生きる権利

2010年11月12日 00:00

PM03:45
私はラチエン通りから134号線を越え海岸へ出た。
どうしても確認したいことがあり、今日は東へ向かうつもりだからだ。

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海岸にはやや強い海風が吹きつけていた。


烏帽子岩を撮っている時、私は声をかけられた。
私がふり返ると、そこには笑顔をたたえたTANYさんが立っていた。

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私はTANYさんに逢いたくて、夏の一時期ミケのエサ場前で連日待っていたが、その時はついに逢えなかった。
何故、望むと逢えず、望まないとこうも簡単に逢えるのか‥‥誰か知っていたら、教えてほしい。
「ミケが取り持つ縁」もこういう場合には役に立たないようだ。



ソックスエリア
どうやら、一足遅かったようだ。
エサ場荒しが去ってからあまり時間が経っていない様子を見た私は、何ともやりきれない溜息をついた。

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このエサ場が荒らされていることは先月18日付の記事に書いたように、先月13日の夕刻に初めて知った。
しかし記事には敢えてしなかったが、その後も1度荒らされているのを目撃している。
つまり私が知っているだけで、エサ場荒らしは今日で3度目になる。



傘がカッターのような鋭利な刃物で切られているが、この凶行は今月4日に起こったと知人が教えてくれた。
今回で何度目なのか判らないが、復旧する度に荒らされているようだ。

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この執拗で念の入った荒らし方に、私は異常なモノを感じずにはいられなかった。


ふり返った私の目の前に、タビとソックスの母娘がどこからか姿を現していた。
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彼女らの無事を確認した私は、ホッと胸を撫で下ろした。


久しぶりに逢ったソックスは、ひと目で判るほど肥っていた。
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「ソックス、お前も冬に備えて脂肪を蓄えているのか?」


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母猫のタビは、以前と変わらない体形を維持している。
同じエサ場で暮らすよく似た母娘でも体重の増減までは遺伝しないようだ。



そこへウォーキング途中のTANYさんが現れた。
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TANYさんは荒らされたエサ場を見つめたまま、口を開こうとしない。


いつも闊達なTANYさんから笑顔が消え失せた。
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TANYさんの後姿からは、憤りと哀しみがない交ぜになった何とも表現し難い気配が伝わってくる。


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ソックスの気分をほぐそうとするように、TANYさんのいつものマッサージが始まった。


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さすがのソックスも、執拗なTANYさんのマッサージに少々辟易気味だ。


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母猫のタビは、TANYさんにもマッサージにも関心がないように見える。


マッサージを終えたTANYさんは、ソックスを遊びに誘っている。
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誘いにすぐ反応するソックスを見て「まだ若い子ですね」とTANYさんが言った。
「2、3歳と聞いています」と私は言下に応えた。



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その様子を離れたところから冷めた目で見つめるタビ。


食器も無くなっているので持っていたトレイにカリカリを盛った。
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食事をする母娘に飢えている様子は感じられない。
ただソックスが、微かな物音にも敏感に反応するのが気になる。



そこへ、猫好きおじさんが通りかかった。
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エサ場荒らしのことは猫好きおじさんも承知していた。


TANYさんは最後まで笑顔を見せずに去っていった。
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猫好きおじさんと私は海岸猫の情報交換をした。
でも歯を失ったおじさんの話は聞き取り難く、私は何度も訊き直さなければならなかった。

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自分にも深く関わる話だと解ったのか、ソックスも聞き耳を立てている。


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ソックスは明らかに以前より用心深くなっていた。


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それがエサ場を荒らされたことと関係あるのか‥‥私には判らない。


ソックスの心情を忖度していた私は、妙なモノを植込みの中に発見した。
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よく見ると、それは猫たちの食器だった。


他に放られたモノがないか、その植込みの裏へ回ってみた。
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するとその場に不似合いな白い板が、草むらの中にあった。
私はそれが何なのか、すぐに見当がついた。



実物を見たのはこの時が初めてだが、そこに書かれた文言はある人から教えられていた。
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これはこのエサ場を担当するA夫妻の手によるものだ。
行間からA夫妻の悲痛な叫びが聞こえてきそうだ。



私は苦労して植込みの上から食器を回収し、できる限りエサ場を復旧した。
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それをジッと見つめるソックスの表情は、何を語っているのだろう?
私は同じ人間として、心からソックスに謝りたい気持ちでいっぱいになった。



猫好きおじさんは、自分の生業に戻っていった。
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そのおじさんを朱色に染めた太陽は、今にも山の端に沈もうとしていた。


このエサ場の周囲に民家はない。国道の反対側には広大な民間施設があり、民家からは数百m離れている。
つまりここに棲む野良たちは誰にも迷惑をかけていない。否、かけようがないのだ。

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だからどういう動機でこのエサ場を荒らすのか‥‥私には到底理解できない。
野良たちは、ここでただひっそりと生きているだけだ。「そうだろ、ソックス‥‥?」



「ソックス、そうやって胸を張って堂々としていろ!」
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お前には、ここで生きてゆく権利があるし、誰もそれを妨げることはできないんだ!



