永別

2011年05月30日 10:30

湘南海岸には一足早く夏が到来していた。
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船宿エリア
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ミイロは釣宿の店先で女の子に愛嬌を振りまいていた。


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釣宿から少し離れたところで、ツバサは独りつくねんとしている。


ところが、いつもミイロとツバサの側にいる仔猫の姿が見えない。
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私の心に、さざ波のような不安が寄せてきた‥‥。


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船長さん特製のネコじゃらしを手にした女の子が、ミイロを遊びに誘っている。


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でも気が乗らないのか、ミイロの反応は如何にもお座なりだ。


夏を思わせる陽気にさすがの“特攻隊長”もへばっているのか‥‥?
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そこへツバサが近づいてきた。遊び盛りの彼のことだから、ネコじゃらしにそれなりの反応を見せるだろうと思った。


ところが、ツバサはミイロに倣って体を横たえると‥‥、
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これまたミイロ同様、ネコじゃらしへは気のない反応を見せただけだった。


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やがてミイロとツバサは、そのまま動かなくなった。


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やはり突然やって来た“夏”に、野良たちも辟易しているようだ。


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待つこと40分、仔猫がやっと姿を現した。
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いつもと変わりない仔猫の姿を見た私は、ホッと胸をなで下ろした。


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女の子に訊くと、仔猫は水上バイクの陰から現われたという。


自分が紫外線に弱い白猫だと認識し、強い陽射しを避けていたのだろうか‥‥?
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とにかく、無事で良かった‥‥、私は心底からそう思った。


仔猫は降り注ぐ陽光を浴びながら、体を大きく伸ばした。
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この仔はこのあと自分の運命を大きく変える出来事が待っていることを知らない。
‥‥今はまだ。



仔猫はいつものように、釣宿へ向かった。
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そこへ、船宿の野良たちを世話するボランティアのSさんが姿を見せた。
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Sさんはこの仔猫のために、日頃はめったに訪れない午後の船宿へ駆けつけてきたのだ。
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ミイロは相変わらず、釣宿前の日陰で寛いでいる。
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近くに犬がいようが、ミイロはまったく意に介さない。おそらくミイロは、リードで繋がれた犬に脅威がないことを知っているのだろう。


元飼猫のミイロは若くして色んな経験を積んでいるようだ。もしかしたら元居た家に飼犬がいたのかもしれない。
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ミイロの側へ仔猫が近づいてきた。


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しかしミイロの態度は妙によそよそしい。


仔猫はそんなミイロから離れると、私の脚へすり寄ってきた。
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「ミイロと一緒にいられるのもあと僅かだ‥‥、今のうちに甘えておけ」と言って、私は仔猫を撫でた。


そのミイロと仔猫は食器いっぱいのカリカリを貰った。
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それは、仔猫の事情を知っている船長さんからの心ばかりの餞別だった。


こうやって2匹揃って食事する光景を見られるのも、これが最後だ。
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ミイロはそのことを知ってか知らずか、そっと仔猫を見やった。


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ミイロは船長さんに貰ったカリカリをほぼ完食した。


自分の分をキレイに平らげた仔猫は、ミイロが残したカリカリへ口をつけた。
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それにしても‥‥、船長さんのカリカリは野良たちに人気がある。


そこへひとりの女性がやって来た。Sさんと私はこの女性の到着を待っていたのだ。
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船長さんが仔猫を抱きかかえると、女性はすかさず洗濯ネットを取りだした。
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ネットを利用するのは、仔猫の抵抗に遭っても怪我をしないためだ。


このとき仔猫は少し抗ったが、すぐにネットの中へ収まった。
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しかし女性が、持参したキャリーケースに入れようとすると、仔猫はネットの中で暴れはじめた。


その仔猫を宥めながら、慎重にキャリーの中へ押し入れていく。
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そして、キャリーの扉が閉じられた。


この仔はこれからこの女性の許へ引き取られ、里親を探すことになっている。
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仔猫は自分の身に起こったことがにわかに理解できず、不安気な表情を見せている。


「何も心配しなくていい‥‥、お前は幸せになるために此処から旅立つんだから」
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居合わせた人たちが仔猫と別れの挨拶をする。


ミイロと仔猫が扉越しに顔を見合せている。
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この2匹がこうして顔を合わせることは‥‥、もう二度とないだろう。


仔猫が此処へ遺棄されてから一月半が経っていた。
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仔猫は幸運だったのだ。この篤志な女性の目に留まって‥‥。


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こうして‥‥、仔猫は海岸から去っていった。


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船宿前
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船宿前には残された野良たちが屯していた。


仔猫を妹のように思っていたツバサの表情が、心成しか寂しそうに見える。
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「ツバサ、顔をあげろ、お前だって仔猫のように幸せになれるチャンスはあるんだ」


野良たちが体を寄せ合って寛ぎはじめた。
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ミイロも所在無げに体を横たえている。


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ミイロは仔猫の運命を悟ったのだろうか?


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そして‥‥、本当の子供のように可愛がっていた仔猫との別れを受け容れることが出来たのだろうか?


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それについては、分からない‥‥、としか、今の私には言えない。



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最後の団欒

2011年05月28日 00:00

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船宿エリア
ミイロと仔猫は、釣宿前に停められたトラックの荷台で寛いでいた。
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こんな場所にいるとは思ってもいなかったので、私は危うく見逃すところだった。 


ミイロは大きなアクビをすると‥‥、
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気持良さそうに仰向けになった。


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ミイロが側にいるせいだろう‥‥、仔猫の表情に屈託は感じられない。


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こんな幼い子を遺棄する行為は残虐で許し難いことだし、この仔猫にとっては悲劇というほかない出来事だったが、ただひとつだけ救いがあった。


それは、“母”と慕えるミイロが此処にいたことだ。
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もしもミイロにいなかったら、おそらく仔猫を取りまく状況はかなり変わっていただろうと思われる。


トラックの荷台から降りたミイロは、ゆっくりと歩きだした。
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いったい、あんなトコロに何があるというのだろう‥‥?


