早朝の情景 (前編)

2014年11月25日 22:00

『 早起きは三文の得 』という諺があるが、私には皮肉にすら感じられる

なんとなれば、睡眠障害に罹ってからは早すぎる目覚めに落胆してばかりだからだ。

それに早く起床したからといって、薬の効果が残った頭は霧がかかったような半覚醒状態で、木偶のように数時間呆けていることしかできなのだから、私にとって早起きは時間の損失に他ならない。

ところが、ごく短い睡眠時間しかとれなくても、雲ひとつない碧天のように頭の中がスカッと澄み渡るときがある。

こらから記すのは、そんな稀な日にあった出来事だ。


早朝の湘南海岸。
Rarea14May01c.jpg

Rarea14May02c.jpg

Rarea14May03c.jpg


言っておくが、『 早起きは三文の得 』という諺を否定しているわけではない。
私とて早起きには様々な良い効用があるのは承知している。


そしてこの日、早期覚醒した私もその恩恵にあずかった‥‥。


黄色のウインドブレーカーを着た小柄な女性は、ランの世話をしているボランティアのエサ遣りさんだ。会って話がしたいという、ランの猫ハウスを見てからの願いがやっと叶ったのである。
Rarea14May04c.jpg
女性が帰宅を急いでいたので、長く話せなかったが、それでも私が海岸を離れていた空白を埋める貴重な情報を与えてくれた。
その情報はこれからの記事でおいおい述べていくことにする。



しばらく待っていると、朝食を終えたランが防砂林から出てきた。
Rarea14May05c.jpg

Rarea14May06c.jpg
ところがランはその場にうずくまると、険しい目付きで前方を見つめたまま動こうとしない。


後ろを振りむいて、ランが警戒している訳が私にも理解できた。
Rarea14May07c.jpg
砂浜への降り口に1頭の犬がこちらを向いて陣取っているのだ。


その犬が飼い主に連れられて立ち去ると、ランはすぐに砂浜へ降りる階段へやって来た。
Rarea14May11c.jpg

Rarea14May08c.jpg


陽光があまり当たらない防砂林の中より、日差しを遮るものが何もない海岸のほうが猫だって気持ちいいに決まっている。
Rarea14May09c.jpg

Rarea14May10c.jpg
『 野良猫だからといって、いつも日陰で怯えていることはないんだ 』
彼らが何者にも脅かされずに陽の当たる場所へ出られる日が訪れることを、私は願ってやまない。



私が近づくと、ランは何の前触れもなくばたりと横転した。
Rarea14May12.jpg
いつも思うのだが、猫はどうして寝転がるとき、卒倒するようなやり方をするのだろう。


しなやかな動きが信条の猫のことだから、もっと優雅な寝転び方ができると思うのだが‥‥。
Rarea14May13.jpg

Rarea14May14.jpg

Rarea14May15.jpg

Rarea14May16.jpg
朝陽を全身に浴びて、ランはいかにも心地よさそうだ。


ランはそれから一連の行動のように毛づくろいをはじめた。
Rarea14May17.jpg

Rarea14May18.jpg
猫はキレイ好きでしょっちゅうグルーミングをする。


主な目的は身体を清潔に保つことだが、体温調整や皮膚病の予防、さらには精神的ストレスを和らげる効能もある。
Rarea14May19.jpg

Rarea14May20.jpg

Rarea14May21.jpg
ランは殊のほか潔癖なタチで、入念に毛づくろいをする。


いつもなら‥‥。
Rarea14May25.jpg
しかし、今回はあっさりと毛づくろいをやめてしまった。やはり猫は気紛れだ。


猫が仰向けになり手招きするようなこのポーズは、「ワタシ(ボク)と遊んでよ」という意思表示である。
Rarea14May28.jpg
ランはそういう真似をしないが、馴れた猫でもこの状態のとき不用意に手を出すと、その手は爪を立てた前足につかまれ、後足による “ 猫キック ” を食らうことになる。


猫パンチが単発銃なら、猫キックは連発銃のような威力をもつ恐怖の攻撃で、まともに受けるとそのダメージは猫パンチの比ではない。
Rarea14May26.jpg
「それはともかく、ラン、ここは人目があるから後で場所を変えて遊んであげるよ」
私が海岸猫と本気で遊ぶのは、たいてい撮影を終えて周りに人がいないときだ。



なんとなれば、彼らの身の安全を考えて人馴れしていることを喧伝したくないからだ。逆に撮影時は『 この猫は多くの人に護られている 』ということを周りに知らしめる行動を心がけている。
Rarea14May29.jpg

Rarea14May31c.jpg
ただその匙加減はなかなか難しく、自分の思いどおりの伝わり方をしているかどうか自信はない。


そのとき、1匹のプードルが通りかかった。
この子は以前にも何度かブログに登場してくれたワンコ友達の『 ミミちゃん 』だ。

Rarea14May32b.jpg

Rarea14May33b.jpg
ミミちゃんは自分が犬だと自覚していないのか、猫に親しみを感じている様子で、いつもランに近づこうとする。


でも体つきが猫とおっつかっつのミミちゃん、迂闊に近づくとランの一方的な攻撃に遭ってしまうだろう。
Rarea14May34b.jpg
「ランに親近感をいだいてくれるのは嬉しいけど、キミをそんな目に遭わせたくないんだよ」
運命的なめぐり合わせがあって猫ブログを始めたが、私は元々犬も大好きなのだ。



