの言葉が解らなくなると彼らは町と塔の建設が出来なくなり、全地へ散っていった。

神によって言葉を混乱(バラル)させられたので、その町の名は〝バベル〟と呼ばれた。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


神との契約を破った我々は、またぞろこの時代に『バベルの塔』を建てようとしているんじゃないだろうか‥‥?

福島原発の放射能を理解する
http://ribf.riken.jp/~koji/monreal.pdf






実は私の部屋にも『バベルの塔』が存在する。
それは、この天井近くまで積み上げられた書籍の塔だ。
ほぼこれと同じ状態の書架が他に三つ‥‥計四つの書架が私を包囲している。

My room.jpg
先日の大地震の時、この書架は前後左右に大きく揺れ、今にも倒れそうになった。
余震が続く現状では如何にも剣呑なので、一昨日の夜書架に収めきれない他の本共々整理しようとしたのだが‥‥。
本を仕舞っていたダンボール箱(30~40㎏)を持ち上げたとき‥‥やってしまったのだ。
〝ぎっくり腰〟を。
私は今まで2回ぎっくり腰を経験しているが、ここ数年はその後遺症である腰痛も影を潜めていたため油断していた。
だからつい不用意に重たいダンボール箱を持ち上げてしまったのだ。
幸い今回の症状は今までで一番軽く、日常生活に大きな支障を来たすほどではないが、常に鈍痛がするし、腰の曲げ具合で激痛が走る。
やはりこれも神の怒りを買ったせいなのか‥‥?

こうなったら養生するしかなく、しばらくは海岸へ行けそうもない。



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コジローの傷

2011年03月19日 07:00

2011/03/18
国内観測史上最大の巨大地震発生から1週間が経った湘南海岸。
人影のない浜辺には微かな波音が聞こえてくるばかりだ。

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サイクリングロードを行き交う人も殆どいない。


船宿エリア
見慣れない車が船宿に横付けされている。

船宿110318-01.jpg
その車体にはかけられたタスキを見て私は思った。「そうか‥‥報道はされていないが、被災地の動物たちへも救援の手が差し延べられているんだ」


その車の脇からミイロが姿を現した。
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辺りに人の気配はなく、風が凪いだ船宿エリアはいつにも増してひっそりと静まり返っている。


水上バイクで日向ぼっこしていたマサムネが私に一瞥をくれた。
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しかしすぐに眼を閉じ、相変わらずマサムネは私にすげない。


また何処からか覗き見していたのだろう‥‥シズクがそっと近づいてきた。
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「シズク、変わりはないか?」


シシマルは何故か日陰にうずくまっている。
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しばらくその場に佇んでいると、新入り子猫が悲しげに啼きながら側に寄ってきた。
新入り子猫が何を求めているのか、私には知る由もない。



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クロベエはいつものように船宿から離れたところに独りでいた。


さっきは気づかなかったが、ミイロの後ろにもう一匹野良の顔が覗いている。
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シロベエは何かに怯えるように車の下へ身を隠している。


船宿の前ではアイが何やら忙しない。
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家猫と見紛うばかりのシャムミックスだが、実際はシズクが此処で産んだ生粋の野良だ。


その時、船宿からアニマルレスキューのメンバーらしき人が出てきた。
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話しかけると、果たしてこの人はレスキューのメンバーで京都から来たと言う。


「これから被災地に行くんですか?」と訊くと「ペットフードを被災地の宮城県に搬送し、代わりに保護した犬と猫を寒川町にある一時預かり所まで移送してきたところです」と言った。
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よく見ると、車体はずいぶん汚れている。
道路事情を尋ねると、「行きは26時間かかりましたが、帰りは7時間で済みました」と答えた。



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これからこの船宿で仮眠をとり、今夜またペットフードを積んで被災地へ出発するそうだ。

被災地での活動の様子はこちらで紹介されています。
『ドッグレスキュー』



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野良たちが徐々に船宿前に集まってきた。
彼らは待っているのだ。私が猫缶とカリカリをリュックから取り出すのを。



私はそんな彼らの期待に応えることにした。
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クロベエも少し遅れて船宿へやって来た。


珍しくミイロが貪るように食べている。彼女にこの変化をもたらしたものは何なのだろう?
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単純にいつもより空腹なのか、それとも落ち着きを取り戻したのか‥‥。
ま、どっちにしても食欲があるのは悪いことではない。



新入り仔猫の食欲は相変わらず旺盛で、放っておくと他の野良の分を奪ってしまう。
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私はその度に首根っこを掴みながら「仲間の食べ物に手を出すんじゃない!」と叱りつける。