ミイロはドラム缶状の車止めに跳び乗ると、頭をその中に突っ込んだ。
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近づいてみると、ミイロは中に溜まった水を飲んでいた。
「ミイロ、こんな汚い雨水を飲むんじゃないよ」私がそう言っても、ミイロは聞く耳を持たず雨水を飲みつづけた。
実際、猫は雨水を好んで飲む傾向がある。



と、次の瞬間、ミイロは突然水を飲むのを中断すると、後ろを振りかえった。
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そのミイロの眼の前を4頭の大型犬が通り過ぎていった。


ふと見ると、コジローがいた。
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どうやら漁港から帰着したところのようだ。


コジローは私と目が合うと‥‥、
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バツが悪いのか、私を無視して足早に釣宿の方へ向かった。


そこへ、ツバサが近づいてきた。
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コジローが釣宿前に置かれた台の上に跳び乗った。
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私はこんなところに食べ物が置かれていることを知らなかった。


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コジローが食べ終わるやいなや、ツバサが食器に顔を突っ込んだ。


ツバサがカリカリを食べるのは稀なことだ。
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いったい如何なる風の吹き回しなのか‥‥、ツバサがカリカリを貪り食べている。


このカリカリは、釣宿の船長さんが野良たちのために置いてくれたモノだろう。
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カリカリ嫌いのツバサに口を付けさせる、このカリカリの正体はいったい‥‥?
今度船長さんに訊いてみよう。



船宿前の様子を見つめるコジローの眼つきは険しい。
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最近のコジローは不用意に船宿へ近づかない。ちなみにコジローが、今もっとも警戒しているのは、シロベエだ。


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ミイロの眼差しもまた、厳しいものだった。


そのミイロの視線の先にいたのは、クロベエだった。
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しかしミイロに見つめられていることを、クロベエは気づいていない。


マサムネは今や定席となった水上バイクの上にいた。
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いつの間に近づいたのか、ミイロが私の足元にうずくまっていた。
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どうやら、ミイロはクロベエとのニアミスを避けて船宿へ来たようだ。
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水上バイクから降りたマサムネが、悠然とした足取りで船宿へ近づいてきた。
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そして、船宿前の砂利道にどっかとその太り気味の体を横たえた。
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船宿の玄関先には、シズクと滅多に姿を見せないサビ三毛が所在無げにしていた。
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ブログへの登場回数が少ないこの三毛猫には、未だ呼び名をつける機会がない。


そのうちミイロも船宿前に姿を見せた。
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期せずして、このエリアの三毛猫3匹がひとつのフレームに収まることになった。


ミイロの後を追ってきたのだろう‥‥、仔猫も船宿前に姿を見せていた。
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ミイロが移動すると、仔猫はすかさず後を追い、そしてまとわりつく。
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念のために言っておくが、この2匹の野良は本当の母娘ではない。
それどころか、2ヶ月前まではお互いその存在すら知らなかったのだ。



仔猫がクロベエの許へ近づいていく。
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そしてクロベエの爪とぎを興味深そうに見つめはじめた。


その気配を感じたクロベエは、とっさに跳びあがった。
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動物の勘で、危険を察知したのかもしれない。


クロベエの勘は正しかった‥‥。仔猫の後ろにはミイロが控えていたからだ。
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仔猫とクロベエの間に少しでも不穏な空気が流れたら、ミイロは迷わず駆けつけるはずだ。


クロベエも今までの経験で、そのことを十分承知しているのだろう。
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幸いなことに、仔猫はミイロにそのきっかけを与えることはなかった。
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船宿の水場には、何故かコジローがいるだけだった。
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いつもなら私が水場に近づくと、小腹を空かせた野良たちが集まってくるのだが‥‥。


その野良たちは今、思い思いの場所で寛いでいる。
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シシマルもその巨体を丸くし、眠っている。


いつもはすぐに姿を消すサビ三毛が、いつまでも居座っているのは意外だったが‥‥。
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シズクも周りを観察することなく、眼を閉じている。


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そして常に食べ物を求めているツバサでさえ、この有様だ。


野良たちの様子は明らかにいつもと違っている。
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ただ、ひとりコジローを除いて‥‥。


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コジローはいつものように落ち着きなく動き回っている。


どうやら私が来る直前に、誰かから十分な食事を与えられたようだ。
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野良たちの様子が如実にそれを物語っている。


腹を満たした彼らが、私に関心を示すことはない。
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ま、何にせよ、今が幸せならそれでいい‥‥。


ミイロが船宿を離れると、ツバサもそのあとを追った。
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しばらくすると、仔猫もミイロの側にやって来た。
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仲むつまじい“母子”の触れ合いを見ている私の心境は複雑だった。
この光景を見られるのも、今日が最後だからだ。



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明日、この野良たちの運命は大きく変わってしまう。
しかしそのことを、この子らはまだ知らない‥‥。




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キジトラ その弐『確認』

2011年05月26日 00:00

キジトラは、2匹いる。
その事実を知った私は、過去の画像データを遡って調べてみた。
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このピンボケ写真を撮ったのが、4月15日。この時が初見になる。


そしてこれは、1週間後の4月22日撮影。
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模様などの特徴から、今回のキジトラと同一だと判る。
便宜上この野良を『キジトラA』と呼ぶことにする。



そして、室外機の下に頭を突っ込んでエサを貪っているキジトラを撮影したのが、5月1日だ。
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改めてよく見ると、先の“キジトラA”と明らかに模様、被毛の長さなどが違っている。
この野良を『キジトラB』とする。“キジトラB”とは、この時が初見。



次にキジトラBが船宿に現われたのは、Iさんが訪れた日だ。
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そしてこれが、先日水場に現われたときのキジトラB。
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私はキジトラ2匹を混同し、1匹だと勘違いしていたのだ。


キジトラBは目撃情報もあり、隣接するテリトリーから流れてきたと推察されるが‥‥、
このキジトラAについての情報は何も得ていない。

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私が初めて目撃してから既に1ヶ月が経つことから、このエリアに棲みついていると思われる。
「本当に‥‥、お前は何処から来たんだ?」



その時、私の側で何やら不穏な空気が流れはじめた。
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いつもは忌避してばかりいるミイロに、クロベエ自ら近づいていたのだ。


私も何度か目撃しているし、またほかの人からも聞いているのだが、クロベエは時折ミイロに反撃を試みている。
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だからこの時も、ミイロに意趣返しをしようと隙を窺っているのだろうと私は思った。


ミイロはそんな思いつめた面持ちのクロベエに一瞥をくれると‥‥、
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大きなアクビをした。さすが“特攻隊長”、肝が据わっている。


奥の草むらの陰からは、物見高いシズクが、2匹の様子をそっと窺っている。
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一見落ち着いて見えるミイロも、やはり緊張しているようだ。そばだてた耳が、それを雄弁に示している。


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と、次の瞬間、ミイロが突如クロベエの眼の前から姿を消した。


振りかえると、ゆっくりクロベエから離れていくミイロの後姿が見えた。
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そしてミイロは、砂利道の真ん中にうずくまった。


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ミイロにしても、闇雲にクロベエへ襲いかかわけではないようだ。おそらく、それなりの理由ときっかけがないと、そういう振る舞いにはでないのだろう。


ところが、その“きっかけ”をミイロに与えてしまうヤツが、ココにいた。
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ツバサは、クロベエにじゃれつこうとしただけなのだが、ミイロはそれを勘違いしたようだ。


ミイロはいきなりクロベエへ挑みかかっていった。
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唖然とするクロベエの眼の前で、限界まで姿勢を低くしたミイロが鋭い威嚇の声を発している。


