雨宿りする猫

2010年10月12日 23:58

PM04:45
湘南海岸の上空は雲に覆われていたが、西の空を斜陽が鮮やかな朱色に染めていた。

海岸101012-01.jpg


サイクリングロードで猫好きおじさんと遭遇した。
茶トラが里親に引き取られたことをまだ知らなかったおじさんに、私は昨日の経緯を説明した。
ややあって、おじさんは「大丈夫だ‥‥」と呟くように言った。

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何が大丈夫なのか、私はそれ以上おじさんに訊くことができなかった。
茶トラが家猫になることが大丈夫なのか、それとも世話をしていた茶トラがいなくなっても自分は大丈夫だと言いたかったのか‥‥
去っていく猫好きおじさんの後ろ姿を見送りながら、私はしばらく考えていた。



国道134号線
この道路を渡ろうとして命を落とした野良は数知れない。

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私が茶トラの捕獲を急いだのは、この国道の存在があったからだ。
一昨日の夕刻、船宿からの帰りに茶トラの様子を見ていたら、いきなりサイクリングロードへ飛び出し、走ってきた自転車に轢かれそうなったのを目撃した。
海岸に遺棄されて間もない茶トラなら同じことを国道でもやりかねないと思った私は、翌日捕獲することに決めたのだ。



茶トラがいたエリアに新たなモノが置かれていた。
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近づいてみると、発泡スチロールの箱だった。


反対側に小さな出入り口があって、中に新聞紙が敷いているのが見える。
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それは明らかに茶トラのために作られた小屋だった。
雨に濡れないよう、寒さに耐えられるよう、誰かが作りここへ置いたのだ。
しかし1日遅かった‥‥茶トラがこの小屋で眠ることは、もう二度とない。



重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
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ミリオンのエサ場は森閑として、動くモノの気配は一切感じられなかった。





船宿エリア
冷たい雨がそぼ降る船宿に着いたとたん、カポネの後ろ姿が私の目に入った。
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カポネは何故か船宿へ直行せず、駐車場の車の下で雨宿りをしはじめた。


船宿の玄関先ではマサムネが雨宿りをしていた。
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私の姿を認めたマサムネは、やおら近づいて来て大きな伸びをした。


船宿923-04.jpg
そしてなかなか止まぬ小ぬか雨を恨めしそうに見つめはじめた。


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猫は体が濡れるのをひどく嫌う。しかし外猫は雨に濡れるのをある程度覚悟している。
雨が降っているからといってジッとしていては生きていけないからだ。



カポネもここまで小雨に打たれながらやって来た。
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そのカポネの眼つきがいきなり鋭くなった。


カポネの視線を追うと、マサムネと白猫が微妙な距離で向き合っていた。
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雨の中、彼らが何のためにそうしているのか、私には皆目分からなかった。


他の野良を捜したが‥‥
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どこかで雨をしのいでいるらしく、その姿を見つけることはできなかった。


私が捜すのを諦めて振り向くと、マサムネと白猫が近くまで来ていた。
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マサムネは私の行動をいつも見張っているようだ。いったい何のためだ‥‥?


船宿923-10.jpg
この時、車の下で雨宿りしているカポネの存在に、マサムネがやっと気づいた。


船宿923-11.jpg
マサムネと向き合ったカポネの眼つきはさらに鋭さを増した。

<つづく>


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コメント

  1. いちこ | URL | -

    こんにちは。
    昨日、茶トラちゃんの保護の記事を読ませていただき、
    心から嬉しく思いました。
    そして今日の記事では、
    どなたか優しい方が手作りの小屋を用意して下さったとの事。
    心が温かくなり、じんわりきてしまいました。

    外で生きていくマサムネたちが、事故などに遭いませんように・・・

  2. ゆうたん | URL | 4CvheNDY

    こんにちは。
    茶トラくん、里親様が見つかって引き取られたのですね。
    協力してくださった女性の方の心中をお察しします。
    きっと寂しさと幸せになってほしいという気持ちとが交錯し葛藤されたのではと
    思います。でも、その方やwabiさんのおっしゃるとおりなのですよね。
    私もウチのコが外の世界を知らないことを良いことばかりとは思っていません。
    しかし、外を走る車を見ると、どうしても外に出してあげることができません。
    何かあった時のことを考えると・・・身震いがしてしまいます。

