必然の出逢い

2010年11月11日 00:00

PM03:25
湘南の海は、あくまでも穏やかな表情で私の眼前に広がっていた。
上空には、親子を思わせる大小二つのはぐれ雲が長閑に浮遊している。

海岸101111-01.jpg
そして西に傾いた太陽は、あくまでも優しい陽射しで海岸を朱色に染めはじめていた。


船宿エリア
船宿に着いた私を最初に迎えてくれたのは、対照的な白黒二匹の野良だった。

船宿101111-01.jpg
その無彩色コンビは、船宿前の道を挟んで何するでもなく、ただ佇んでいた。


ところが、すぐにクロベエが緊張の面持ちで身構えた。その視線の先を辿ると‥‥
船宿101111-02.jpg
どこから現れたのか、カポネの姿が船宿のすぐ側にあった。


そしてクロベエとカポネは対峙した。
その二匹の相容れぬ心情を表すように、落日が二匹の間にくっきりとした境界線を作っている。

船宿101111-03.jpg
クロベエとカポネは、電池が切れた玩具のようにその場で動かなくなった。


強面で名を馳せるカポネにしては、その表情はいつもより柔和だった。
船宿101111-04.jpg
一方クロベエは、陽射しををまともに受けているせいか、目を眇めたままだ。



私は彼らの邪魔をせぬよう、離れたところから静観することにした。
船宿101111-05.jpg
クロベエとカポネが対峙してから5分ちかくの時間が経とうとしていた。
人より寿命の短い猫にとって、時間は人のそれより数倍早く過ぎるはず‥‥
そう考えると、ずいぶん長い睨み合いだと、私は思った。



その私の心を読んだのか、カポネがおもむろに歩きはじめた。
それもまっすぐクロベエへ向かって‥‥

船宿101111-06.jpg
ところが、カポネはクロベエに一瞥もくれず横をすり抜けていく。


そのまま去っていくと思われたカポネが、いきなり歩みを止めた。
船宿101111-07.jpg
車の下を覗き見るカポネ。


そこには、シロベエがしれっとした顔でうずくまっていた。
船宿101111-08.jpg
クロベエは体を鋭角に折り曲げ、その様子を窺っている。


船宿101111-09.jpg
揉めごとを起こさず、いつものように東へ向かおうとしたカポネだったが‥‥


自分の行くべき方向を見つめたまま、その場に座り込んでしまった。
船宿101111-10.jpg


カポネは見送ろうとした私の顔を、物言いたげな目でちらりと見た。
船宿101111-11.jpg
夕日を浴びるカポネの顔はあくまでも穏やかだ。しばらく会わないうちに、心境の変化でも起こったのだろうか?


船宿101111-12.jpg
カポネは明らかに逡巡している‥‥自分のねぐらへ帰るべきか、このまま船宿に残るべきかを。


船宿101111-13.jpg
クロベエは相変わらず、そんなカポネから一瞬たりとも目を離そうとしない。
よほどカポネが苦手と見える。



船宿101111-14.jpg
その時私は、上空を行き過ぎるモーターパラグライダーに目を奪われた。


地面に目を戻した私は、少々驚いた。
カポネが船宿前に戻っていたからだ‥‥それもクロベエの目の前に‥‥

船宿101111-15.jpg


今度はクロベエが動きだした。
船宿101111-16.jpg
でもその歩き方はあまりに緩慢で、あたかもビデオのスローモーション再生みたいで滑稽だった。


船宿101111-17.jpg
クロベエの後姿を見送るカポネの表情に微かな憂いを感じたのは、私の錯覚だろうか?


船宿101111-18.jpg
ホッと息をつくような表情でカポネを振りかえるクロベエ。


そこへ、いきなりな感じでTANYさんが現れた。今日はウォーキングの途中です、とTANYさんは言った。
船宿101111-19.jpg
TANYさんの急接近にシロベエも及び腰になっている。先日クロベエがシッポを掴まれたのを目撃していたのかもしれない。


未だ姿を見せないマサムネとコジローのことが気になったが、とりあえず持ってきた猫缶とカリカリを与えた。
船宿101111-20.jpg
するとどこからか茶トラも現れた。クロベエにはカポネと離れた場所で食事させることにした。


船宿101111-21.jpg
しばらくすると、TANYさんは中断していたウォーキングのつづきを開始した。


船宿101111-22.jpg
皆が食事を終えたころ、長毛の野良がやってきた。


そして、メスの白猫も‥‥
船宿101111-23.jpg
それにしても、マサムネとコジローはどこへ行ったのだろう‥‥?


