木陰の猫 その参『首輪の謎』

2011年10月26日 12:00

クロちゃんと別れた後、白いハンチングの女の子から教わった、首輪をしたシャム猫が出没するという空地を訪れてみた。
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しばらくその近辺を探してみたが、猫がいる気配はない。


空地には、打ち捨てられた自転車が無残な姿を晒しているばかりだ‥‥。
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間の悪いことに、辺りには草刈機の甲高い音が鳴り響いていて、これでは猫も現れないだろうと断念した。





数日後‥‥。
私は再びあの狭い道を通って、クロちゃんと出会った場所へ向かった。

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公園の手前の川に架かる、鉄の橋にさしかかったときだった。私の視界に一瞬猫の後姿が入ってきたのは‥‥。
私はとっさに、あれはクロちゃんだ、と思い、自転車を漕ぐ脚に力を入れた。



ところがその場に着いたとき、クロちゃんの姿は既になかった。私は完全にクロちゃんを見失ってしまった。
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前方の道路にも公園の中にも姿は見えず、身を隠したとすれば、この辺のはずなのだが‥‥。
私は見当をつけて、一軒の家に近づいていった。



私を迎えてくれたのは三頭の犬だった。
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この犬はたしか、先日クロちゃんと金網越しに対面した犬‥‥。双子のように似ているので、どちらかは分からないが。


と、そこへ1匹の茶トラが姿を現した。この茶トラと見間違えたのか‥‥?
いやしかし、さっきの後姿はこの茶トラとは違っていた。

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私がしばらくそこに佇んでると、先日犬の散歩をしていた中年の女性が現れたので、挨拶をすると「ああ、この間公園で写真を撮っていた方ね」と先方も私のことを覚えてくれていた。

そこで、キジトラのことを訊くと「あの子は野良猫で、毎日うちにエサを食べに来るの。さっきも来たけど、犬に驚いて何処かへ行ってしまったわ」と女性。
不思議に思った私は、先日会った自転車の少年が言ったことを伝えた。
すると女性は、訝しげな表情で「橋の向こうの家でも每日エサを貰っているし、あの首輪はうちの飼猫のお古なの。野良猫だとイタズラされるといけないから」と言った。



ちなみにこの茶トラは野良猫で、やはり每日ここでエサを貰っているという。
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この家の飼猫にイジメられるので、その飼猫の天敵であるこの白い犬の側にいつも避難しているそうだ。


茶トラはこの家を殆ど離れず、いつもこの安全な場所で寛いでいるという。
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だから行動範囲の広いクロちゃんと違って、この茶トラには首輪が必要ないのだろう。


この白い犬は猟犬で、猪狩りの際にハンターであるご主人に帯同するという。
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そんな逞しい犬をボディガードにするとは、この茶トラもなかなかしたたかだ。


つづけて女性は、こんな逸話を教えてくれた。
近所で飼っている鶏がネズミの被害に遭っていたのだが、クロちゃんと茶トラがそのネズミを退治してくれるので感謝されているという。

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この女性の話で分かったのは、クロちゃんは地域の人に愛されているということだ。
飼猫か野良猫かにかかわらず‥‥。



私はクロちゃんが現れるのを公園で待つことにした。
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この日も季節外れの残暑で、夏日を記録した。


そして‥‥、待つこと20分。公園に1匹の猫が姿を見せた。
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「クロちゃんだ!」
クロちゃんは脇目もふらず、真っすぐ公園を横切っていく。



「おーい、クロちゃん」
私はクロちゃんの後を追いながら声をかけた。

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クロちゃんは一瞬、警戒の表情を見せたが、すぐに私だと分かったようで、踵を返した。


そして、私の足許にうずくまると‥‥、
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「ニャア、ニャア」と甘えた声をあげた。


「さっき、お前のこと色々聞いたけど‥‥何が本当なのか教えてくれよ」
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日向は暑いので、クロちゃんを涼しい木陰に誘うことにした。


私がゆっくりと、その場を離れると‥‥、
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クロちゃんも、ゆっくりとした歩調で後を追ってきた。


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そしてそのまま、私が待つ木陰へやって来た。


私は女性の話を聞いて、クロちゃんが飼猫なのか野良猫なのか分からなくなっていた。
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飼猫でも所謂“別宅”をいくつか持っていて、そこでエサを貰うことはよくあることだ。


でも‥‥、自転車の少年の近所で本当に飼われているなら、誰が付けたか分からないこんなボロボロの首輪をそのままにしておくだろうか?
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普通、飼い主の自覚があるならこの首輪を外すか、新しいモノに替えるのではないだろうか。ちなみに、私ならそうする。


「クロちゃん‥‥、お前は飼猫か野良猫か、どっちなんだ?」
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おそらくクロ自身は、そんなこと意に介していないに違いない。


周りの人たちに愛され、食べ物をくれる家をいくつも持っていれば生きていけるからだ。
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でも寒さを凌ぐねぐらは必要だろう。それに病気になったときは誰が世話をしてくれるのだろう‥‥?


