涼を求めて

2011年08月23日 07:19

朝‥‥。
この時刻から強い陽射しが容赦なく照りつけている。

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家を出る時は、そのつもりはなかったのだが‥‥、
私の足は引き寄せられるように“川”へ向かっていった。

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郷里の町を南北に貫く川は、盛夏の空を映し鏡のように横たわっていた。


私は実家の老犬と連れ立って、夏草が繁茂する川辺へ降りていった。
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川べりに立つと、川面を渡る風が涼を運んでくるのを感じる。


老犬は流れに前脚を浸し、豪快に水を飲みはじめた。
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喉の渇きは癒されたはずなのに、老犬は川から出ようとしない。
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いつものように憂いを含んだ老犬の表情からは、何も読み取ることが出来ない。


そこで、私も老犬に倣って川の流れに足を浸してみた。
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水の冷たさに身を竦めたが、それは一瞬のことだった。
老犬が何故、岸に上がらないのか‥‥、私にはよく理解できた。



清い流れは束の間、暑さを忘れさせてくれる。
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老犬と一緒に、私はしばらく川の流れに身を任せることにした。


川の側で暮らすのもいいなと‥‥、
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老犬の横顔を見ながら私は独りごちた。


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同日‥‥。
私は、ソレを危うく見逃すところだった。



ソレは、民家の門柱の上にひっそりとうずくまっていた。
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故郷で初めて目にしたあの“黒猫”だ。久しぶりの再会になる。


前回首輪をしているのは分かったが、その色までは確認出来なかった。
青い首輪をしているところをみると、オスなのだろう。

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黒猫は険しい目つきで身構えている。


その視線の先にいるのは、実家の老犬だ。
臆病なこの犬は、黒猫を認めても相変わらず哀愁に満ちた面持ちでおとなしくしている。

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そんなビビリ犬相手でも、黒猫はなかなか警戒心を解かない。


しばらくすると、黒猫の表情が幾分和らいできた。老犬が敵意を持っていないのが分かったようだ。
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私は声をかけながら、そっと黒猫へ近づいていった。


そして、左手をゆっくりと差し出した‥‥。
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と、次の瞬間、黒猫は門柱に体をすり付けると、甘えた声で「ニャア」と鳴いた。


静かに体を撫でると、黒猫は素直に身を委ねた。
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しばらくそうしていると、人馴れした黒猫は気持ち良さそうに目を閉じた。


だが黒猫は私に気を許しても、思い出したように鋭い眼光で目を瞠る。
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しかしその黒猫の警戒対象である老犬は、あらぬ方向を見つめたまま所在無げに佇んでいるだけだ。


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「ミャア」
黒猫は最後にもう一度、小さな鳴き声を上げた。



私が猫を触ったのは、実に久し振りのことである。
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その感触すら忘れかけていた私にとって、この黒猫との触れ合いは一服の清涼剤を与えられような嬉しい出来事だった



* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *



帰郷する際に紹介しましたが、我が実家にはPCもネット環境もありません。
そこで、インターネットを利用するにはネットカフェに通うしかないのですが‥‥。

利用料金を払うと、合板のパーテーションに囲まれた一畳ほどのスペースが与えられます。
ドリンクは飲み放題ですが、“腹も身の内”そんなに飲めるものではありません。

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PCのスペックは敢えて調べていませんが、あまり高くないと思われます。
RAMも必要最低限しかインストールされていないようですし‥‥。
またモニターの解像度も低く、その画質もお世辞にも良いとはいえません。

慣れない環境でのブログ更新は、とにかくストレスが溜まります。
それに利用時間の制限もあり、なかなか思うように記事が書けない状況です。

それでなくても拙い写真と拙い文章の当ブログ‥‥、こんなブログを発表していいものかと自戒するばかりです。
なのでご訪問してくれる皆様には、恐縮すると同時に感謝しています。
また、ご訪問いただいた管理人さんのブログへ頻繁に訪れることができずにいること、大変心苦しく思っています。

さて父は一般病室に移りましたが、なお加療が必要で未だ退院の目処は立っていません。
という訳で、私も海岸猫のことが気掛かりなのですが、今しばらくは故郷を離れることができません。

上記のような事情で本来の“野良猫ブログ”とは程遠い内容が続きますが、ご容赦くだるようお願いいたします。

薄暗いネットカフェにて
管理人:wabi




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チビタ(ツバサ)近影

2011年08月06日 08:51

チビタ(ツバサ)の里親であるチャチャさんから再び写メールが届いた。

右目加療中のチビタ(ツバサ)は、まだエリザベスカラーを装着していた。
未だ右目から血の混じった赤い涙を流すという。

ツバサ01
様子を見てカラーを外すと、チビタ(ツバサ)は飽きもせず毛繕いをするという。ただ目を離すと、すぐに右目を引っ掻くので気が抜けないらしい。
カラーが外せるのは赤い涙が止まってからだ。チャチャさんに言わせると、その時期はもうすぐらしい。
「チビタ(ツバサ)、もう少しの辛抱だ。それまではチャチャさんの言うことをよく聞くんだぞ」