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コメント

  1. きょう | URL | -

    こんばんは

    またこのようなことがあったのですね。
    憤りを感じると共に、ものすごく悲しい気持ちでいっぱいです。
    猫が嫌いなら見なければいい。近寄らなければいい。
    そんな方法で、猫たちを傷つけないで欲しい。

    猫たちが無事でよかった。
    傷ついた心が少しでも回復しますように。

    それにしてもソックスちゃん、よく肥えましたね^^;

  2. たかたん | URL | NM1EMLgs

    こんばんわ

    凛として胸を張って座ってるソックスが心に残ります。
    誰にも、迷惑をかけない所で生きてるのに。。
    世の中はネコが嫌いな人も居るのは事実ですけど、ちょっと大人気ないで行動ですね。
    悲しい気持ちになります。
    写真って不思議ですね。上手いとか綺麗とかを超越して心に響くシーンがあります。今回も、僕の心に残る写真がありました。

  3. 太巻きおばば | URL | -

    酷い、余りにも酷い。
    餌を何故やらなくちゃいけなくなったか、
    そちらを追求する事が先でしょう。
    ペットを捨てたら犯罪では無いですか?

    捨てた人を逮捕するべきだと思いますが・・・

  4. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    ブログ再開したんですね、でも体調に気をつけてくださいね。

    久々のタビとソックス親子に会えて嬉しいです。
    最後の写真の堂々としたソックスに、、頑張れよ!負けるな、って言いたい。

    変わらず酷いことをする人がいますね、本当に酷い。
    傘をバラバラにするなんて、精神的におかしい人じゃないかと思います。
    良く弱い人に当たり散らす人がいますが、そのような感じを受けます。
    タビとソックスの餌場所なので、凄く気にかかります。
    彼らに何も起こらないように。。



  5. wabi | URL | -

    返信

    きょうさんへ

    悲しいことですが、エサ場荒らしはよく起こります。
    私自身が目撃しなくても、人づてに聞くこともあります。
    エサ場への攻撃で済まず、野良たちに危害を加える例も多々あり、対応には苦慮します。

    ソックスは肥りました。
    去年の冬には見られなかったことです。
    そういう意味で少し心配しています。
    人と同じように無駄な脂肪は命取りになりかねませんから。



    たかたんさんへ

    エサ場を荒らす人は場所も時も選ばないようです。
    真昼間に犯行を繰り返すことからも犯人の異常さが窺えます。

    写真、カメラについては、ずぶの素人である私に語る資格はないかもしれませんが、
    私の場合、被写体との距離を如何にして縮めるか(物理的な距離ではなく)を心がけるようにしています。



    太巻きおばばさんへ

    近年法律が変わり、動物を遺棄すると刑事罰が科されるようになりました。
    30万円以下の罰金を科されると記憶しています。
    でもこのことが周知されているとはいい難く、遺棄する人にはゴミの不法投棄より罪の意識がないのではと想像されます。

    日本のペット事情は明らかに狂っていて、その歪が弱い者を苦しめる原因になっています。



    mimiさんへ

    いつもお気遣い頂き、感謝しております。
    これからは無理をせず更新していくつもりです。

    エサ場荒らし‥‥今のところ野良たちに実害がないのが救いですが、犯行がエスカレートする可能性もあり安心はできません。
    どうしてこんなことが平然と行えるのか‥‥私には想像もできないので、正直どう対応していいのか分かりません。
    如何にして野良たちを護るか‥‥大きな課題です。

  6. ネコたんママ | URL | SLJ/JtpM

    はじめまして。
    人間という生き物はどうしてこうも残酷なんでしょうね。
    ここの猫さん達は誰にも迷惑をかけずに静かにくらしているだけなのに。
    猫さん達に手をさしのべないのなら、そっとしてあげてほしい・・・
    ホントに胸が痛みます。

  7. 初めまして

    何時も拝見させていただいております
    今回の内容 感慨深いものです 弱者虐めとでもいいましょうか 罪の意識が無い人間の形をした生き物がとこにでもいるのですね。私も何匹もいなくなった猫を見てきました 行政に処分された仔 虐待で衰弱して助からなかった仔 本当に情けないですね 

  8. wabi | URL | -

    返信

    ネコたんママさんへ

    こちらこそはじめまして。

    私も猫嫌いの人がいることは承知しています。
    周りに水の入ったペットボトルを並べたり、塀を金網で嵩上げした家をそこかしこに見ることができますから。
    猫の糞尿や発情期の声に閉口しての対応策でしょうが、こんなものはほとんど役に立ちません。
    不幸な野良猫を減らすことを根本的に考えないと、未来永劫、人と野良猫との確執は続くでしょう。
    そしてその結果、犠牲となるのは決まって弱者です。


    Lapis&Roseさんへ

    こちらこそはじめまして。

    茅ヶ崎海岸の野良も近年その数を減らしています。
    ただその減り方が不自然で、12~13匹ほどいた野良が1年足らずでたった2匹になったエサ場もあります。
    周りの人たちに訊いても誰もその行方を知りません。
    私はそこに人為的なモノを感じています。

    自分の憂さを晴らすため‥‥ただ目障りだと弱者を弄ぶように殺傷する生き物はこの地球上で我々人類だけでしょう。
    我々は進化の過程でたまたま頭脳が発達しただけの、丸腰ではてんで弱い生き物だという謙虚な気持ちでいないと、思っているより早く滅びるでしょう。

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