首輪についての疑念がどうしても頭から離れないが、このことだけでクロちゃんを野良だと断定することが早計なのは、私にも分かっている。
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そしてまた、何もしてあげられない今の私にそんな心配をする資格がないことも分かっている。


今はただ、この人懐こいキジトラが幸せに暮らしていることを願うばかりだ。
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涼しい木陰に腰を落ち着けたクロちゃんは、今日も毛繕いに余念がない。
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毛繕いを終えたクロちゃんは、周りを見回しはじめた。天敵である犬の接近を警戒しているのだろうか‥‥。
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私がそんなクロちゃんの写真を撮るために距離をとると‥‥、


クロちゃんはすぐに後を追ってくる。
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本当に、このキジトラは甘ったれだ。


この気質は生まれつきなのか、それとも生きるために身につけた処世術なのか分からないが‥‥。
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この人懐こさがあるから、この猫は多くの人に愛されているのだろう。


通りすがりの言わば余所者の私も、クロちゃんの魅力に惹かれるくらいだから‥‥。
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でもそんな私には、僅かの間一緒に過ごすことしか出来ない。


私自身はクロちゃんと接していると、心が癒されるのだが‥‥、
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クロちゃん的にはどうなのだろう?


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クロちゃんは木陰ですっかり寛いでいるが、私が呼び止める前は何か目的がある様子だったはず。
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ひょっとしたら、私に気を使って敢えて道草を食っているのかもしれない。


「クロちゃん、お前何か用事があって急いでいたんじゃないのか?」
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しかし、私の問いかけにクロちゃんは馬耳東風で、毛繕いをつづける。


そんなクロちゃんがいきなり動いた。
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公園を出て用水路へ向かっていく。


そして、先日と同じように用水路へ降りていった。
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やはりここは、クロちゃんお気に入りの水飲み場だったのだ。


山からの水と途中に幾つかある湧き水が混ざり合った用水路の水は、澄み切っている。
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このときも、クロちゃんは味を楽しむように時間をかけてゆっくりと水を飲みつづけた。


喉の渇きを癒したクロちゃんが公園に戻ってきた。
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木陰に座ったクロちゃんは、何やら考えごとでもするように眼を据えた。
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そしてついには眼を閉じ、瞑想しはじめた。


しばらくそうしていたが、何かを思い立ったように、クロちゃんはおもむろに立ちあがると歩を進めはじめた。
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どうやら私が声をかける前に目指していた目的地を思い出したようだ。


クロちゃんが向かったのは、先日と同様、自転車の少年が言ったクロちゃんの家がある方角だ。
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果たしてクロちゃんには、寝床が用意された家があるのだろうか‥‥?


クロちゃんは途中で歩みを停めると‥‥、
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私の方を振り返り「ニャアーッ」と一際大きな鳴声をあげた。


クロちゃんにすれば別れの言葉だったのだろうが、私には『あんたもクヨクヨしないで、しっかりしなよ』と言われたように感じた。
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「ありがとう、クロちゃん。私もお前を見習って周りから愛されるような人になれるよう努力してみるよ」


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飼猫だろうが、野良猫だろうが、クロちゃんはこれからも皆に愛されて暮らしていくだろう。私はそんなクロちゃんが少し羨ましかった。


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退院の目処が立たない父、そしていくつもの持病を持ち常に体調不良を訴える独居の母を目の当たりにして、私の心は勢い塞ぎがちになる。
そんな私の心を束の間和ませてくれたクロちゃんには大いに感謝している。
そして多少大袈裟だが、今回のクロちゃんとの交流を経て、私は思った‥‥。
“ああ‥‥、自分は猫によって生かされているんだなぁ”と。




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木陰の猫 その弐『別れ』

2011年10月19日 08:00

季節外れの暑さを記録した10月のある日、私は実家近くの公園で1匹のキジトラと遭遇した。
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時刻は午後1時過ぎ‥‥。この日は休日なのだが、公園に人影は見えない。


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当のキジトラは私の存在など忘れたように、さっきから涼しい木陰で毛繕いに余念がない。


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ところが、私と目が合うと‥‥、


とたんに毛繕いをやめ、おもむろに近づいてくる。
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そしてキジトラは、私の脚に体をすり付けてきた。


さらに、私の足許にうずくまると、「ニャア、ニャア」と何かを訴えるように鳴く。
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そんなキジトラに対して、今の私にしてあげられるのは、こうやって体を触れることだけだ。


このキジトラはいつもこうやって、誰彼の区別なしに纏いついているのだろうか?
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私がしばらく頭を撫でると、キジトラは気持良さそうに眼を細めた。