そこへ相前後して、二人の女性が船宿エリアの野良たちを訪ねてきた。
ポニーテールのOさんとは以前ここで会っているが、Nと名乗った女性とは初対面だ。

船宿101111-24.jpg
ところがNさんは、初対面の私に猫缶を手渡してくれた。「海岸の野良ちゃんのために」と言いながら。
断っておくが、私たちは前もって会う約束をした訳ではなく、偶然ここで遇ったのだ。
しかし最近海岸から足が遠のいている私に偶然会える可能性は、かなり低いはず‥‥
それでも彼女は厚木市から車で初めて訪れる船宿へ来て、こうして私に会った。



ミケが存命の頃から私のブログの読者だというNさんが、船宿へ行こうと決めたのは出かける直前だと言う。
その決心が1日早かったら私と会うことはできなかった‥‥おそらく1日遅くても‥‥

船宿101111-25.jpg
Nさんとの出逢いは、普通に考えれば偶然の範疇に入るできごとだ。
でもこういう出逢いを何度か経験している私は、そう思えない。



生前のミケに逢いにきたatsushiさんプシュケさんと何の約束もしないまま、会うべくして会った。
船宿101111-26.jpg
こういう時私は『猫が取り持つ縁』とよく口にするが、正確に言うと『ミケが取り持つ縁』だと思っている。
この時も、虹の橋の向こうにいるミケのしたり顔が、私の脳裏をかすめた。
「ミケ、またお前の仕業か‥‥?」



それから私たち三人は、長いこと話し込んだ。周りが暗くなるのも忘れて‥‥
船宿101111-27.jpg
その会話に、猫以外の話題がのぼることは‥‥ほとんどなかった。


重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
私が訪ねたミリオンのエサ場は、すでに宵闇の中に暗く沈んでいた。
その闇に向かってシャッターを押すと、フラッシュの明かりの先にミリオンの白い体が浮かび上がった。

ミリオン101111-01.jpg
ミリオンはエサ場の中にひっそりとうずくまっていた。


私はミリオンに話しかけながら、ゆっくりと近づいていった。
ミリオン101111-02.jpg
久しぶりに触れたミリオンの身体は、以前と変わらずしっとりと艶やかだった。
それゆえにことさら切なさを感じた私は、しばらくミリオンを撫でつづけた。




ブログランキングに参加中
気に入って頂けたら下のバナーをクリックしてください
にほんブログ村 猫ブログ 野良猫へ
いつも応援ありがとうございます

関連記事
スポンサーサイト


コメント

  1. たかたん | URL | NM1EMLgs

    お久しぶりです。
    こまくチェックしていたつもりが、何時の間にか見過ごしていたようです。
    PCが不調であることも知りました。
    体調の方も、まだ優れないようですが外出できるまでにはなったと思っていいのでしょうか。?
    僕にしたら、情緒的な茅ヶ崎の風景が、また拝見できることが楽しみです。
    もちろん、主人公のネコ達もです。
    夕日を浴びる穏やかなカポネの姿。クロがカポネを振り返る姿が印象的で心に残ります。
    このブログの心に残るのは写真家気取りでは、なくその時のその一瞬をうまく捕らえてるのが凄く好きです。
    また、ブログを通しての「ネコが取り持つ縁」「ミケが取り持つ縁」での出会いも、僕には不思議な感覚ですが、必然であったような気もします。
    僕には、まだブログ取り持つ縁での実際の人との出会いはないですが、
    いいなあ~~と思いました。

  2. ゆき | URL | -

    はじめまして

    はじめてお邪魔します。

    必然ですね。素晴らしい出会いですね。
    ぐわ~っと読み進めてしまいました。。

  3. wabi | URL | -

    返信

    たかたんさんへ

    PCも予定より早く昨日の夕刻に復旧しました。
    今まではネットに繋がるのがあたり前と思っていましたが、それを奪われた時の不自由さを味わった今回、私にとってPCやネット環境がいかに大切なものか痛感しました。

    写真家を気取ろうにも、私は写真についての知識を持ち合わせていないので、感じたままシャッターを押すことしかできません。
    私が撮影時にこだわるのは、その場の流れ、です。
    また野良は私にとって単なる被写体ではなく、私自身がどれだけ彼らに近づくことができるか‥‥そのことをいつも考えています。
    ですから私は、撮影する時にいつも彼らに語りかけています。
    カメラを持っていなかったら、ただの変なオヤジです。(笑)



    ゆきさんへ


    こちらこそ、はじめまして。

    こういう出逢いを何度か経験すると、この世は必然に満ちていると改めて感じます。
    人との出逢い、そして猫との出逢いも、私にとっては全て必然だと思っています。
    これらの出逢いが何をもたらすのか‥‥まだ分かりませんが、できれば猫たちに幸せをもたらすモノであってほしいと願うばかりです。

  4. 太巻きおばば | URL | Ou3ZSYPQ

    やっと、ミリオンちゃんに会えた・・・
    ミリオンちゃん・・・
    カポネ君も相変わらずだし・・
    ここの猫ちゃん達、冬はどうするんでしょう・・・

    wabiさんも、余り無理をなさらずに・・・

  5. wabi | URL | -

    太巻きおばばさんへ

    ミリオンは思ったより元気な様子でした。
    食事もちゃんと与えられていました。
    ただ冬を迎えるには、もう少し肥ったほうがいいと感じましたが。

    カポネは船宿エリアに頻繁に姿を現しているようです。
    他の野良がカポネを受け入れたかどうかは、まだ分かりませんが。

    私も未だに彼らのねぐらの場所を特定できずにいます。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)