ランの反応が気になり振り向くと、彼女は階段を降り切って砂浜に寝転がっていた。
Rarea14May35b.jpg

Rarea14May36b.jpg
ひょうきんな表情のランは、まるで「こっちへおいでよ」と私を誘っているように見えた。


周りに人がいないのをイイことに、ランは砂浜で腹を見せている。
Rarea14May37b.jpg

Rarea14May39b.jpg

Rarea14May40b.jpg

Rarea14May41b.jpg

Rarea14May44b.jpg
「野良猫がそんな無防備な格好をしちゃダメだ」そう思いながらも、私は惹きつけられるように階段を降りっていった。


私が砂浜に降りるまで、ランは寝転がったままという無警戒ぶりだった。
Rarea14May45b.jpg


そして私がカメラを構えるのを待っていたかのように、また体をくねらせ始めた。
Rarea14May46b.jpg

Rarea14May47b.jpg

Rarea14May48b.jpg

Rarea14May49b.jpg

Rarea14May50b.jpg

Rarea14May51b.jpg

Rarea14May52b.jpg

Rarea14May53b.jpg


猫がニンゲンの前で腹を晒すのは「あなたを信頼していますよ」という親和的なメッセージもこめられている。
Rarea14May54b.jpg
それだけでも嬉しいのに、仰向けのまま見つめるという、悩殺ポーズをされると猫好きは悦楽の境地にまで到達してしまう。


こういう行為をするからといって、猫はニンゲンに愛嬌を振りまいている訳でも媚を売っている訳でもなく、ごく自然な感情の発露である。
Rarea14May55b.jpg

Rarea14May56c.jpg
最近はリンエリアに頻繁に通い、ランとまともに会うのは久しぶりで、彼女もそのことを喜んでくれているのか‥‥。


もしそうであっても、嬉しさより切なさを感じてしまうのは私の性格のせいだろう。
Rarea14May57c.jpg

Rarea14May58b.jpg
この時間帯にしては珍しく浜辺に人影は疎らで、ランが敵対視する犬の姿も見えない。


穏やかな波打ち際には、ほぼ同じ間隔を空けて釣糸を垂らしている釣人がいるだけだ。
Rarea14May61b.jpg

Rarea14May63b.jpg


こういう僅かな間隙をねらってランは砂浜に降りているのだろう。
Rarea14May59b.jpg

Rarea14May60b.jpg


こんな日は滅多にないからか、ランはまたぞろ砂の上に横たわった。
Rarea14May64b.jpg

Rarea14May65b.jpg
朝陽によって適度に温められた砂が心地いいのだろう。


「ラン、それは反則だよ」
こんな可愛い仕草を見せられると、思わず笑みがこぼれてしまう。

Rarea14May66b.jpg

Rarea14May67b.jpg

Rarea14May68b.jpg
“ 防砂林に住まう人 ” のテントで生を享けて4年、ニンゲンの年齢に換算すると30~32歳で、言うところの『 アラサー女子 』である。


3匹の子供をもうけたが、いずれも行方知れずになってしまった。2年前に私が不妊手術を受けさせたから、もう子供は産めない。
Rarea14May70b.jpg

Rarea14May71c.jpg
不幸な子を増やさないためにも、ランの身体のためにも、私のしたことは正しかったと確信しているが、独りで無聊そうなランを見るにつけ複雑な心境になるのもまた事実だ。


ボランティアの女性にアスカのことを訊いたところ、正確な時期は忘れたが去年のうちに行方不明になったと言う。
Rarea14May74b.jpg

Rarea14May75b.jpg
私が不在の間にアスカの身に何が起こったのか、知っているのは母親であるランしかいない。
しかし、何度アスカのことを尋ねても、ランは緘黙をとおして何も教えてくれない。



人懐こかったアスカのことだから、優しい人に保護されて、今は家猫として幸せに暮らしている可能性が高い、と思っている。
Rarea14May76b.jpg

Rarea14May77b.jpg
それに、無理にでもそう思わないと、私の心の痛みがいや増す。


野良猫は入院させてもらえない動物病院だったので、不妊手術を受けたランとアスカを部屋に一泊させた。(詳細は【不妊手術 その参『退院』】を参照)
Rarea14May79b.jpg
生後半年だったアスカだけでもそのまま保護して、里親を見つけてやっていたら行方不明という曖昧な別れをしなくて済んだのにと悔やまれる。


あの時の判断は、長く保護できない事情が私自身にあったのと、仲睦まじい母子を離ればなれにさせたくないという、今思えば浅薄で皮相な考えから下したものだ。
Rarea14May80b.jpg

Rarea14May81b.jpg
見苦しい自己弁護と受けとられるのを承知で言うが、「私にはできる事とできない事が画然としているし、至らないニンゲンだから判断を誤ることも多々あるんだ」


「だから許してくれよ、ラン‥‥」
が、このような状況に己を追いこんだのは、私自身が無為に馬齢を重ねてきた結果である。

Rarea14May82b.jpg
‥‥どうやら、私は後悔が新たな後悔を生む負のスパイラルに陥っているようだ。


それまで砂浜でのんびり寛いでいたランはいきなり体を起こすと、階段を足早に登っていき、格好から一目でロードバイカーと分かる男性の足許に端座した。
Rarea14May83b.jpg