「なあ、お前はいつもこうして独りでいるのか。一緒に遊ぶ友達はいないのか?」
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しかしキジトラは眼を細めたまま、何も応えない。どうやら、私が覚えた湘南訛りの猫語はここでは通じないようだ。


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ともあれ、飼猫なら帰る家もあるだろうし、温かく迎えてくれる飼い主もいるのだから、束の間の滞在者である私には、あれこれ詮索する資格などないのだ。


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その後も、キジトラは私の側から離れようとしない。


私はあらぬ方向を眺めはじめたキジトラの隙を窺い、そっと離れた。
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「おっと、気づかれた」


それにしても、キジトラのこの異常ともいえる人懐こさは、いったい何に起因するのか‥‥。
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ボロボロの首輪をしたキジトラ‥‥。彼がいったいどんな事情を抱えているのか、私の興味は尽きない。


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私がその場を離れたにもかかわらず、キジトラに動く気配はなく、緊張の面持ちで何かを見つめている。


キジトラの視線を追って振り返ると、散歩中の犬が近づいて来ていた。
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キジトラはその犬から、一瞬足りとも眼を放さない。


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キジトラは尚も犬の後姿を凝視しつづける。人懐こいこのキジトラも、さすがに犬は警戒すべき対象のようだ。


犬の姿が完全に見えなくなると、キジトラはホッとした表情で振り返った。
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と、思ったのも束の間‥‥、


キジトラがまた、緊張の眼差しで体を強張らせた。
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小型犬なのだろう、フェンスが邪魔をしてよく見えないが、また散歩中の犬やって来たようだ。
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体の大きさが自分とおっつかっつの小型犬だからか、キジトラの態度にはさっきより余裕が見える。猫もちゃんと相手を見て反応しているのだ。


犬もそんなキジトラを気にとめることなく、飼い主を急き立てるように公園を横切っていく。
111008-38.jpgにもかかわらず、キジトラは犬から決して視線を外さない。


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そうしてまた‥‥、


公園にはキジトラと私だけが残された。
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何事もなかったように、毛繕いを再開するキジトラ。


それでも時折、胡乱な眼つきで辺りを見回す。
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その眼つきは、私と接している時には決して見せない険しいものだ。


それからしばらくの間、10月の爽やかな風が通る木陰で、キジトラは毛繕いをつづけ‥‥、
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私はそんなキジトラを、ただ見ていた。


と、その時、私は背後に人の気配を感じ、振り返った。
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自転車に乗った少年が、我々のすぐ側まで来ていた。
「クロちゃん、ここで何してるんだ?」少年は親しげにキジトラに話しかけた。
「この猫のこと知ってるの?家は近くにあるの?」
私は急いでいる風の少年を慌てて引き止めて、質問を浴びせた。



「ぼくの近所の家で飼っている猫で、“クロちゃん”っていうんです」
家の方角を訊くと、少年は後ろを振り返り指をさして教えてくれた。
「それにしても、この猫すごく人懐こいねぇ」
「クロちゃんは人に甘えるから‥‥」少年はキジトラを見つめながら笑った。

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「クロちゃん、バイバイ」公園を出ると、少年はキジトラに声をかけた。
するとキジトラは、フェンスまで歩み寄って少年を見送った。



「そうか‥‥、お前の名前は“クロ”というのか‥‥」
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このキジトラに帰る家があることを知り、私の胸の中にあった疑念は解消された。


そこへさっきの犬が戻ってきた。クロちゃんがそれを察知し、身を低くし構える。
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金網越しに犬と対峙したクロちゃんは「ニャ~ゴ」と威嚇の声をあげた。だが犬はそんなクロちゃんを、ただ穏やかな眼で見つめるだけだ。


クロちゃんは私の脚に体を押し付けながら、犬の動向を見つめつづけた。
「お前、よほど犬が嫌いみたいだなぁ‥‥」

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犬が立ち去ると、クロちゃんはついと私から離れフェンスの下から頭を突き出し、辺りの様子を窺いはじめた。


そして誰もいないのを確認すると、フェンスをすり抜けて道路に出た。
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道端に腰を下ろしたクロちゃんは、そこでも周りの様子を見回すと‥‥、


身をひるがえし用水路に跳び降りた。
「!!」
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用水路の水は、山からの水と湧き水とが混ざり合い、清らかに透き通っている。


クロちゃんはその水を味わうように、ゆっくりと時間をかけて飲んでいる。
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おそらく、ここはクロちゃんお気に入りの水飲み場なのだろう。


水を飲み終えたクロちゃんは、足早に公園の中へ入っていった。
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現われた時と同様、しっかりとした足取りだ。