特大のエリザベスカラーを付けていても、チビタ(ツバサ)は海岸にいた頃と同じように腕白振りを発揮している。
ツバサ02
網戸に登り、壁で研ぎ、そしてベランダの鉢植えを掘り起こしてオシッコをするなどやりたい放題で困っているという。しかし、チャチャさんは続けて「でも、元気で甘えん坊でかわいいです」と溺愛振りを垣間見せる。まさに“猫可愛がり”状態だ。
「本当にイイ人の許へ行ったな。チビタ(ツバサ)」



チビタ(ツバサ)が海岸を離れて1ヶ月以上が経った。


チャチャさんは感慨深く綴る‥‥。
「チビタ(ツバサ)を引き取ったときのブログを見て、なんだかすごく前の出来事に感じてしまい、チビタ(ツバサ)は1ヶ月ちょっと前まで海岸に住んでいたんだなぁ、と、当時のチビタを懐かしく思ってしまいました」そして‥‥、

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「チビタ(ツバサ)を引き取ることを知った方達に喜んでいただけて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と締めくくった。
その文言を読んで、私は思わず呟いた。
「感謝しているのは、チャチャさん‥‥、私たちのほうですよ」




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疲弊した町

2011年08月01日 08:00

夕刻の漁港。
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水路へ降りる階段に動くものを発見し、私は思わず身を乗り出した。
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しかし‥‥、それは私が希求していたモノではなかった。
そこにいたのは、“鳥”だった。



そこへもう一羽、同じ鳥が舞い降りてきた。よく見ると、今度の鳥は頭に白い飾りをつけている。
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白い飾りは雌雄の違いかもしれない‥‥。すると、この2羽は“つがい”ということになる。


残念ながら、私はこの仲睦まじい鳥の名を知らない。
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名も知らぬ夫婦鳥が啄ばんでいるのは“小魚”だ。


水路へ下る階段に多数の小魚が散らばっている。
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おそらく、魚を水揚げするときにこぼれ落ちたものだろう。


その小魚を求めて、大型の鳥もやって来た。
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しかし、私が探し求めているのは鳥ではなく、あくまでも“猫”なのだ。


夕刻だからか‥‥、先日は目にしなかった人影がちらほら見える。
そこで私は、軽トラックを洗車中の女性に話しかけた。

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「ここに猫はいないのですか?」
すると、その女性はしばし視線を宙に泳がせた後、「昔はいくらかいたけど、今はいないねェ」と言った。
「漁港なら猫がいると思ったんですが‥‥」
「見つけたら、すぐに保健所へ持っていくからね」と女性。
実にさらりとした口調だった。
私は後の言葉を濁し、女性に礼だけ言うと、足取り重くその場を離れた。



私の故郷に野良猫がいない理由‥‥。
このことはある程度予期していたが、現実として突きつけられるとさすがに動揺した。

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野良猫がいない町‥‥、それは理想の姿だ。野良猫に係わる人々が求める最終目標でもある。だが、私の故郷の在りようは果たして理想の姿といえるのだろうか‥‥?


野良猫がいない町は“野良猫を生かしておかない町”だ。さっきの女性の言葉通りならそういうことになる。
でも、もしそうであっても、それを非難することなど私には出来ない。

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その土地、その土地にはそれぞれ事情があるはずだ。野良猫を養っていくにはそれなりの余裕が必要になる。それは人であったりお金であったり‥‥。
思うに、私の故郷にはそんな余裕がないのかもしれない。



昔は買い物客で賑わった商店街は寂れ、しもたやが目立つ。
商店


町で唯一のデパートも最近閉店し、解体工事がはじまっていた。
商店02


飲み屋街にはかんこ鳥が鳴き、娯楽の殿堂と謳われたパチンコ屋も潰れていると聞いた。
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町全体が疲弊しているのだ。そんな町に野良猫を養う余裕などありはしない。


野良猫がいない町とは、すなわち“疲弊した町”なのだ。
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私は何とも遣り切れない想いを抱いたまま帰路についた。




それは、漁港へ猫を探しに行った2日後の夕刻だった‥‥。

出会いは、唐突に訪れた。




ここは老犬との散歩コースにある民家の玄関先‥‥。
黒猫
実家から数百メートルしか離れていない。


1匹の黒猫が外の様子を窺っていた。
黒猫02
その黒猫は実家の老犬を認めると、にわかに身構えた。首輪をしているところを見ると、この家の飼い猫なのだろう。


老犬が近づくと、黒猫は身を翻して距離をとった。
黒猫03
しなやかな猫の姿態を久しぶりに見た私は思わず興奮した。そして、飼い猫とはいえ猫の姿を確認出来て、安堵した。


老犬との散歩コースなのに、何故今まで遭遇しなかったのか‥‥、それには理由があった。
黒猫04
この家は2頭の犬を飼っている。散歩中の我々を発見するとその2頭が激しく吠えるため、いつも足早に通り過ぎていた。それに、そんな家によもや猫がいるなどとは思いもしなかったのだ。


私たちがその場を離れるまで、黒猫は警戒心を緩めることなく、険しい眼で睨みつづけていた。
黒猫05
この町に猫はいた‥‥、少なくとも1匹だけは。



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