Rarea14May84c.jpg
てっきりランの顔見知りかと思ったが、なぜかその男性はランに一瞥もくれずリュックから取り出したドリンクボトルで喉を潤している。


ランの表情には困惑と落胆の色が見える。
誰か別の人と勘違いしたのだろう。猫の視力は存外悪く、遠くのものははっきりと識別できない。

Rarea14May85b.jpg
推察するに、顔見知りの中にやはりサイクルウェアを着たロードバイカーの男性がいるのだろう。


そのランに、黒ずくめの男性が何気ない風を装って近づいてきた。
Rarea14May86b.jpg
この男性、さっきからファインダーと私の視界に出たり入ったりしながら、意図的にランを見ないで接近するという不審な行動をとっていた。


ロードバイカーが腰をあげると、それを待っていたように、黒ずくめの男性はその場に屈み、ランを撫ではじめた。
Rarea14May87b.jpg

Rarea14May88b.jpg
ランは嫌がる様子を見せず身を委ねている。


慈しむようにランの身体を撫でる男性の横顔は、孫と遊ぶ好々爺といった風情だ。
ただ、すぐ側でその場景を撮影している私はまるっきり無視されている。

Rarea14May89b.jpg

Rarea14May90b.jpg
そうして、私に話しかけるきっかけを与えないまま男性は立ち去った。


同年代だと思われるふたりだったが、完璧に黙殺したロードバイカーの男性、気兼ねしながら接してきた黒ずくめの男性と、ランに対する態度はまるで違っていた。
Rarea14May91b.jpg

Rarea14May92b.jpg
同じニンゲンなのにどうして自分への対応が違うのか、ラン自身も戸惑っているのではないだろうか。


「大丈夫だよラン、私のお前に対する想いはいつまでも変わらないから」
Rarea14May93b.jpg

Rarea14May95d.jpg

Rarea14May98b.jpg
私の言ったことが分かったのか、ランは私の目の前でゆっくりと横たわった。


しばらくすると、朝陽を全身に浴びながらランは束の間の眠りについた。
Rarea14May96b.jpg

Rarea14May97b.jpg

Rarea14May99b.jpg
「ラン、悪いけど、私がお前の為にしてやれる事には限りがある。それを分かったうえで付き合ってくれると嬉しい」


Rarea14May100b.jpg

Rarea14May101b.jpg


〈次回へつづく〉



ブログランキングに参加中
気に入って頂けたら下のバナーをクリックしてください
にほんブログ村 猫ブログ 野良猫へ
いつも応援ありがとうございます


【 コメントに関して 】
◆コメントは承認制です。
◆非公開コメントも可能です。
◆コメント返しは次の更新後にさせていただきます。
◆地名などの固有名詞を記したコメントはご遠慮ください。


スポンサーサイト
関連記事

東方の異変 (後編)

2014年11月14日 19:00

まるで白い靴下を履いているようだから、私はそのメス猫を “ ソックス ” と呼んでいた。

ソックスは海岸近くの小さな公園で、野良猫の母から生まれた生粋の野良猫だ。

コロコロした体型とどんぐり眼だけでも愛嬌のある猫だったが、何よりもその人懐こい性格で多くの人を魅了していた。


Socks-01c.jpg

Socks-02c.jpg
この海岸猫に会うために県外から訪れる人もいる、という話も嘘ではなさそうだ。


ソックスはいきなりカメラを向けられても動じることなく、モデルの様にちゃんとポージングする。
Socks-03c.jpg

Socks-04c.jpg
だから私はそんな彼女を密かに『 海岸のアイドル 』とか『 野良猫界のフォトジェニック 』と称していたのだ。


ソックスには、体は一回り小さいが姿かたちのそっくりな母親がいた。
Socks-37c.jpg

Socks-38c.jpg

Socks-39c.jpg
あまりに酷似していたので、知り合った当初は別個に会ったときなどによく見誤ったのを憶えている。


Socks-24.jpg
当時、母娘の識別は鼻先を見て判断していた。鼻先が白いのが母猫の “ タビ(足袋) ” である。


その小さな公園でひっそりと平穏に暮らしていた母娘だったのだが‥‥。

ある時を境にその状況は激変する。

最初に起こったのは、心無いニンゲンによる陰湿な “エサ場荒らし” だった。


私がその凶行を最初に知ったのは2010年10月のことだ。
Socks-27.jpg

Socks-28.jpg
エサ場を囲っていた傘の骨が折られ、食器類もすべて持ち去られていた。


このエリアの海岸猫の世話をしていたA夫妻がすぐに新たな傘と食器でもって復旧した。
Socks-29.jpg

Socks-30.jpg
ところが‥‥。


傘は鋭い刃物で切り裂かれ、そしてまた食器類はすべて無くなっていた。
Socks-05c.jpg

Socks-06c.jpg
海岸に棲むソックスたちはニンゲンに直接迷惑をかけていない。なのにどうしてこんな酷いことをするのか、私は怒りで我を忘れそうだった。


私は植込や草むらに遺棄されていた食器やプレートを回収し、エサ場を元の姿に近づけた。
Socks-07c.jpg

Socks-09d.jpg
A夫妻の手による悲痛な訴えが綴られたプレート。犯人はこの文言を読んで反省するどころか、遣り口を尖鋭化させた。
刃物を携帯しているこのニンゲン、明らかに危険で異常だ。