ミイロの剣幕に気圧されたクロベエは、緊張を和らげるためにそうするのか、ペロリと舌をだした。
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クロベエは明らかにその場から逃れようとしていた。


しかし今ミイロに背中を見せれば、一方的な攻撃を受けることをクロベエは知っているのだ。
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なおも膠着状態がつづく‥‥。


どちらかが怪我をするような結末も予想されたので、私は2匹のあいだに割って入った。
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不承不承ながら、ミイロは引きさがった。


一方、クロベエはというと‥‥、
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肩を落としてトボトボと去っていった。
今回の諍いでクロベエに非があるとすれば、ミイロの近くにいたことくらいだ。



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「ミイロ、どうしてクロベエを目の敵にするんだ。アイツに遺恨でもあるのか‥‥?」


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だがミイロは、私の問いかけに何も応えず、固く眼を閉じてしまった。


ミイロは此処に遺棄された直後から、クロベエを忌み嫌い、敵意を剥きだしにする。
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あのおとなしいクロベエが、ミイロに恨みを買うとはちょっと考え難い。
私はミイロが、過去において係わった黒猫のせいで、トラウマを持ったのではないかと想像しているのだが‥‥。



この日は何故か野良の集まりが悪かった‥‥。
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クロベエはいつものように、皆と離れたところで食事した。


相変わらずミイロは猫缶を食べない。
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ミイロが食べているのは、ノンママさんからいただいた“乾しカマ”という猫用のスナックだ。
つまりミイロは食欲がないわけではなく、ただ好き嫌いが激しくなったのだ。



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後始末は、ツバサに任せておけばいい‥‥。


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仔猫も食事のときに船宿に姿を見せなかった。おそらく釣宿の船長さんにご馳走になったのだろう。


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眠たげな眼つきが特徴のこの子には、嫁ぎ先を早く見つけてやりたいものだ。


兄貴分のツバサが近づいてきた。その悠然とした歩き方は、“オトナ”の風格を感じさせる。
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幼い子たちを離れたところから見つめているミイロ。
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そのミイロが気配を感じ、いきなり振りかえった。


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そこにいたのは、クロベエだった。


さっきのことがあったので、私は気を揉んだが、ミイロはすぐに向き直りそのまま瞑目した。
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それにして‥‥、どうしてそんなトコロにいるんだ、クロベエ!?


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この2匹、敵対していながら、何故かこうして惹きつけられるように近づく。
猫の行動は未だに分からないことだらけだ‥‥。



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キジトラAは、いつの間にか植込みの中から姿を消していた。
「アイツは、ねぐらを持っているのだろうか‥‥?



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仔猫はミイロを母のように慕っている。


ミイロと仔猫‥‥、
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お互い元家猫で、また同じようにココに遺棄された捨猫同士だから、分かりあえる何かがあるのかもしれない。


そこへ、やはり元家猫で捨猫のツバサがやって来た。
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若いツバサは好奇心が旺盛だ。
「そのポストにお前宛の手紙は入ってないぞ」



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人気のなくなった釣宿前で、捨猫トリオは如何にも所在無げだ。


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物憂い夕刻の時が流れるなか、野良たちは一日の終わりを静かに迎えようとしている。


仔猫はミイロの姿を確認し‥‥、
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そしてツバサをかえりみた。


やがて、“母”と“兄”に囲まれた仔猫は穏やかな表情を浮かべた。
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一日の疲れが出たのか‥‥、しばらくすると、仔猫はそっと瞼をおろした。


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3匹の様子を見ていた私は、この平穏がいつまでもつづくようにと願わずにはいられなかった。


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私は彼らの安息を妨げないよう、静かに釣宿から離れていった。


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キジトラ

2011年05月24日 08:00

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船宿エリア
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エリアに着いた私を最初に出迎えてくれたのは、ミイロだった。


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その近くには、幼い野良2匹が無聊そうにしていた。


仔猫もすっかりこのエリアの暮らしに慣れたようだ‥‥。しかし、私はそのことをけっして喜ばしいこととは思っていない。
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ツバサにしたってそうだ。此処を終のすみかにする覚悟は出来たようだが、それはそれで切ないことである。


ミイロが仕事終え帰路に就いた船長さんのあとを追っていく。
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ミイロだって、本当は温かい家で優しい人に囲まれて暮らしたいと思っているのだ。


船宿周りに姿を現していたのは‥‥、
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内気でおとなしい野良、クロベエ‥‥、


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そして心優しい隻眼の野良、マサムネだった。


私が船宿へ近づくと、その野良たちが集まってきた。
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振り向くと、何処からか私を見ていたのだろう‥‥、シズクも船宿前に姿を見せていた。


マサムネはゆっくり歩いてくると‥‥、
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お気に入りのマンホールの蓋の上へ腰を下ろした。


ふと前方に視線を移すと、こちらに近づいてくる仔猫の姿が見えた。
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仔猫がひとりで船宿へ来ることはめったにないことなのだが‥‥。
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何か興味をひくことがあったのか‥‥、仔猫はいきなり駈けだした。


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仔猫の好奇心をそそったのは、船宿のご主人がメンテナンスしている水上バイクだった。


と、そこへミイロも駆けつけてきた。
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ミイロは、普段シャッターが閉められて中へ入ることが出来ないコンテナハウスの中が気になるようだ。


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そのミイロの後に続いて、仔猫もコンテナハウスの中へ入っていった。


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興趣を感じるモノも特になかったようで、ミイロはすぐにコンテナハウスから出てきた。


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仔猫の興味の対象は、あくまでもメンテ中の水上バイクのようだ。


ミイロの眼がにわかに据わった。
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ミイロの見つめる先にいたのは、クロベエだった。


ミイロと眼が合ったクロベエは動揺を露にした。
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言うなれば、ミイロはクロベエにとっての天敵‥‥。


クロベエは争いを避けるため、ミイロから遠く離れた。
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ところがミイロは、いつの間にかクロベエとの距離を縮めていた。
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何故ミイロがクロベエに対して激しい敵愾心を持つのか‥‥、誰もその理由をしらない。


後ろを振りかえると、オトナ共が等間隔に並んでこちらの様子を窺っていた。
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クロベエとミイロの険悪な雰囲気を察知して近づいてきたのか‥‥、


それとも単に小腹が空いたから、私に食事の催促をしているのか‥‥?
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ただ‥‥、シズクに息子のクロベエを気遣っている素振りは、残念ながら見られない。


さっきからシロベエの様子がおかしい‥‥。
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耳を後ろに倒し、盛んに何かを警戒している。


その緊張したシロベエへ、真っ先に近づいていったのは“特攻隊長”のミイロだった。
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ミイロはシロベエに促されるように植込みの中へ視線を移した。


ミイロに倣って、私がそっと植込みの中を覗くと‥‥、
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“あのキジトラ”がいた。


