父の気遣い

2012年01月25日 08:50

私は現在、郷里にいる。
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昨年の秋、郷里を去るときには夏の余韻すら感じられたが、今は冬枯れの風景が広がっている。


霞んで見える遠くの山々は雪を頂いている。
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去年の暮れに父が死去した。死因は肺炎‥‥。


6月末に肺炎で緊急入院したが、その後症状は安定し、病名も“慢性気管支炎”と変わり、長期入院が可能な病院への転院準備をしていた矢先のにわかな再発だった。
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実家の母や近くに住む父の妹も、父の臨終に間に合わなかったそうだ。結局父は、身内に看取られることなく病院のベットで息を引きとった。


生前の父は、とにかく周りに気を遣う人だった。息子である私に対しても同じ態度で接するほどに。
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そんな父の姿を見るたびに、私は「親父、もっと毅然としてくれよ」と、内心思ったものだ。


ちなみに、家にいたときの父は、この雑種犬を可愛がっていた。
“犬は飼い主に似る”の譬えどおり、やはりこの老犬も周りに酷く気を遣う。

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散歩中も、後ろを歩く私を盛んに振り返り、歩度を合わせようとする。


‥‥私が閉め切っていた自室のカーテンを開け床を上げたのは、症状が悪化し床に伏してから4週間近くが経った日だった。
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その翌日、父の肺炎再発の報せが郷里よりもたらされた。
ただ危篤状態ではなく、その日は母も家にいた。
次の日私は、父が入院している病院のソーシャルワーカーの女性に電話を入れた。
「このまま安定するかもしれませんが‥‥、今は何ともいえません」
ソーシャルワーカーの話しぶりは慎重で歯切れが悪かった。



そして翌晩‥‥。
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もう少しで日付が替わろうとするとき‥‥、父は逝ってしまった。


斎場の通夜室に寝かされていた父は、穏やかな顔で私を迎えてくれた。
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父の死が5日‥‥、いや、3日早かったなら、重い身体を抱えた私は帰省するのに難渋しただろう‥‥。


祭壇に置かれた父の遺影を見ているうちに、ある感慨が私の心に自然と湧いてきた。
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〈父は待っていてくれたのだ‥‥。私の体調が快復するのを〉
いかにも父らしい最期だと思った。
その父の遺影に向かうと、私はつい呟いてしまう。
「親父、ムコウヘ行ったら、もう余計な気遣いはしなくていいからな」



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お詫び

皆様からのコメント、メールにお返事が出来ずにいることをお詫びいたします。

仏事、役所への届け、名義変更など煩瑣な手続きを、高齢な母ひとりで行うのは困難なので、しばらく実家に滞在しなければなりません。

事情お察しの上、ご猶予をいただくようお願いいたします。


管理人:wabi
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