変わり果てた自分たちのエサ場を見つめるソックスの胸中に去来する思いはいったい何だろう?
Socks-46c.jpg

Socks-47c.jpg
驚きなのか悲しみなのか不安なのか、はたまた怒りなのか、残念だが私にはうかがい知ることができなかった。


それから数日後、エサ場はまた荒らされた。これで三度被害に遭ったことになる。
Socks-10c.jpg

Socks-11c.jpg
今度は簡単に復旧できないように、すべての傘の柄と骨が折られていた。私は改めて犯人の異常性を垣間見る思いがした。


それでもボランティアのA夫妻としては、エサ場を復旧せざるを得ない。海岸猫がいる限り給餌をやめる訳にはいかないからだ。
Socks-32.jpg
そして‥‥。


四度目のエサ場荒らしが起こった。手口から同一犯の仕業なのは明白だ。
Socks-12c.jpg


執拗に犯行を繰り返す常軌を逸したこのニンゲン、紛うことなき偏執的な異常者だ。
Socks-13c.jpg
A夫妻はエサ場の復旧を諦めた。


この異常者の矛先が海岸猫たちに向くのを恐れたのだろう、と私は推察している。
Socks-14c.jpg
結局、A夫妻はエサ場を目立たないほかの場所へ移した。
しかし雨除けの傘を設置できないから、頻繁にエサ場へ通うことになり、夫妻の負担が増えることになった。



今回の記事を書くために私は過去ログを読み返した。すると当時の記憶がありありと蘇ってきた。

同時に、はらわたが煮えくり返るほどの怒りも喚び覚まされ、その度にキーボードを打つ手が止まって記事の制作が遅々として進まなかった。

エサ場荒らしをつづけた “ 偏執狂 ” に対しては今でも言いたいことが沢山ある。

しかし激情に駆られてこれ以上書き綴ると長文になるし、罵詈雑言を羅列してしまうだろうし、なによりブログの主旨から逸脱しそうなので、当時の心情を吐露した一節を再録するにとどめておく。



『 ソックスを野良猫という不遇な境遇に遭わせたのは我々ニンゲンだ。

彼女はただここで息を潜めて生きることしかできない。

そんなささやかな望みさえ、今脅かされている。

いったい誰にそんな権利があるのか!?

少しばかり脳ミソが大きいだけの傲慢な生き物に、そんな権利は与えられていない。絶対に!!

私の心は震えている‥‥怒りと‥‥それ以上の悲しみで 』




私は防砂林の中に足を踏み入れた。数メートル先に、場違いな鳥居が建っている。
Sarea14May03-06c.jpg

Sarea14May03-07c.jpg
水をつかさどる神が祀られている神域を知らしめるための鳥居だ。


ここもソックスお気に入りの場所だった。
Socks-33.jpg

Socks-34.jpg

Socks-35.jpg

Socks-36.jpg
エサ場を移してからは平穏に暮らしていたソックスだが、数ヵ月後に新たな苦難が訪れた。


ソックス親子の憩いの場であった公園が公共工事のために取り壊されたのだ。
Socks-15d.jpg

Socks-16d.jpg
その事実を知人から知らされた私はすぐさまソックスエリアに駆けつけた。知人の言うとおり公園は跡形もなく消滅していた。


工事の様子を凝視するソックスと母のタビ。
Socks-17c.jpg

Socks-20c.jpg
自分たちのエサ場がニンゲンの手によって壊される光景を見て何を感じているのだろう。


異常者によるエサ場荒らしが治まって安堵していた私も、この母娘の心情を忖度するとまたぞろ心が塞ぐ。
Socks-18d.jpg

Socks-19d.jpg
自覚するしないに関係なく、結局我々ニンゲンは野良猫たちを苦しめつづける存在でしかないのかもしれない。


鳥居の前で私がそんな感慨にふけっていると、防砂林から突然1匹のキジ白が出てきた。
Sarea14May03-08c.jpg

Sarea14May03-09c.jpg
私にとっては顔見知りの海岸猫で、会うのは1年半ぶりになる。


しかし私を警戒し、自ら近づいてくることなどなかったのだが‥‥。
Sarea14May03-10c.jpg

Sarea14May03-11c.jpg
キジ白はときおり小さな鳴き声を発しながら、さらに近づいてくる。


そしていきなり地面に体を横たえた。
Sarea14May03-12c.jpg

Sarea14May03-13c.jpg
私の目の前で、こんな仕草を見せたのは今回が初めてである。


この海岸猫は左の眼球を欠損している。
Sarea14May03-16c.jpg

Sarea14May03-24c.jpg
初見は2年ほど前だと記憶しているが、そのときすでに隻眼だった。


この子の出自は不明で、誰に訊いても知らないという。
Sarea14May03-18c.jpg

Sarea14May03-19c.jpg

Sarea14May03-20c.jpg
最初はニンゲンの姿を見ると防砂林の奥へ逃げ込んでいたので、生まれながらの野良猫だろう、と思っていた。


だが地面に寝転がって甘える所作をこうして見せられると、そうとは言い切れない気がしてきた。
Sarea14May03-21c.jpg

Sarea14May03-22c.jpg
雌雄も判然としないが、容貌や身体つきから “ 女子 ” の可能性が高い。


何処で生まれどんな経緯で海岸に棲みつくことになったのか、いつもながら野良猫のバックストーリーには興味をかきたてられる。
Sarea14May03-17c.jpg

Sarea14May03-23c.jpg
我が家の元海岸猫も出自がまったく分からず、折に触れ「お前は何処から来たんだ?」と訊くのだが、彼女の言っている内容を解せなくて、いつも歯痒い思いをしている。