そこへコジローが帰ってきた。また漁港へ出張っていたのだろう。
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今日は予備のキャットフードを忘れたので、まだ食べている途中のマサムネとミイロ、そしてアイのトレイを取り上げコジローに与えた。


しかしそんな理不尽なことをされても、誰も怒ることはない。
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譲り合いの精神を野良たちが持っているのかどうか私には分からないが、少なくとも食べ物が原因で争いが起こることは稀だ。


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このコジローは最近漁港に出かけては、そこに棲む2匹の野良たちの生活を乱しているという。


さっき気がついたのだが、コジローは鼻に傷を負っている。
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度重なるコジローの侵害に、漁港の野良が堪りかねて反転攻勢に出たのかもしれない‥‥。
「コジロー、もしそうなら自業自得というものだ‥‥同情などしないぞ」






先日ある人からこういう話を聞いた。

「こんな大災害に遭っても日本では略奪が起こっていないが、それは日本人がお金を持っているからかもしれない」

何のことはない、『買い占め』とは合法的な略奪なんだ‥‥。




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心ひとつに

2011年03月17日 06:00

2011/03/16
15:50 私の住む地域で初めて計画停電が実施された。主要道路の信号も消えてしまった。
しかし交差点では互いに譲り合い混乱している様子はない。

街角110316-01.jpg
自動ドアを開け放ったコンビニの店内も薄暗がりのなか静まり返っていた。


海岸沿いを走る国道134号線の信号もその機能を停止している。
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湘南海岸
浜辺に人気はなく、地震直後の様相を彷彿とさせる。

海岸110316-01.jpg





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富士は厚い雲を身に纏い、表情を一切見せようとしない。


サイクリングロードに人影はなくひっそりとしている。
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漁港内に係留された船たちは、肩を寄せ合い身を潜める。


近くの釣宿は早々にシャッターを閉ざしていた。
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海岸には波音と風音が聞こえてくるばかりで、異様な静けさに包まれている。
いったいこの静寂は何を意味しているのだろう‥‥?



船宿エリア
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船宿の野良たちも粛然と私を迎えてくれた。


船宿前に屯する野良たちは如何にも無聊そうだ。
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私の訪問を知った新入り仔猫が寂しげな鳴声をあげて近づいてきた。


マイペースなシロベエは何か見つけたのか、気ぜわしい様子だ。
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マサムネは私が声をかけても振りかえりもしない。


その時、ミイロが足早に私の目の前を横切っていった。
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顔見知りなのだろう‥‥シズクとミイロがひとりの男性に歩み寄っていく。


「マサムネ、昨日の夜も地面が揺れて驚いただろう?」
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だがマサムネは固く眼を閉じて何も語らない。


そのマサムネに新入り仔猫がいきなりじゃれついた。
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マサムネは軽くあしらおうとしたようだが‥‥


体が大きくなった新入り子猫はそのままマサムネを浴びせ倒した。
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素早く起き上がったマサムネが珍しく怒りを露にしている。


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いつにないマサムネの厳しい態度に、新入り子猫の気持ちも興ざめしたようだ。


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「仔猫よ、何事も遣りすぎてはいけない。相手のことを考えてほどほどにすることだ」


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この時刻、私以外の人が船宿を訪ねてくることはなかった。


私は用意してきたキャットフードを野良たちに与えることにした。
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クロベエも匂いに釣られて姿を現した。


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アイも船宿へ駆けつけてきた。


この日もミイロは食べ物に一切興味を示さない。ミイロは新入り仔猫に自分の分を譲った。
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猫は必要以上に食べることはない。そして残った食べ物に他の猫が手を出すことを許す。
我が身のことばかり考え、独り占めに走るニンゲンなどよりよっぽど高徳だ。



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腹を満たした野良たちは船宿から去っていく。


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水場に残るのは、スローペースで食べるマサムネと巨体ゆえ量を必要とするシシマル‥‥
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そして育ち盛りで食欲旺盛な新入り仔猫だ。


さっきからカラスがけたたましい鳴声を上げつづけている。
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食べ物があることを仲間に報せているのだ。カラスでさえ食べ物を独り占めすることはない。


ここ湘南でも東北地方太平洋沖地震の余震や、15日深夜に起こった静岡県を震源とする地震などで連日揺れを感じている。
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野良が停電で不便を感じることはないが、頻繁に起こる地震には不安を感じているだろう。


「だがマサムネよ、私たちは不安や多少の不自由を感じながらも比較的穏やかに過ごせている」
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全てのモノを失った人たちは寒さに震え、暗さに怯え、空腹に耐え、そして悲しみに暮れている。


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今こそ日本人は心ひとつにして、被災者を支援しなければならない‥‥。


計画停電中の駅前。

駅構内に灯りがあるばかりで、駅前は暗闇に包まれていた。





近所のコンビニやスーパーから食べ物が消えている‥‥。

大した被災もしていないのに、何故食料を買いだめしているのだろう?