そう言えば、先日船宿の水場に現われたキジトラを威嚇したのもシロベエだった。
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ただ、今回もミイロがキジトラに敵意を見せることはなかった。


そんな緊迫した雰囲気を壊したのは、シロベエだった。
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シロベエはいきなりその場に体を横たえた。


この白猫には、以前からその場の雰囲気を読めない致命的な欠点があった。
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ミイロはそんなシロベエを見て見ぬふりをしている。


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脳天気なシロベエもやはりキジトラが気になるのか、時折植込みの中を窺う。


私はこの時、大きな勘違いをしていた。
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植込みの中に潜んでいるという先日と同じシチュエーションに、つい先入観が働いたのだ。
そのことに気がついたのは、写真を編集している最中だった。



これが先日船宿の水場へ現れ、その後植込みへ身を隠したキジトラだ。
今回のキジトラと額の模様を見比べてほしい。

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そう、明らかに違っている!
つまり‥‥、まったく別のキジトラだったのだ。


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「いったいお前は誰だ?そして、何処から来たんだ‥‥?」



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朝の巡行

2011年05月22日 12:00

AM6:10
私は数ヶ月ぶりに早朝の海岸へ足を運んだ。

海岸110509-01.jpg


そんな私を最初に迎えてくれたのは、キジトラ猫の“ボス”だった。
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ボスに逢うには、早朝のこの時刻が一番確率が高い。


私が声をかけると、ボスはその痩せこけた体を私の脚にすり付けてきた
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この野良は一昨年の秋に急激に痩せ、以来体重が戻らない。


ただボスの食欲は衰えていない。なのにどうして体重が増えないのか‥‥?
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この日もボスの食欲は旺盛だった。


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‥‥結局ボスは猫缶を完食してしまった。
「お前と
私との間には浅からぬ因縁がある‥‥。だから元気でいてくれよ‥‥ボス」


次に私が遭遇したのは、顔見知りのワンコ“玄ちゃん”
海岸猫110509-05.jpg
久しぶりに会った玄ちゃんは、オトナの趣を漂わせていた。


東のエサ場
私の姿を認めた“ビク”がゆっくりと近づいてきた。

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ユーモラスな体型をしたこの野良は大変臆病で、いつもビクビクしている。『臆病猫』


だから、いつしかビクと呼ぶようになった。
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だからと言って懐かないわけではなく、人の温もりをいつも求めている寂しい野良でもある。


ソックスエリア
ソックスの姉妹である“タイツ”に会うのも久方ぶりだ。

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もとのエサ場が水道工事で潰されて以来、タビとソックスとは離れて暮らしていると聞いている。


この日も自ら防砂林の中から出てくると、甘えた鳴声を盛んに上げつづけた。
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ただ、ボランティアさんの世話が行き届いていて、此処の野良が空腹に苦しむことはない。


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この日も早朝であるにも拘らず、タイツの腹は満たされていた。


海岸猫110509-10.jpg
工事が終わるのは2年後‥‥。「それまでお前は、独りココで暮らすのか?」


極東エリア
この野良、ブログには初登場だが、会うのは今回が2度目になる。

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本来のエサ場から訳あって離脱し、今はココに独りで暮らしている。


カリカリを与えると、おずおずと近づいてきた。
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この野良と交誼を結ぶには、長い時間が必要になるだろう‥‥。


西のエサ場
半年以上もの間姿を見せなかった“ブッチ”がエサ場に戻っていた。

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そして更に、見慣れぬ野良の姿もあった。
私の記憶が正しければ、この野良とは今回が初見になる。



いったい何処から如何なる理由でココへ来たのか‥‥。
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私が与えたカリカリにブッチが近づくと、険しい表情で威嚇する。


以前紹介したように、このエサ場近くには国道を貫く隧道が存在する。
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この黒シロがその隧道を使って、街から海岸へ流れてきたことも十分考えられる。


ただ、人の手によってココへ遺棄された可能性も排除できない。
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ブッチならその辺の事情を承知しているのだろうが‥‥、この野良は多分に気まぐれなトコロがあり、素直に話してくれないだろう。


ブッチの生存が確認できたのは、私にとって喜ばしいことだが‥‥、
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新たな海岸猫の出現は、憂うべきことだ。
さらにこのエリアでの小柄な白猫の目撃情報が2件、私の許へ寄せられている‥‥。






先日相次いで、私に宅配便が送られてきた‥‥。
中身は海岸猫への贈り物だった。


これは『ハーヤンとノンチ』の管理人ノンママさんが送ってくれたものだ。
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おやつの下には様々な猫缶が詰まっている。
ノンママさんは私同様睡眠障害に苦しんでいる‥‥。そんな状態にも拘らず、こうして海岸猫を気遣ってくれることに痛く感動している。



そして、こちらは『always』の管理人ダージリンさんから送られてきたもの。
P110509-02.jpg
海岸猫だけでなく、睡眠障害に苦しむ私のためにハーブティーが同梱されていたのには感激した。
ダージリンさんは、可愛がっていた猫ちゃんの月命日に毎月キャットフードを送ってくれるという。



おふたりに改めてお礼を申し上げます。
「どうもありがとうございました!」



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越境

2011年05月20日 21:44

海岸110507-01.jpg


船宿エリア
この日は此処の野良たちにとって受難の日だった。

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何しろ、犬の次に苦手とする“子供”が3人も訪れていたからだ。


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シシマルは緊張した表情で、車の下へ避難している。


本来は人懐こいミイロも、車の陰から子供たちの動向を窺っている。
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遊び盛りのツバサでさえ、小さい訪問者の目に触れないよう身を隠していた。
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臆病なクロベエはにいたっては、船宿から離れたところで嵐が去るのを待つつもりのようだ。
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シズクも船宿から離れた場所で、息を潜めるようにしている。
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そこへ、アイが不安げな面持ちでそっと近づいてきた。


姿を見せたアイを、女の子が手にした食べ物で誘っている。
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しばらく逡巡していたアイだったが、食べ物の魅力には勝てず、おずおずと近づいてきた。


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でも最後まで、女の子の手から直接食べることはなかった。


その様子を離れたところからシシマルがじっと見つめている。
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この野良はニンゲンに媚びることが出来ない。
それがために人から疎まれることもあるが、彼が野良として生きてこられたのもこの気質のお陰である。



船宿に野良たちが寄り付かないので、私は漁港へ出向くことにした。
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いきなり私の目に飛びこんできたのは、緊迫した野良2匹の対峙シーンだった。
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やはりコジローは、今日もココへ越境してきていた。


此処に残った最後の1匹であるキジ白は、“浜の伊達男”に臆することなく立ち向かっている。
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コジローは私の突然の出現に戸惑っている様子。
私が更に近づくと、コジローはバツが悪そうについと視線を逸らした。



