語らい

2010年06月09日 00:00

PM 03:45
ミケは、二本の傘に護られていた。

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「ミケ、エサはちゃんと食べたのか?」


その問いに応える代わりなのか、ミケは私に一瞥をくれた。
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しかしすぐに顔を伏せ、眼を閉じてしまった。


私は、遊歩道から今のミケがどう見えるか確認した。
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防風林でミケの体は、否でも目立つ。念のため、私は傘の向きを少し変えた。


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その時、遊歩道の奥で小さな音がした。
ミケは体をビクつかせ、音がした方を向き、しばらくジッとしていた。



そのミケが、今度はエサ場の方を見つめはじめた。
私が振り向くと、防風ネット越しに人影が見えた。

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それは、Tさんだった。
本来、Tさんの海岸散策は早朝だけだったはず‥‥
それなのに、何故かこの時刻に会う機会が増えていた。



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しばらくミケを見ていたTさんが「しかし、ミケは全然動かないですね~」と言った。
元々動きが少なかったミケだが、あの日以来、ますますその傾向が強くなっている。



ミケが動いたのは、TANYさんがエサ場を訪れた時だった。
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私がカメラを構える前に、ミケはTANYさんの膝へ跳び乗った。


そして、ミケはTANYさんの膝に体を沈めた。
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TANYさんの健康チェックがはじまった。
まず、蚤がいないかミケの毛を掻き分けた。

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次は眼。目頭に溜まった目ヤニを丁寧に取りのぞく。


「指の間にダニがいることもあるんですよ」とTANYさんは言い、ミケの指の間を丹念に調べた。
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耳を掃除されるミケの表情は、とても穏やかに見えた。


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そして最後に、TANYさんはミケの耳を裏返した。


その時、エサ場の前をふ~さんに連れられたハッピーちゃんが通りかかった。
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ハッピーちゃんは、11歳になる女の子だ。


TANYさんが「そのワンちゃん、ミケのこと舐めてくれないかなぁ」と、とんでもない事を言いだした。
すると「この子、に接するとどんな行動とるか分からないから、に近づけたことないです」とふ~さんは応えた。

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「何もこんな時に‥‥」
私は内心ためらったが、人生の大先輩でもあるTANYさんに従うことにした。



ふ~さんとハッピーちゃんは、ゆっくりとミケに近づいていった。
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ミケは眼を剥き、ハッピーちゃんを睨みつけた。


先に眼を逸らしたのは、ハッピーちゃんだった。
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ハッピーちゃんの姿が見えなくなっても、ミケはしばらくエサ場の外を睨み続けていた。


午後5時を告げる音楽が大音量で流れた。
TANYさんは「ミケちゃん、僕そろそろ帰りますよ」と言いながらミケを抱きかかえた。

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そして、ミケが再び膝に乗る前に、TANYさんは素早く立ち上がった。


TANYさんは、今日他の用事があった。そのことを思い出したのは、ミケを膝に乗せたあとだった。
「どうして僕、ここに来ちゃったんだろう?」その時、TANYさんはそう独りごちた。

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以前小屋のあった方を見つめたミケは、そのまま動かなくなった。
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サンマが大怪我をした時のことを思い出しているのだろうか‥‥?


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ミケが私の足元に近づいてきた。私があっと思った時は、既に遅かった。
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ミケが私の膝に跳び乗ってきた。
そのミケを膝に乗せたまま、私は柵に凭れかかった。



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そうして私は、昨日と全く同じ風景を眺めるハメになった。


私達の目の前を、幾人もの人が行き交っていく。
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私はその人達を見た感想を、片言の語でミケに語りはじめた。


その時、ミケがどんな顔をしているのか、私は窺い知ることができなかった。
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初老のこの女性は、いつもリードを犬に引きずらせながら散歩させている。
杖をつく身では犬の散歩も大変だろうと、思ってはいたのだが‥‥
それが、今日はちゃんとリードを手にしていた。



いつまでも続く飼い主同士の立ち話に閉口気味のワンコに、私は小さく口笛を吹いた。
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すると、二匹は同時に振り返った。
彼らの眼には私達がどう映っているのだろう‥‥?
でも、それを知るには犬語を習得しなければならない。今の私は、語だけで手一杯だった。



私の腰と足はそろそろ限界に近づいていた。
「ミケ、もう降りてくれないか‥‥」

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私は、ミケの顔をモニターで確認した。


ミケは舌を出して、熟睡している。
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ミケがいつ眠ったのか、私には分からなかった。


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【お礼】
サンマの怪我に際して、同じブロガー仲間の方々からも多くのコメントを頂きました。
その中には、貴重なページを割いて当ブログを紹介して頂いた方がいます。
aquaさん、プシュケさん、本当にありがとうございます。

aquaさんのブログ『Ca va?』
プシュケさんのブログ『プシュケの小箱』



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コメント

  1. ゆうたん | URL | 4CvheNDY

    はじめまして

    こんにちは。
    私もaquaさんのブログから参りました。
    サンマちゃんの怪我とミケちゃんの心の傷。
    胸が痛みます。
    でも、wabiさんたち皆さんが一生懸命見守っていますから
    いつかは・・・。
    海岸の猫さんたちに本当の平安の日々が戻ってきますように。

  2. ニャン丸 | URL | EMOs4AkM

    安心できる場所

    今ミケちゃんが安心できる場所は、膝の上なのかな
    可愛い顏して寝てますね

  3. wabi | URL | -

    ゆうたんさんへ

    ゆうたんさん、こちらこそはじめまして。
    そして、コメントありがとうございます。

    ミケとサンマへの心遣い感謝しております。
    あの日を境に、ミケの様子は明らかに変わってしまいました。
    我々人間がどこまでサンマの代わりをできるか分かりませんが、何とか元のミケに戻したいと思います。

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