猫と長く係わっていたせいで、鳴き声やボディーランゲージでその時の気分は分かるようになったが、過去の話となると、難解な “ 猫語 ” の修得が必須である。
Sarea14May03-25c.jpg

Sarea14May03-26c.jpg
この隻眼のキジ白の行動を観察したところ、私に対する態度が以前と比べて随分と和らいでいるように感じる。


空白の1年半のあいだに、何か契機があったのだろうか。
Sarea14May03-27c.jpg

Sarea14May03-28c.jpg

Sarea14May03-29c.jpg
私を見つめる眼差しに強い警戒色は見えず、穏やかな面持ちで私を観察している。


キジ白はやおら身体を起こすと、ゆっくりとした足取りで近づいてきた。
Sarea14May03-30c.jpg

Sarea14May03-31c.jpg

Sarea14May03-32c.jpg
そして、私の後ろにある松の木に頭をゴシゴシと擦り付けはじめた。
「いったい、何をしているんだ?」私は訝った。



体を翻したキジ白は私に接近してきた。
Sarea14May03-33c.jpg

Sarea14May03-34c.jpg
だが、体は触れていない。私の脚とキジ白の間には数センチの距離があった。


こんな思わせぶりな真似をされたのは初めてだ。
Sarea14May03-35c.jpg


体を反転させたキジ白は再び私に向かってきた。
Sarea14May03-36c.jpg

Sarea14May03-37c.jpg
が、やはり数センチの間隔を空けて私の脚を通りすぎる。
この行為、『 エア・スリスリ 』とでも呼べばいいのだろうか。



キジ白の複雑な心境がうかがえる。私と近しくなりたいけど、まだ躊躇っているのだろう。
Sarea14May03-38d.jpg

Sarea14May03-39d.jpg
残念だが私に “ アニマルコミュニケーション ” の能力は、無い。それでもキジ白の心中を私なりに推測してみた。


で、安直だが取り敢えずカリカリを与えることにした。
Sarea14May03-40c.jpg

Sarea14May03-43c.jpg
しかしあまり腹が減っていないのか、キジ白はカリカリを一粒一粒味わうよう食べる。


「それにしても‥‥」と私は怪訝に思った。
Sarea14May03-41c.jpg

Sarea14May03-42c.jpg
さっき見たら、以前あった植込の中のエサ場は撤去されていた。またA夫妻も海岸猫の世話をやめたと仄聞している。


ではこの子は誰の世話を受けているのだろう?
近隣のエサ場へ出張っているのか、それとも新たなエサ遣りさんに給餌して貰っているのだろうか。

Sarea14May03-44c.jpg

Sarea14May03-45c.jpg
1年半という期間は、海岸の状況を様変わりさせてしまうには十分であるらしい。


防砂林の奥へ歩を進めていたキジ白だったが、おもむろに踵を返すと、またこちらへ向かってくる。
Sarea14May03-46c.jpg

Sarea14May03-47c.jpg

Sarea14May03-48c.jpg
「私に言い残したことでもあるのか?」


キジ白は私の方を向いたまま地面に腹ばいになった。
Sarea14May03-49c.jpg

Sarea14May03-50c.jpg
私もその場にしゃがんだままでキジ白の次の行動を待つことにした。


トレイを挟んでキジ白と私は向き合った。第三者的な視点から眺めたら妙なシチュエーションだ。
Sarea14May03-51c.jpg
私は再びキジ白の心中を推し測ることにした。