そして‥‥、その場から姿を消してしまった。
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するとキジ白が、ゆっくりとコジローのあとを追っていった。


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キジ白は尚もコジローを追尾していく。


コジローは船の下から這いでると‥‥、
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逃げるように去っていった。


キジ白は、そのコジローを臨戦態勢のまま凝視している。
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コジローの姿が視線から消えると‥‥、キジ白はその場に立ち止まり、深追いすることはなかった。


先月、仲の良かった相棒が亡くなり、以来此処で独り暮らすようになったキジ白‥‥。
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そんな傷心のキジ白にとって、コジローの度重なる越境と侵犯はさぞや迷惑なことだろう。


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この野良のことを気にかけている人は、私の周りにも何人かいる‥‥。


漁港を離れようとした私を、コジローは尻尾を垂直に上げ待ち受けていた。
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「コジロー、一緒に船宿へ帰ろう」私はそう言って、コジローを強く促した


コジローは私の言葉に従い、漁港を後にした。
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「コジロー、お前にどんな思惑があるのか知らないが、これ以上あのキジ白の縄張りを脅かすのはやめときな」
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私の言ったことを理解したのかどうか‥‥、コジローの表情が薄笑いを含んでいるように、私には見えた。


それでも私が「コジロー、帰るぞ」と再度促すと‥‥、
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コジローはさっきと同様、おとなしく歩を運びはじめた。


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コジローは私に曳航されるように、一定の距離を保ちながらあとを追ってきた。


そうして本来のテリトリーである船宿エリアへ戻ってきた。
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「なあマサムネ、兄としてお前からもコジローにほかのエリアを侵さないよう忠告してくれないか」
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船宿前で野良たちに食事を与えていると‥‥、1匹の野良が、ほかの野良の死角をつくようにして姿を現した。


それは、あの“キジトラ”だった。
私がほかの野良のためにトレイに盛った猫缶を、キジトラは貪るように食べている。

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やがてほかの野良たちもキジトラの存在に気づきはじめた。


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その気配を敏感に察知したキジトラは、急いで身を隠した。


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まだ猫缶に未練があるのか、キジトラは物欲しそうな顔で皆の食事風景を眺めている。


このキジトラは以前、船宿エリアに隣接する別のエサ場で目撃されていた。
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私もその場所を訪れたことあるが、既にエサ場としては機能していなかった‥‥。
おそらくボランティアの方が、何らかの事情で世話を続けられなくなったのだろう。

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だから、このキジトラは生きるために越境して船宿エリアへやってきたのだ。
コジローの越境とはずいぶん事情が違っている。



シロベエがキジトラに対して威嚇の唸り声を発した。去勢されても、今なおシロベエは好戦的だ。
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そんな張り詰めた雰囲気のところへ、コジローが帰ってきた。


そして‥‥、いきなりキジトラとのご対面となった。
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面倒なことに係わりたくないコジローは、すぐに踵を返して近くの車へ避難した。


その様子をクロベエが緊張の面持ちで見つめている。
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船宿前に歩みでたキジトラは、水場の様子を窺っている。食べ物が残っていないか、探っているのだろう。


しばらくそうしていたが、やがてキジトラは船宿から離れていった。
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そこへ姿を現したのは“特攻隊長”のミイロだった。先日このキジトラをミイロが執拗に追った経緯があるので、私は嫌な予感がしていた。


ちなみに、このキジトラはオス‥‥、それも去勢されていない正真正銘の“オトコ”だ。
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ミイロはキジトラを警戒する様子もなく、ただ見つめているだけだった。
どうやら私の懸念は杞憂だったようだ。



ややあって‥‥、キジトラはトボトボとした足取りで去っていった。
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果たして此処に棲む野良たちが、このキジトラを受け入れる日は来るのだろうか?


その鍵を握っているのは、“特攻隊長”のミイロかもしれない‥‥。
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キジトラが去ったのを見届けたクロベエが、船宿前へやってきた。
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こうしてクロベエも、やっと食事にありつくことが出来たわけだ。


そこへ現われたツバサが、クロベエの様子をじっと窺う。
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いつものツバサなら、とっくにクロベエの猫缶に手をだしているところだが‥‥、今日はぐっと我慢している。


しばらくして腹を満たしたクロベエがトレイから離れると‥‥、
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ツバサは間髪を入れず残った欠片を貪りはじめた。


立ち去ったはずのキジトラが舞いもどっていた。
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キジトラは植込みの中から船宿の様子をじっと窺っている。


この野良は自分がヨソ者であることをしっかり認識しているフシがある。
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そして生きてゆくためには、エサがある此処にとどまるのが最善だと悟っているフシも‥‥。


ともあれ、しばらくはこのキジトラから目を離せそうもない‥‥。
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ある闖入者

2011年05月17日 12:10

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船宿エリア
釣宿の店先にミイロが独り所在無げに佇んでいた。

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眼の前には船長さんの飼犬がいたが、ミイロはまったく意に介さない。


私は最初、ミイロが何故こんなところに居るのか分からなかった。
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そこへ若い船長さんが現れ、ミイロに一言二言話しかけると、やおらシャッターを開けた。


シャッターが開くと、ミイロはそそくさと場所を移した。そこへ申し合わせたように、仔猫も姿を現した。
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船長さんは、その二匹の側にやって来て腰を落とした。


船長さんが手にしているのは、キャットフードだった。
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待ちきれないとばかりに、ミイロが前脚を出した。食べ物に対して、こんな積極的な行動をとるミイロを見るのは久しぶりだ。


船長さんがくれるカリカリはミイロの好物なのだろう。
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ミイロは無言で船長さんに催促していたのだ。シャッターの中に仕舞われたキャットフードを‥‥。


ミイロは此処の暮らしにすっかり馴染み、誰に何をねだればいいのか、しっかり心得ているようだ。
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頭のいい元飼猫ミイロは、いつの間にか野良として生きる術を習得していた。
悲しいことだが‥‥。



ここにも元飼猫がいる。
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私の姿を認めたツバサは、甘えた声をあげながら私にすり寄ると、そのままその場へ横たわった。


ちなみに、この二匹の野良は人間に甘える術を知らない。
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シシマルの傷はカサブタを作り、ほぼ癒えている‥‥。そのうち被毛も生えてくるだろう。


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振り向くと、食器の側にミイロの姿はなく、仔猫独りが食事をしていた。


ミイロはというと、逞しい船長さんに抱きかかえられている。そのミイロの体は、いつもより小さく見えた。
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今やこのエリアの顔となりつつあるミイロは、釣宿の船長さんたちにも愛されている。


こんないい子が何故遺棄されなければならないのか‥‥、私には到底理解できない。
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ツバサと仔猫は船長さんの足元から離れようとしない。


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船長さんはその太い腕で仔猫を抱くと、慈しむように見つめはじめた。