そして、そのまま公園を芝の上を、躊躇うことなく進んでゆく。こちらを一度も振り返ることなく‥‥。
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そんなクロちゃんを、私はその場に佇みながら静かに見送った。


私には分かった‥‥。クロちゃんは家へ帰るつもりなんだ、と。
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クロちゃんが向かう先は、果たして自転車の少年が指さして教えてくれた、クロちゃんの家の方角だったからだ。


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クロちゃんの姿が見えなくなった後、初対面の私と1時間あまりも付き合ってくれたことに感謝したい気持ちが膨らんできた。
「クロちゃん、ありがとう。縁があったらまた会おうな」
私は別れを惜しみながら、心のなかで呟いた。



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‥‥縁があったらしく、数日後、私はクロちゃんとの再会を果すことが出来た。

ところがその時、思いがけないことからクロちゃんの奇妙な実情を知ることになった。
さらに、飼猫には似つかわしくない首輪をしている理由もまた、知ることになる‥‥。


<つづく>



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木陰の猫

2011年10月15日 07:47

町の中心部に行くルートを、私は3つ持っていて、その日の気分で使い分けている。
実は、もう一つルートがあるのだが、今回の帰省では2度しか通っていない。

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何故なら、途中民家に阻まれ道幅が極端に狭くなっていて、自転車では人とすれ違うことも困難だからだ。


なのでこの時、どうしてその道選んだのか、私にもよく分かっていない‥‥。
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ともかく、日頃使わぬ道を自転車で進んでいる時だった‥‥。
その猫と遇ったのは。


鉄の橋を渡り切ると、前方の道の真中に小さな動くモノが私に目に入った。
すぐに猫だと分かった私は、警戒されないように手前で自転車から降り、そっとカメラを取り出した。

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猫も私の姿を認めたようだ。私は慌ててカメラを構えた。
しかし、シャッターを押すよりも先にその猫が動いた。逃げるつもりなのだろう‥‥、私はそう思った。が、そのキジトラはそんな私の予想を裏切り、こっちに向かって歩を進めはじめた。



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その後もキジトラは、初見のニンゲンに向かってずんずん近づいてくる。


そして‥‥、
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私の足許で歩みを停めると、「ニャア」と鳴いた。


金網フェンスの向こうは公園になっている。
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数個のコンクリ製のベンチと鉄棒があるだけなので、“広場”と呼んだほうが相応しいかもしれないが。


後ろを振り向くと、キジトラもゆっくりとした歩調で公園に入ってきた。
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このオスのキジトラ、首輪をしている。そうであるからには、飼猫なのだろうが‥‥。
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キジトラのその鈴の付いた首輪をよく見ると、随分と年季が入ったシロモノで、いたる所が剥げ、擦り切れ、そしてささくれ立っていた。
「近くに家があるのか?」訊いてみたが、返事はない。



写真を撮るために、私が遠ざかると‥‥、
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キジトラは慌てて私の足許にすり寄ってくる。


再び私が、後退りしながら離れると‥‥、
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今度は、頭を押し付けてきた。


「こんなに接近されると、写真が撮れないんだけどなぁ‥‥」
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そこで私は、一気にキジトラから距離を取った。


するとキジトラは、ゆっくりとした足取りで、私の後を追ってきた。
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その後も、私の動きに合わせて何処までもついてくる。「ニャア、ニャア」と甘えた声を上げながら‥‥。


この日は10月とは思えない気温の高さで、日向にいると汗ばむほどだ。
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私はキジトラを引き連れたまま、さっきまでいた木陰に戻った。
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このキジトラが私に何を求めているのか分からないが、しばらく側にいることにした。


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「お前の家は何処にあるんだ。そこで待ってる人がいるんじゃないのか?」
そう言いながらキジトラを撫でていると‥‥、



私の背後から、白いハンチングを被った女の子が唐突に現われた。
キジトラは、その女の子にも屈託なく甘えはじめる。

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「この猫のこと知ってるの?」私は女の子に訊いてみた。
「何処の猫か知らないけど、前にこの公園のベンチにいるのを見かけことがあります」
女の子は、その時のことを思い出すように答えた。



さらに、この辺りに野良猫のいる場所はないかと尋ねてみた。
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すると女の子は、口をすぼめて「う~ん」と言いながら、しばらく考えていたが、結局野良猫のいる場所が彼女の口から出ることはなかった。


その代わりと言って、女の子は首輪をしたシャム猫を目撃した場所を地図を交えながら丁寧に教えてくれた。
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そして女の子は、用事でも思い出したように、慌ただしく去っていった。


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私が女の子を見送っている間、キジトラは独り木陰で寛いでいた。


キジトラは、私が傍らにいると安心するのか、毛繕いをしはじめた。
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この後も、私はこのキジトラと共に、いくつかの出会いを経験することになる‥‥。

<つづく>



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