で、短絡に過ぎるが取り敢えずトレイに猫缶を盛ってみた。
Sarea14May03-52d.jpg


ところが、私がトレイを置くために近づくと、キジ白は慌てて防砂林へ引っこんだ。
Sarea14May03-53c.jpg


キジ白は猫缶を一顧だにせず、あらぬ方向を見つめはじめた。どうやら私の推測は外れたようだ。
Sarea14May03-54c.jpg

Sarea14May03-55c.jpg
樹上に動くものでも見つけたのか、キジ白は小さな鳴き声をあげた。


そろそろ海岸を去る時間が近づいてきた。
そこでエリアを離れるにあたり、ダメ元で猫缶の入ったトレイをキジ白の近くに置き直してみた。



すると、キジ白はやおらトレイに近づいてきて猫缶を食べはじめた。
Sarea14May03-56c.jpg

Sarea14May03-57c.jpg

Sarea14May03-58c.jpg
「なんだ、さっきまでの無関心な態度はフェイクだったのか」


気まぐれで融通無碍な猫の行動を予測すること自体、無理なのだ、と私は改めて思い知った。
Sarea14May03-59c.jpg

Sarea14May03-60c.jpg
食べながらも警戒を怠らないキジ白。野良猫が生き抜くための悲しい習性である。


Sarea14May03-61c.jpg

Sarea14May03-62c.jpg

Sarea14May03-63c.jpg
キジ白は再び隻眼を見開き前方を凝視する。その視線は私を通りこして鳥居の方に向けられている。


キジ白の視線をたどって後ろを振り返ってみたが、何を警戒しているのか私には分からなかった。
Sarea14May03-64c.jpg

Sarea14May03-65c.jpg
聴覚の優れた猫のこと、常ならぬ物音を聴きとったのかもしれない。


猫缶を食べ終えたキジ白は悠然と防砂林へ入っていく。
Sarea14May03-69c.jpg

Sarea14May03-68c.jpg
トレイの中を見ると、猫缶一缶分をほぼ完食している。腹は減っていたが、カリカリより猫缶が好みだったようだ。


Sarea14May03-70c.jpg

Sarea14May03-71c.jpg
満腹になれば馴染みのないニンゲンなど無用とばかりに、キジ白は安全な防砂林の奥へ腰をおろした。


Sarea14May03-72c.jpg

Sarea14May03-73c.jpg

Sarea14May03-74c.jpg
「ここへは頻繁に来られないけど、今度会うときまで元気でいてくれよ」


Sarea14May03-75c.jpg

Sarea14May03-76c.jpg
防砂林の中のキジ白はいかにも小さく、そして儚げに見えた。


scenery14May03-12c.jpg

scenery14May03-10c.jpg

scenery14May03-09c.jpg

scenery14May03-11c.jpg


さて最後に、その後のソックスとタビのことに触れておきたい。
Socks-40d.jpg

Socks-41d.jpg

Socks-42d.jpg
母猫のタビは工事が始まった直後の2012年の春に、海岸から姿を消してしまった。


独りぼっちになったソックスは、それでも傍目には屈託のない様子で暮らしていた。
Socks-43d.jpg

Socks-44e.jpg

Socks-45d.jpg
しかし、そのソックスも2012年の暮を境に姿を見せなくなった。
砂浜にうずくまっているソックス。この後ろ姿がソックスを見る最後になろうとは、当時の私は想像もしていなかった。



おぼろげな記憶だが、ソックスは2012年の時点で5、6歳だった。

野良猫の平均寿命は4~6歳だから、ソックスは精一杯生き抜いたと言うべきかもしれない。

でも、私は信じている。今でも何処かで元気にしていると。

さらにいうと、少なくとも私の心の中には、愛くるしいどんぐり眼とコロコロした体型、そして人懐こい性格のまま生きつづける。いつまでも‥‥。



ブログランキングに参加中
気に入って頂けたら下のバナーをクリックしてください
にほんブログ村 猫ブログ 野良猫へ
いつも応援ありがとうございます


【 コメントに関して 】
◆コメントは承認制です。
◆非公開コメントも可能です。
◆コメント返しは次の更新後にさせていただきます。
◆地名などの固有名詞を記したコメントはご遠慮ください。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『問わず語り』

ここ数ヵ月、体調が悪い。
がために海岸へもあまり足を運んでいない。
申し出のあった仔猫の保護の算段をしなければならないのに、体が言うことを聞いてくれないのだ。
『SSRI』の量を減らしてから総じて体調は芳しくなかったのだが、9月以降さらに下降の一途をたどっている。
その間、酷い抑うつ状態に陥って数日間床に臥したことも何度かあった。

『SSRI』を増量すれば精神は高揚するが、そうすると副作用もまた増大される。
私に表れる副作用は、ちょっとした事でイライラし、怒りぽっくなり、衝動的な行動を起こしやすくなる、というものだ。
実際に『SSRI』を多量に服用していた時期には周りの人と何度か衝突している。
加えて『SSRI』は私の心の隅でおとなしくしている希死念慮にも活力を与えてしまう。

だから逡巡している。薬を増やすことに。




関連記事

東方の異変 (前編)