仔猫は安心したように、船長さんの腕の中でおとなしくしている。
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私の目には、仔猫のその小さな体がいつにも増して頼りなく儚げに見えて仕方なかった。


ふと振りかえると、シシマルが知らぬ間に近づいていた。
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ミイロたちが食べ残したモノに心を引かれているようだが、用心深いシシマルが素直に近づいてくることはない。


そこで私は、シシマルの側に器を近づけた。
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ところがシシマルはその器に背を向けてしまった。


マサムネはお気に入りの場所で、如何にも無聊そうだ。
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クロベエも水上バイクの上で何をするでもなく、つくねんとしている。
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「お前たちの時間は、きっとゆっくりと流れているんだろうな‥‥」


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やって来たIさんを出迎えるツバサ‥‥。ほんの少しだけオトナの風情を漂わせ始めている。


船宿の外れに目を凝らし、何かを捜し求めるIさん。
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そのIさんの様子を、マサムネがじっと窺っている。


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何を期待しているのか、クロベエまでやって来た。


ツバサは数日前に、去勢手術をほどこされた。
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だからなのか‥‥、妙になまめかしい姿態を見せる。


Iさんがお腹を撫でると‥‥、
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ツバサは嬉々として喜んだ。


ここにも去勢手術を受けた野良がいる‥‥。
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トラブルメーカーのシロベエだ。


注意してみると、その手術の痕が残っているのがわかる。
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エリアの野良と見境なく諍いを起していたシロベエも、これで少しは穏やかになるだろうと、皆期待している。


メス猫に避妊手術をすれば、オス猫は去勢手術をしなくてもいいという人もいるが‥‥、
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他の猫と無用な争いを避けるためにも、病気の原因を一つ無くすためにも、施術するべきである。


シシマルがシロベエに威嚇の声をあげる。
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施術前なら自ら挑んでいたシロベエがおとなしく引さがり、Iさんに助けを求めた。図らずも去勢手術の有効性が実証された。


‥‥その時だった。1匹の野良がエサ場に姿を見せたのは‥‥。
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典型的なキジトラだ。


実は、先ほどIさんが捜し求めていたのは、この野良だった。
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私がこの野良に逢うのは今回が3度目になる。過去の写真を遡って調べると、初見は4月15日となっていた。
しかしIさんにとっては、去年からの顔見知りだ。



此処のリーダーらしく、マサムネがキジトラの正体を確かめようと、近づいてきた。
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食事中だから邪魔しないであげてと、Iさんがマサムネを制した。


マサムネは素直に引きさがったが、道路をはさんだこちら側から仔猫がキジトラをじっと見つめている。
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キジトラは食べるのに夢中で、仔猫の存在など気にする気配もない。


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“特攻隊長”のミイロは静観を決めこんでいた。‥‥この時はまだ。


仔猫は臆することなく、さらにキジトラへ近づいていった。
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キジトラに好奇の眼をむける仔猫の挙動は、明らかにいつもと違っている。
生き別れた眷族の中に、よく似たキジトラ柄の猫がいたのかもしれない‥‥。



食事を終えると、キジトラはゆっくりと立ち去っていった。
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そして次には、さっきミイロたちが食べ残したカリカリに迷わず口をつけた。よほど腹が減っているのだろう。


“浜の伊達男”がいつものように海辺の方から帰還してきた。
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気配を感じ、コジローがおもむろに振り返った。


コジローはそのまま表情を固くし、眼に警戒の灯を点した。
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コジローの視線はキジトラに注がれた。
このキジトラとコジローに面識があるのかどうか‥‥私は知らない。



コジローはキジトラから眼を逸らさず、ゆっくりと姿勢を低くする。
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コジローの眼に点った警戒の色が、みるみる濃くなっていく。


前回の記事に書いたように、クールなコジローは自ら危険を冒すようなことはしない。
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コジローはそのままの姿勢で、キジトラをただ凝視するだけだ。


キジトラはコジローを一顧だにしないで食事に専心している。
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しばらくの間コジローは微動だにせず、キジトラの食事風景を眺めていた。
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やがて腹を満たしたキジトラは、そろりそろりとした足取りでエリアがら離れていく。


意外なことに、コジローがキジトラの歩調に合わせてあとを追いはじめた。
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キジトラは後ろを振り返ることなく、悠然と歩を進める。


コジローは容疑者を尾行する刑事よろしく、キジトラとの距離を保ちながらあとを付けていく。
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コジローが突然立ち止まった。


そのコジローの視線を辿ると、ネットに腰を下ろしているキジトラの姿が見えた。
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やはり冷静を信条とするコジローだ‥‥。それ以上キジトラに近づくことはなかった。


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その時、そのコジローの後ろを見て私は驚いた。
ミイロがソコにいた‥‥!ミイロは私も気づかぬうちに、我々の後を付けてきていたのだ。



キジトラがおもむろに振り返った。
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その視線の先にいたのは、“特攻隊長”のミイロだ。


2匹の間には、まだ7メートルほどの隔たりがあった。
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ミイロはキジトラ見据えたまま、その場にうずくまった。


ミイロの接近を知り、にわかにそわそわし始めるキジトラ。
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結局コジローは、ただの傍観者、追跡者に終始した。

この後、私はミイロを抱きかかえてキジトラから引き離した。
腹の傷も癒えていないミイロを、こんな最前線に置いておく訳にはいかないからだ。






ブログをやっていて良かったと思うことが時折ある。
この日もそんなことを感じさせられる出来事があった‥‥。
船宿に見慣れないレジ袋が置かれてあり、その中には野良たちへのプレゼントが詰まっていた。
そして表には、黒いマジックペンで記された温かいメッセージがあった。

船宿110506-48.jpg
翌朝ボランティアのSさんから、このプレゼントの送り主に私から謝意を伝えてほしい旨のメールが届いた。
だが私には心当たりがなかった‥‥。
3月にも2度、同じように野良たちへのプレゼントがあったとSさんから報告を受けたが、それは後で厚木のNさんだと判明した。
しかし今回のメッセージの筆跡は、以前貰ったNさんの置き手紙のそれと明らかに違っていたのだ。


「どなたか存じませんが、ありがとうございました」


【私信】
厚木のNさんへ。
野良たちへのプレゼントのお礼を、以前伺ったメールアドレスへお送りしたのですが、お手元に届いていますか?
また海岸でお逢いできるのを楽しみにしています。




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コジローのスタンス

2011年05月14日 09:00

海岸110428-01.jpg


船宿エリア
エリアに到着した私を真っ先に迎えてくれたのは、ミイロと仔猫だった。

船宿110428-01.jpg
ちょうどそこへ、海岸のほうからコジローが帰ってきた。


仔猫が親愛の情を表してコジローに近づくが‥‥、
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コジローはすげなく体を躱してしまった。