これにより本来は被災地に行くはずの食料が不足しているそうだ。

被災地ではひとつのパンを数人で分けて食べているというリポートを聞いた。



買いだめは、空腹に苦しむ被災者から食べ物を横取りするに等しい、浅ましく恥知らずな行為だ!

どうか皆さん、冷静になって被災者のことを第一に考えて行動してください。

明日は我が身だと、思って‥‥



因みに私は地震以後、殆ど食料を買っていない。

それ以前に買い置いていた麺類、冷凍食品、レトルト食品などで凌いでいる。

しかし空腹に耐えている被災者のことを想えば何の不満もない。

日本人‥‥米さえあれば何とかなるもの。

そしてその米の備蓄は十分だと政府が発表した。

つまり我々が飢え死にする心配はないのです。




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無慈悲な海

2011年03月15日 15:00

2011/03/13
全ての警報、注意報が解除された湘南海岸は地震前の光景を取りもどしていた。

海岸110313-01.jpg
波打ち際で寄り添う若いカップル‥‥以前なら気に留めることもなかった場景だが、今はさざなみの様な胸騒ぎがする。


船宿エリア
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エリアに着いた私をミイロが真っ先に出迎えてくれた。


気丈なミイロも本震直後は放心しているように見えた。
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ここに遺棄される3ヶ月前までは家猫だったミイロにとって、地震の時に頼れる人がいないというのはやはり心細かったのだろう。


そこへ注意報の解除を心待ちにしていた仲良し夫妻が訪ねてきた。
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地震翌日に野良たちが心配で海岸へ来ようとしたが、周りの人に引き止められたそうだ。


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ご主人に抱きかかえられたミイロは、あらがう様子をまったく見せず身を委ねている。


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マサムネは駐車場で独り寛いでいる。


夫妻の訪問を知った野良たちがたちまち集まってきた。
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人馴れしないシシマルも奥さんの手にかかれば飼い猫のように従順だ。


その様子を水上バイクの上からじっと見つめるシズク。
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仲間と群れないクロベエは、独り毛繕いに余念がない。


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マサムネは腹が満たされているのか、それともよほどこの場所が気に入ったのか根が生えたように動かない。


仲良し夫妻に別れを告げ、私はサイクリングロードを東へ向かった。
海岸110313-02.jpg
海辺の長閑な情景を見ていると、48時間前に大津波警報がアナウンスされていたことが嘘のように思える。


ソックスエリア
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ここに棲む野良たちは地震直後に姿を見せなかった‥‥。なので、今日は何としても顔を見たかった。


穏やかな海を眺めながら、私は野良が現れるのを待った。
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エリアから少し離れた防砂林の中から鳴声が聞こえてきた。
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それはいつもにも増してオドオドしたソックスだった。


私のあとを追ってエサ場があった公園にソックスが入ってきた。
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するとそこに待っていたのは、さっきまで船宿エリアにいた仲良し夫妻だった。


私がソックスエリアを訪ねると言ったので、ふたりも此処の野良たちに逢いたくなったのかもしれない。
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ニボシだろうか‥‥ソックスが奥さんの手から直接食べ物を貰っている。


だが懐こいはずのソックスの腰が何故か引けている。
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「ソックス、お前も地震で怖い思いをしたのか?」


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エサ場荒らしに遭ってからのソックスは明らかにナーバスになっていたのだが‥‥今日はさらに落ち着かない様子だ。