2014年11月02日 22:00

ここ数年で海岸猫の数が減っていることは前回の記事で述べたとおりだ。

防砂林に点在するエサ場のなかに、10数匹の海岸猫が棲む “ 東のエサ場 ” というエリアがあった。

敢えて「あった」と過去形で表現したのには理由がある。

なんとなれば東のエサ場は “ 消滅 ” したからだ。

それも、たった1匹のオス猫のせいで‥‥。


scenery14May03-01c.jpg

scenery14May03-02d.jpg

scenery14May03-07c.jpg

scenery14May03-04d.jpg


東のエサ場。
Earea14May03-01c.jpg

Earea14May03-02c.jpg
私がエリアに到着した途端に、1匹の茶トラが何処からともなく現れた。


眼光鋭く私のことをねめつける茶トラ。
Earea14May03-03c.jpg

Earea14May03-04c.jpg
そして、「ニャーッ!」と大きな鳴き声をあげた。


Earea14May03-05c.jpg
この海岸猫の名は『 チビ太郎 』。
命名したのは、ブログ上で私が『 長靴おじさん 』と呼んでいるホームレスの男性だ。



チビ太郎は防砂林に作られたテント小屋で、長靴おじさんと一緒に暮らす “ 飼い猫 ” だった。
chibi_01c.jpg

しかしその長靴おじさんは病を得て、チビ太郎独り残して海岸から去っていった。
chibi_02c.jpg

そして冬が目前にせまった数ヵ月後、テント小屋は防砂林の管理者によって完全に撤去され、チビ太郎は飼い主に加えてねぐらをも失ってしまう。
chibi_03c.jpg

それでもボランティアの人に発泡スチロール製のねぐらを作ってもらい、毎日給餌されていたチビ太郎は自分のエリアにとどまっていた。
chibi_04c.jpg

chibi_10c.jpg

chibi_13c.jpg

その頃だ、長靴おじさんを待っているチビ太郎の姿が、度々見られるようになったのは。
chibi_08c.jpg

chibi_06c.jpg
「チビ太郎、おじさんは病気になったから、もうここへは帰ってこられないんだ。これからお前は独りで暮らしていくんだよ」


しかし私が何度説明しても、チビ太郎は聞く耳を持たず、防砂林の入り口を見つめたまま動こうとはしなかった。
chibi_07c.jpg

chibi_05c.jpg
チビ太郎はそうやって、長靴おじさんが戻ってくるのを信じて待ちつづけていた。

こうして自分のエリアで暮らしていたチビ太郎だったが、しばらく経つと、姿を見せないときが多くなった。

寂しさに耐えられず、長靴おじさんを捜しに出かけているのだろうか、と思っていた。

これが、2012年秋に起こった出来事だ‥‥。


ところがそれ以後、チビ太郎が東のエサ場で頻繁に目撃されるようになった。
ただしチビ太郎は去勢手術を受けているので、メス猫を求めて移動したわけではない。

Earea14May03-06c.jpg

Earea14May03-07c.jpg
だからチビ太郎が長年住み馴れたエリアを離れて、なぜよそのエリアに出張っていたのか、その理由は分からなかった。


ちなみに、私がチビ太郎と会うのはほぼ1年ぶりだ。
Earea14May03-08c.jpg

Earea14May03-09c.jpg
「チビ太郎、久しぶりだな。やっぱりココにいたのか‥‥」果たしてチビ太郎は私のことを憶えているだろうか?


チビ太郎は悠然とした足取りで近づいてきた。
Earea14May03-10c.jpg

Earea14May03-11c.jpg
普通、猫がモノに身体を擦りつける行為はカワイイと感じるが、チビ太郎の場合はやや伝法な印象を受ける。


朽ちかけた柵に寄りかかると、チビ太郎はそのまま歩みをとめてしまった。
Earea14May03-12c.jpg

Earea14May03-13c.jpg
チビ太郎がどういう行動に出るのか、私は離れた場所で黙って観察することにした。チビ太郎もまた、目を伏せて沈思している。


ややあってチビ太郎は柵から離れると、砂山を降りはじめた。
Earea14May03-14c.jpg

Earea14May03-15c.jpg
周囲に視線を巡らせながら、チビ太郎はゆっくりと私のほうへ近づいてくる。


そして私の脚に体を擦り寄せてきた。
Earea14May03-16c.jpg

Earea14May03-17c.jpg
チビ太郎は私のことをちゃんと憶えていてくれたのだ。


「なあチビ太郎、あの話はホントなのか‥‥?」私はチビ太郎の顎をつかみ詰問した。
Earea14May03-18c.jpg

Earea14May03-19c.jpg
「お前がここに棲みついたせいで、ほかの猫たちがいなくなった、というのは」
しかしチビ太郎は固く口を閉ざして何も言わない。



冒頭で述べた “ たった1匹のオス猫 ” とは、このチビ太郎のことだ
Earea14May03-22c.jpg

Earea14May03-23d.jpg
かつて10匹以上いたエサ場はチビ太郎の出没をきっかけにして、徐々に機能しなくなり、ついには “ 消滅 ” してしまった、と仄聞している。


知人の話だと、ここに長年棲んでいた海岸猫たちは、1匹残らず四散したそうだ。
Earea14May03-20c.jpg

Earea14May03-21d.jpg
私も面識がある、ここの猫たちの世話をしていたボランティアのKさんという女性もまた、それがために海岸へ来なくなったという。