それでも尚、コジローを慕って纏わり付く仔猫。
船宿110428-04.jpg
しかし、コジローの態度は如何にもすげない‥‥。


コジローの冷淡さに落胆した気持ちを紛らすためか、仔猫はいきなり私にすり寄ってきた。
船宿110428-03.jpg


そして、ついには私の膝の上に乗っかった。
飼猫だった頃は、おそらく人の膝の上が寛ぎの場所だったのだろう。

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ミイロがその様子をそっと見守っている。


船宿110428-05.jpg
“浜の伊達男”コジロー、その姿勢は常にクールだ。
別の異名“船宿のクールガイ”と呼ばれる所以だ。(本来の意味とは違っているが‥‥)



雑多なモノが置いてある釣宿の脇で、仔猫が何やら漁っている。
船宿110428-06.jpg
そこへミイロも近づいてきた。


その様子を見つめる“浜の伊達男”。
船宿110428-07.jpg
この野良は、自分の興趣を表すことを潔しとしない。


仔猫を放って、ミイロが好奇心に任せて辺りを仔細に調べはじめた
船宿110428-08.jpg


コジローは、相変わらず観察だけする傍観者の立場を崩さない。
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そしてカッコ悪いコトには係わらないし、“船宿のクールガイ”の矜持も崩すことは、ない。


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コジローの表情を見ていると、好奇心はあるのにそれを無理に抑えているように思えて仕方がない。


仔猫が先に興味をなくし、その場所から去っていく。
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すると、ミイロもすぐにあとを追った。


そこへ、常日頃からミイロに目の敵にされているクロベエが来合せた。
船宿110428-13.jpg
クロベエはミイロの顔を見ると、そそくさとその場を去っていく。


何の謂れもないことで、ミイロから一方的に敵視されるクロベエは、そのおとなしい性格故に見ていて気の毒である。
船宿110428-14.jpg
ミイロは、クロベエを厳しい面持ちで睨みつけたままだ。


足早に歩き去るクロベエの動向をミイロは執拗に窺っている。
船宿110428-15.jpg
クロベエが立ち止まると、ミイロは姿勢を低くし身構えた。


争いを好まぬクロベエは、ゆっくりと茂みの中へ入っていった。
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その様子を安全なトコロからつぶさに観察しているコジロー。


枯れ枝に護られたその場所は、敵の攻撃を受け難い格好の場所だった。
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そのコジローが振り返った先には‥‥、


仔猫がぽつねんとうずくまっていた。
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伏目がちのその無垢な瞳は、いったい何を映しているのだろう?


船宿前には、小腹を空かしたシシマルとツバサが既に待機していた。
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シシマルの右耳の下に大きな傷痕が見える。


この傷は、おそらく仲間同士の喧嘩が原因だと思われる。
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これは3日前の写真だが、大きく腫れて痛々しそうだ。今はその腫れもひき、順調な回復を見せている。


船宿前に野良たちが徐々に集まってきた。
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その中にトラブルメーカーのシロベエの姿も見える。シシマルの顔に傷を負わせた容疑が一番濃厚なのがこの野良だ。


そのシロベエを、茂みの間から凝視するコジロー。
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その険しい眼に籠められているのは、果たして怒りなのか恐怖なのか‥‥、どちらにしても尋常な眼つきではない。


脳天気なシロベエは、そんなコジローの視線に気づくことなく、素知らぬ顔をしている。
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今も微かに残るコジローの鼻の傷‥‥、この傷もシロベエの仕業だろうと、もっぱらの噂だ。


私は持ってきた猫缶を一気に開けた。
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仔猫も匂いにつられて、船宿へやって来た。


珍しくミイロの食欲が旺盛だ。
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マサムネの食事は相も変わらず、周囲のペースなど一切気にしないで、あくまでもマイペースでゆっくりだ。


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コジローは猫缶の匂いがしても、さっきの場所から動こうとしない。


そこで私は、コジローへ出前のサービスを行った。
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するとそこへ、自分の分を平らげたツバサが忍び寄ってきた。


ツバサがさらにコジローへ近づいてきた。
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そして大胆にも、コジローのトレイを前足で引き寄せようとした。


コジローはおもむろに体を起こすと‥‥、
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そのまま身を翻した。


私はツバサからトレイを取り上げると、再びコジローの許へデリバリーした。
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ツバサは諦めることなく、執拗に食事を狙ってコジローとの距離を詰めていく。


ツバサの存在に気づいているのかいないのか、コジローは脇目もふらずに食べている。
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ツバサがヨダレを垂らさんばかりの表情で、コジローへにじり寄る。


ツバサの接近を知り、コジローがついと顔を上げた。
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そしてコジローは、再び食事をツバサに譲り、その場から逃げるように姿を消してしまった。


ツバサもしつこいが、私もそれに負けず劣らずしつこい性格を持っている。
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コジローの後を追い、ツバサから没収したトレイを眼の前に置いてやった。


ツバサは離れたところから、コジローの様子をじっと窺っている。
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このエリアの先輩たちが一様に優しいのをいいことに、最近のツバサは少々専横な振る舞いが目につくようになった。


コジローがやっとのことで食事を終えた。
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コジローが残したトレイにツバサはすぐさま飛びつき、トレイを舐めるようにして欠片を漁りはじめた。


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海岸近くの草むらの中で、コジローは夕陽を浴びながら独り佇んでいる。


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私の後を追ってきたツバサが、コジローへ近づいていった。すると、“船宿のクールガイ”は素っ気無い態度で、ツバサを撥ねつけた。


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コジローは正体が知れないモノ、危険な匂いのするモノ、面倒なモノに敢えて近づこうとはしない。


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そういう意味で、コジローは兄のマサムネと性格を異にする。


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マサムネはツバサとも童心にかえってよく遊ぶ。
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だから、マサムネは此処のエリアの野良たちにとって“良き父”であり“良き兄”でもあるのだ。
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私が想像するに、コジローの座右の銘は『君子危うきに近寄らず』の可能性が高い。
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ともあれ、野良には生き残るための様々な処世術があるということだ‥‥。


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家族の肖像 その弐 『願い』

2011年05月11日 06:00

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私が離れている間にミイロとツバサは姿を消し、残されたマサムネと仔猫が所在無さそうにしていた。
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仔猫の表情には、相変わらず特有の憂いが漂っている。


私が近づくのをきっかけにして、マサムネはその場にうずくまった。
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いなくなったミイロを捜しているのか、仔猫は辺りをしきりと見回している。
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マサムネはそんな仔猫の視線を避けるように、あらぬ方を見つめたままだ。


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そのマサムネの様子は、まるで年頃の娘を目の前にして話の接ぎ穂を失った父親のようだ。
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仔猫もそんなマサムネのよそよそしさを感じているのかもしれない。