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そしてついには植込みの陰に逃げこんでしまった。


仲良し夫妻に請われて、私はふたりを東のエサ場へ案内した。
東のエサ場110313-01.jpg
すると滅多に姿を見せない長毛の三毛が、我々を迎えてくれた。


コイツに逢うたびに思うことがある‥‥。
東のエサ場110313-02.jpg
洋猫と和猫がこれほど見事にミックスするのは稀有なことでは、と。


その美しい被毛を触ってみたいのだが、貴婦人は容易に許してくれない。
東のエサ場110313-03.jpg
今日も優雅に身を翻すと、私に背を向けてしまった。


角材の上にあるのは、仲良し夫妻が置いたニボシである。
東のエサ場110313-04.jpg
しかしプライドの高い貴婦人が簡単に近づくことはない。


東のエサ場110313-05.jpg
やはりニボシくらいでは食指が動かないようだ。


東のエサ場110313-06.jpg
しばらくすると、長毛三毛は防風ネットの中へ身を隠した。


東のエサ場で仲良し夫妻と別れた私は、再びソックスエリアへ戻ることにした。
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ソックスは私の姿を見ていたのか、すぐに植込みの中から姿を現した。
そこで私は腹が減っていないかと、試しにカリカリを与えてみた。

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ソックスはしきりと周りを見回して、落ち着いて食べようとしない。


体を大きく反らし、後ろを何度も振りかえる。
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いったい何に怯えているのだろう‥‥?


動物は人より自然界の異変には敏感に反応する。所謂“動物の勘”という特殊能力だ。
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その能力は、お天道さまを敬い大地に感謝しながら自然と共存していた時代には我々にも備わっていたと思われる。


我々がその能力を失ったのは、いったいいつ頃なのだろう?
そしてそれを失った代わりに何を手に入れたのだろう?

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場所を変えてみたが、ソックスはすぐにカリカリを食べるのをやめてしまった。


そしてか細い鳴声を発しながら私にすり寄ってきた。
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けっきょく私が寄り添っていなければならなかった。


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大地震が起きてから3度目の日没だ‥‥。


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夕陽を撮影するために砂浜へ降りていた私をソックスが追ってきた。


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ソックスが振りかえった先にはタイツの姿があった。これも“動物の勘”か‥‥?


「タイツ、お前も無事だったか‥‥」
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不仲な姉妹との諍いを避けるためなのか、ソックスはそっとタイツから離れた。
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それからソックスは飽きずに海を眺めはじめた。
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いつもと変わらない海を見て、ソックスは何を想っているのだろう?


海を見つめる猫‥‥果たしてこの組み合わせは絵になるのだろうか‥‥?
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だが、今はとてもそんなことを考えている気分でない。


海岸近くに住む者として、私も海には親しみを感じていた。
そして海もその都度ちがった表情で見る者の心に様々な感情を想起させてくれる。
だが‥‥それは表の顔だったのを知った。

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牙を剥いた海は強大で凶暴‥‥そしてあくまでも無慈悲だ。


私は砂浜からサイクリングロードへ戻り、ソックスに声をかけた。
「ソックス、おいで、公園へ戻るよ!」

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ソックスは私の声にすぐに応えてくれた。


自分たちの利便性だけを追い求め、自然への畏怖の念を忘れた我々はこれからどうすればいいんだ?
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なあ、ソックス、動物の勘で分かっていることがあれば教えてくれ。


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心残りだったのは、ソックスとタイツの母であるタビが最後まで姿を見せなかったことだ‥‥。





あなたにも被災者のために出来ることがきっとある。

もし何も出来ないなら、慌ててモノを買い占めるという愚かなことをやめるだけでもいい‥‥。




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畏怖の念

2011年03月13日 08:01

2011/03/12
相模湾に出されていた大津波警報が午後になって津波注意報へ変更された。

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浜辺に人影は見えないが、サイクリングロードには散歩する人やジョギングする人の姿があった。





頬を撫でる風は冷気を含んでいるが、上空には青空が覗いている。
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午後の陽射しを受けた海はうららかな風情で眼前に広がっている。
ただ私の海への印象は昨日を境に明らかに変わってしまった。



漁港近くにある釣宿は軒並み固くシャッターを閉めている。
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昨日封鎖されていた漁港への入り口は警報の解除を受けて解放されていた。


船宿エリア
注意報に緩和されたが、海岸線に近い他のエサ場を訪れるのは控えることにした。
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船宿前にはマサムネ独り所在なさげにうずくまっていた。


前方に目を遣ると、アイが足早に近づいてくるのが見えた。
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地震直後には姿を見せなかったアイ。「お前も無事だったか‥‥」


新入り仔猫はミイロ寄り添っている。
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その新入り仔猫の表情に昨日は気づかなかった不安の翳りが見える。


コンテナの側にはコユキの姿も見える。
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地震直後には姿を見せなかった野良たちも1日経って落ち着きを取り戻したようだ。


その時、いきなりミイロが駆けだした。
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見ると、クロベエの姿があった。


クロベエも昨日は姿を見せなかった。
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「クロベエ、お前も無事だったか」気の優しい野良のことだから、地震の際はさぞ怯えただろうと思われた。