    ミリオンちゃんやカポネ、マサムネくんたちにも元気に無事に暮らしていってほしいです。
    wabiさん、いつも見守って下さってありがとうございます。

  3. にゃんこmama | URL | lI21MTgA

    wabiさん、茶とら君保護に協力して下さった方々
    お疲れ様でした。
    そしてありがとうございます。
    安堵の気持ちと嬉しさでいっぱいです。
    外にゃんこ保護の時、「これから幸せになるんだよ」と思いながらも、
    にゃんこのパニックになっている姿や声を聞くと、心が折れそうになりますよね。
    ケガをされた方は大丈夫ですか?
    にゃんこの噛み傷・引っ掻き傷は腫れやすいので、心配です。
    外で暮らすにゃんこが、一匹でも穏やかで幸せに暮らせます様に願うばかりです。
    wabiさんとお世話をしてくださっている方たちに感謝です

  4. マオ&ピンキー | URL | PIGdPN0U

    こんばんゎ^^
    茶トラちゃんの里親が見つかってよかったですね^^
    ゎたしの家の近くにも外にゃんこがいっぱいいます^^;
    車に引かれた猫もたくさんいます><
    どうにかしてあげたい気持ちゎあるのに何をしてあげていいのか分からなくて・・・

  5. wabi | URL | -

    返信

    いちこさんへ

    記事にも書きましたが、あの小屋はKおじさんの手に依るものでした。
    Kおじさんは海岸猫のためにいくつも小屋を作っています。

    これから海岸猫たちには厳しい季節がやってきます。
    とりわけ暖かいねぐらを持たない野良には辛いでしょう。

    残念ながら、国道で事故死する野良の話は毎年耳にします。
    マサムネの兄弟も犠牲になったと聞きました。
    悔しいですが、こればかりはどうしようもないです。



    ゆうたんさんへ

    あの女性には私が急遽捕獲の協力をお願いしたので、傷を負ったと知ったときは本当に申し訳なくて後悔しました。
    おそらく茶トラと毎日遊ぶのを楽しみにしていたのでしょう、私の目には去っていく女性の後ろ姿が寂しそうに映りました。
    この女性とはまた海岸で逢えると思いますので、その時は猫談義に花を咲かせるつもりです。

    これは私の勝手な考えですが、家猫はケージなどに入れて日光浴をさせる程度にして外に出さないほうがいいと思います。
    事故はもちろんですが、外猫との接触でエイズなどの病気を貰うこともありますから。

    私がしていることがどれだけ海岸猫のためになっているのか‥‥正直自分では判りません。
    ただブログを通じて彼らの厳しい現状が、少しでも読者の方に伝わればと願っています。


    にゃんこmamaさんへ

    幼い猫でも必死になった時の力は相当なもので、大の男でも押さえつけるのがやっとです。
    怪我を負った女性には申し訳なかったと、後悔しています。
    でも、あの時点で茶トラに近づけるのはあの女性しかおらず、やむなくお願いしました。女性も里親に引き取られることを心から喜んでいました。

    「野に暮らしても良いことないのよ」という言葉が印象的でした。
    いずれ茶トラも女性の気持ちを分かってくれると信じています。

    私はいつも思うのです‥‥捨てるのはいとも簡単なのに、保護するのはどうしてこんなに大変なのかと。
    この矛盾を無くさないと、不孝な子はあとを絶たないでしょう。



    マオ&ピンキーさんへ

    遺棄されてからあまり日を置かずに保護された茶トラは幸運でした。
    それは茶トラ自身の人懐こい性格によるところも大きいですが、やはり周りに優しい人たちが幾人もいたことが一番大きな要因でしょう。

    毎日ちくわを与えてしばし遊び相手になる女性、傘や小屋を置き食べ物を与えた人、そんな人たちの想いが里親さんに届いた結果だと思います。
    一人ひとりのやっていることは軽少でも、それが集まれば大きな力になります。

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