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やがて“父と娘”は固く眼を閉じた‥‥。


マサムネがいきなり毛繕いをはじめると、仔猫は促されるように大きな伸びをした。
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そして小さな鳴声をあげながら、側にいた私に体をすり寄せてきた。
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この仔は、海岸に遺棄されるまで家猫だったはず‥‥。
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だから未だに人の温もりを忘れられないのだ。


「本心は、元いた家に帰りたいんだろ‥‥?」
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伏目がちの仔猫の双眸が何を訴えているのか‥‥、仄見えた気がした。


仔猫は私から離れると、沈鬱な気分を紛らすように爪とぎをはじめた。
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仔猫が次に興味を持ったのは‥‥、
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釣宿の店内だった。
仔猫は少し躊躇ったあと、扉の開け放たれた釣宿の中へ忍び込んでいった。



だが人の出入りに驚いたのか、慌てて釣宿から飛び出してきた。
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その時、仔猫は戻ってきたミイロの姿を認めた‥‥。すると仔猫は足早にその“母”へ駆け寄っていった。


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そして“母”“父”の側にうずくまった。


よほど気になるらしく、マサムネは同じところを執拗に毛繕いしている。
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その側で、ミイロは耳をそばだてたまま微動だにしない。


逞しい母と優しい父に囲まれた仔猫は穏やかな表情を見せている。
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でも、この仔はまだ知らない‥‥、これからの自分の運命について。


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マサムネがようやく毛繕いを終え、おもむろに体を起した。


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そして、ゆっくりと歩を進めると‥‥、


豪快に爪を研ぎはじめた。
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ところがマサムネは突然爪とぎを中断すると、眼の前のカーペットの匂いを嗅ぎだした。


釣宿の船長さんが乾したものだから、魚の匂いでも染みこんでいるのかもしれない。
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いつの間に忍び寄ったのか、仔猫がその様子を興味深そうに見つめていた。


マサムネは仔猫の存在に気づくと‥‥、
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きまりが悪そうに眼を逸らした。


マサムネはそのまま踵を返し、悄然とした足取りで仔猫の側から離れていった。
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独り残された仔猫は、寂しそうにマサムネの後ろ姿を見送っている。


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マサムネは、ミイロからも少し離れたところへ静かにうずくまった‥‥。


このエリアは、私が知るほかのエサ場に比べると、比較的安全で平和である。
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それでも、世話をするSさんが野良たちのために置いてあるキャットフードが何度もイタズラされる被害に遭っている。


またここ数年の間に、交通事故で何匹かの野良が此処で命を落としている。
そしてカポネのように、ある日突然行方知れずになる野良も少なからずいるのだ。

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このように、外で暮らす野良の生活は常に危険と隣り合わせなのだ。


「なあマサムネ、“父”として仔猫に教えてやってくれないか‥‥、外の暮らしが如何に剣呑で厳しいかを」
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このエリアに係わる全ての人は願っている‥‥。
一日でも早く、この仔猫が優しい誰かの目に止まって、家族として迎えてくれることを。


その“誰か”が、今このブログを読んでいるあなたであっても一向に構わない。



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家族の肖像

2011年05月08日 09:21

垂れ込めた黒い雲の合間から微かな陽射しが差し込む湘南海岸‥‥。
海風が強く吹く砂浜に人影は見えない。

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海も荒れ、白い波頭を立てて波が打ち寄せているが、サーフィンに適さない波なのだろう、ひとりのサーファーもいない。


船宿エリア
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私が船宿エリアへ着いてまず目にしたのは、まるで“絵に描いたような家族”の光景だった。


マサムネの周りには仔猫とツバサが寄り添うように集まっている。
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それまで離れたところにいたミイロが、おもむろに立ち上がった。


そして皆の側に歩み寄ると‥‥、
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静かにうずくまった。


マサムネが仔猫の顔をしげしげと窺っている。それとももう1度挨拶をしようと思っているのか?
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その仔猫の表情はちょっと困惑気味だ。


でもマサムネの側から離れることはない。
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悲しげな表情に見えるが、元々この仔は憂い顔なのだ。


ツバサと仔猫はマサムネに寄り添ったままだ
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その後ろには“逞しい母”が泰然と構えている。
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そして“優しい父”は幼い仔たちを護っている。


時折その仔らの様子を気遣いながら‥‥。
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知らない人が見れば“本当の家族”と勘違いしそうな光景だ。


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憂い顔の仔猫もきっと家族の温かさを感じているはずだ。


マサムネがその場にうずくまると‥‥、
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仔猫はそっと移動した。


そして家族が一列に並んだ。
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に両脇を護られる幼い仔たち‥‥。


その家族を午後の柔らかな陽射しが包み込んでいる。
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ツバサは逞しいマサムネの体にピッタリと体をくっ付けている。


幼い仔たちの様子を見つめるミイロ‥‥。
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そのミイロの表情が微笑んでいるように私には見えた。


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目の前の光景を見ているうちに、猫たちが元々皆眷族であったことを、私は改めて思い知った。


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しばらくすると、仔猫が穏やかな面持ちで眼を閉じた。


この小さな頭の中にはどんな思い出が詰まっているのか‥‥。
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未だ“別れた家族”のことを思い描いているのだろうか?それとも‥‥。


私が知る海岸猫の中で一番優しいと言っても過言ではない野良‥‥マサムネ。
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この優しさはどんな境遇で培われたのか‥‥もしそれが分かれば多くのニンゲンに教えてやりたいものだ。


ツバサはその“優しい父”にすっかり甘えている。
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この安心しきって如何にも幸せそうなツバサの表情をどう名状すればいいのだろう‥‥残念ながら私の乏しい語彙の中にその言葉は見つからない。


この頃になると、雲に隠れていた太陽が顔を出してきた。
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その暖かな夕刻の陽射しを皆気持ち良さそうに浴びている。


幼い仔たちのとしてのミイロは本当に頼もしくも優しい野良である。
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さらにいうと、ミイロはこのエリアの“唯一の母”でもある。


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父と母に囲まれて心丈夫になったのか、やがて仔猫は体を丸くし安らかな眠りに就いた。


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そうしているうちに、幸せそうな一家を夕陽が紅く染めはじめた。


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さて、前回の記事でミイロの異変を心配してコメントやメールをいただいたので、その報告をしたいと思います。
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後日、ミイロのお腹を調べると直径3センチほどの傷が発見されました。この傷が原因で臥せていたものと思われます。


〈以下はキュウさんからの報告に依ります〉
その後、キュウさんとyuさんがミイロを動物病院へ連れて行き、診察を受けさせたところ、この傷は喧嘩などが原因で負ったものと判明しました。

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それが長い期間かけて被毛の下に表れてきたもので結構深い傷だったそうです。食欲の減退もこの傷が原因の可能性があったとのこと。
治療としては傷口を消毒して、抗生剤と消炎剤の注射を打ってもらいました。全治までに2ヶ月を要する重傷だったのです。
キュウさんとyuさんに感謝です。




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