私は船宿を離れ、昨日行けなかった漁港へ向かった。
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その途中、漁港近くの空き地にぽつねんと佇んでいるコジローと遭遇した。


「コジロー、勘がいいお前のことだから無事だと思っていたよ」
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私の足元では、あとを追ってきた新入り仔猫がしきりと鳴声を上げている。


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ミイロも私を追って漁港まで来ていた。


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いきなり現れたミイロたちに驚いたのか、コジローは眼を瞠った。


この漁港にはキジ白とシャムミックスが仲良く暮らしている。
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新入り仔猫は明らかに様子がおかしい。
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さっきから不安げな鳴声を発しながら金魚のフンよろしく私のあとを追ってくる。


我々の気配を察したのか、キジ白が船の陰から姿を現した。
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ミイロもそのキジ白の接近に気づいたようだ。


そして‥‥二匹は対峙した。
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身を低くし臨戦態勢をとるミイロとキジ白。


新入り仔猫も側面からミイロを掩護するつもりなのか‥‥?
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一触即発と思われたが、ミイロが突然その場を離れこちらに歩いてくる。


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キジ白は臨戦態勢のままミイロから一瞬たりとも眼を離さない。


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どうやら特攻隊長ミイロもアウェーではさすがに分が悪いと判断したようだ。


離脱したミイロに代わり新入り仔猫がキジ白と向き合うことになった。
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新入り仔猫を見つめるキジ白は複雑な表情を作っている。


次の瞬間、キジ白は思い立ったように体を起すと‥‥
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やおら歩きはじめた。


そして後ろも振りかえらず、キジ白はゆっくりした歩調で去っていった。
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何にせよ、キジ白が元気な姿を見せてくれて安堵した。


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そのキジ白を見送るミイロの表情は険しい。


誰かに見られている気配を感じ辺りを見回すと、物陰からこっちの様子を窺っているマサムネの顔があった。
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「何だ、お前まで来ちゃったのか‥‥」


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もう一匹のシャムミックスの姿を求めて付近を捜したが、発見できなかった。





防波堤があるとはいえ、此処はやはり海に近すぎる。
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「おい、船宿へ戻るぞ!」私がそう声をかけると、野良たちは素直にあとに従った。


マサムネはいち早く駆け出し、一気に高みに登ると我々の方を振り向いた。
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そのマサムネが待つ高みにミイロも駆けあがる。


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マサムネの視線を辿ると、コジローがすぐ側にいた。


我々が漁港にいる間何処かに潜んでいたのか‥‥?
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「コジロー、一緒に船宿へ帰ろう」


私の言葉が通じたようで、海を背にコジローが船宿へ向かって歩きはじめた。
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ふと見ると、我々を出迎えるクロベエの姿があった。


船宿前に野良たちが徐々に集まりはじめた。奥にシロベエの姿も見える。
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持ってきた猫缶とカリカリを野良たちに与えた。
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今日のミイロは食べ物に一切関心を示さない。
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一方食べ物を眼の前にした新入り仔猫は、俄然元気を取りもどした。


腹を満たしたコジローはそそくさと船宿から離れていく。
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コジローはコンテナの上へ登ると辺りを悠然と眺めはじめた。
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「コジロー、もし津波が来たらお前の好きな高いところへ登れよ。そこじゃダメだ、もっともっと高いところだ‥‥」
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私が海岸への行き来によく使う通りだが、この辺りは海から600mほどしか離れていない。
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今回三陸海岸を襲ったのと同じ津波に襲われたら、ここも壊滅的な被害を受けることは間違いない。
そう考えるだけで、私の目には街の風景が全く違うものに見えてくる。






それにしても今回の津波災害について、政府関係者や防災関係者から『想定外』という科白が頻繁に出るが、いったい何を根拠に弾き出した〝想定〟なんだろう?
もし高だか数十年の観測結果を元に想定して、どんな津波も防げる堤防などと胸を張っているなら楽観的すぎる。
46億年という地球の歴史から見れば数十年の観測など殆ど役に立たないのだから。


人間は自然に対してもっと畏怖の念を抱くべきだ‥‥。
そして更に謙虚になるべきなのだ。
でないと、犠牲になった人が浮かばれない‥‥。


皆さんも人間の造った建築物や構造物に頼らず、津波の報せがあったら躊躇わず逃げてください。
そしてその時は愛するペットたちも連れて行くことを忘れないで!


さらに核分裂さえも自在に操れると慢心した結果がこれだ‥‥。


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