Earea14May03-24c.jpg

Earea14May03-25c.jpg
しかしそんなことが実際にあるのだろうか、と半信半疑の私は実際に自分の目で確かめようと思い、ここにやって来たのだ。


この海岸猫は多少気分屋のところがあるが、人懐こい性格を持っている。
Earea14May03-26c.jpg

Earea14May03-27c.jpg
私が1年近く海岸を離れていた間に、いったいこのエサ場で何が起こったのか、チビ太郎には訊きたいことが沢山あった。


Earea14May03-29c.jpg

Earea14May03-28g.jpg
さっきまでの青空はにわかに立ちこめた霧に覆われ、空と海を分かつ水平線も模糊としてきた。


私はエリアをゆっくりと歩きながら、ほかの海岸猫の姿を捜し求めた。
Earea14May03-31c.jpg

Earea14May03-36c.jpg
しかし目を凝らしてネット越しに防砂林の中もさぐってみたが、猫の影すら視界に入ってこない。


やはりこのエリアにはチビ太郎しかいないのか‥‥。
Earea14May03-32c.jpg

Earea14May03-35c.jpg
にわかに信じがたいが、チビ太郎ひとりのために、このエリアの海岸猫たちが居なくなったという話は信憑性をおびてきた。


ここがこのエリアのエサ場だ。
Earea14May03-37d.jpg

Earea14May03-78c.jpg
水入れは残っているが、水が入っていない。それにいつも置いてあった陶器製の食器がすべて無くなっている。


エサ場としての役目を終えているという話は本当のようだ。
Earea14May03-38c.jpg

Earea14May03-39c.jpg
とすれば、新たな疑問が湧いてくる。


「チビ太郎、お前は誰の世話を受けているんだ?」
Earea14May03-40d.jpg

Earea14May03-41c.jpg
チビ太郎が誰かに食事を与えられているのは明らかだ。でないとココ(海岸)で野良猫は生きていけない。


Kさんが海岸猫の世話をしなくなったのなら、いったい誰が‥‥。残念ながら私にはその人物について、まったく心当たりがない。
Earea14May03-43c.jpg

Earea14May03-44c.jpg
少なくとも見た目は可愛げのない強面の野良猫の世話をするからには、それなりの思い入れがある人だろう。


以前より体重が減って体が一回り小さくなっているが、それはその時分が太りすぎていたからで、体型としては今が標準に近い。
Earea14May03-45c.jpg

Earea14May03-46c.jpg
試しに猫缶を与えてみたが、食べ方を見る限り飢えている様子はうかがえない。


Earea14May03-47c.jpg

Earea14May03-48c.jpg
食料事情は良好なようだし、チビ太郎の健康状態もまた、良好のようだ。


Earea14May03-49c.jpg

Earea14May03-50c.jpg


以前なら猫缶を開ければ、その匂いに誘われて数匹の海岸猫が姿を見せたのだが、その気配は、もはやどこからも感じられない。
Earea14May03-79c.jpg

Earea14May03-51c.jpg

Earea14May03-52c.jpg

Earea14May03-54c.jpg
チビ太郎がこのエリアの猫たちをすべて駆逐してしまったという話、信じるしかなさそうだ。


「ねぐらもあって十分な食事を与えられていたのに、何が不満で元のエリアを離れたんだ。なあ、おいチビ太郎?」だが、やはりチビ太郎は黙してなにも語ってくれない。
Earea14May03-56c.jpg

Earea14May03-57c.jpg
長靴おじさんと長年暮らしたテント小屋を、ニンゲンの手によって壊された光景がトラウマとなっているのだろうか。


チビ太郎の顔貌の印象を決定づけている爛れた目だが、これは仔猫のときに眼病に冒されたせいだ。
Earea14May03-58c.jpg

Earea14May03-59c.jpg
長靴おじさんの治療の甲斐があって、病は悪化することなくその進行をとめた。これは長靴おじさんから直接聞いた話だ。


チビ太郎と私との付き合いは長く、初見は2009年11月で、当ブログを開設してから1ヵ月目のことだ。
Earea14May03-61c.jpg

Earea14May03-60c.jpg
長靴おじさんから年齢も聞いたはずだが、あいにく失念してしまった。ただ記憶の断片から推し測ると8、9歳にはなっていると思われる。


2年前まで “ 飼い猫 ” 状態だったとはいえ、海岸猫としては長命である。
Earea14May03-62c.jpg

Earea14May03-63c.jpg

Earea14May03-64c.jpg

Earea14May03-65c.jpg

Earea14May03-66c.jpg
チビ太郎が元気でいてくれたのは嬉しいのだが、彼のためにこのエサ場を追いやられた海岸猫のことを思うと、私の心境はかなり複雑になってくる。


しかしこの状況をニンゲンが介入して元に戻すことはできない。たとえ元のエリアに連れ帰しても、チビ太郎はすぐにここへ舞い戻ってくるだろう。
Earea14May03-67d.jpg

Earea14May03-68c.jpg

Earea14May03-69d.jpg
それに今回の一件でチビ太郎を一方的に責めることはできない‥‥。


ニンゲン社会と同様に、野良猫も力のある者が勝者となる『 弱肉強食 』の世界に生きているのだから。
Earea14May03-70c.jpg

Earea14May03-71c.jpg
加えてチビ太郎もまた、ニンゲンの都合で置き去りにされた犠牲者なのだ。


私は未だかつてこのエリアで、海岸猫が身をさらして寝ている光景など一度も見たことがない。
Earea14May03-83c.jpg

Earea14May03-82c.jpg


豪胆というか、肝が据わっているというか、とにかくこの海岸猫はそうとう図太い神経を持っているようだ。
Earea14May03-81c.jpg

Earea14May03-80c.jpg

Earea14May03-84d.jpg

Earea14May03-85d.jpg
考えてみれば、これくらいの胆力がないと、ひとつのエリアを壊滅させることなど出来はしない。


さらに東へ行ったところに、もう一箇所消滅したエサ場がある。

そこには私の大好きな海岸猫がいたのだが‥‥。


〈次回へつづく〉



ブログランキングに参加中
気に入って頂けたら下のバナーをクリックしてください
にほんブログ村 猫ブログ 野良猫へ
いつも応援ありがとうございます


【 コメントに関して 】
◆コメントは承認制です。
◆非公開コメントも可能です。
◆コメント返しは次の更新後にさせていただきます。
◆地名などの固有名詞を記したコメントはご遠慮ください。


関連記事