シンクロする猫

2010年11月13日 00:00

PM03:00
昨日まで数日続いた秋晴れの空は灰色の雲に覆われ、太陽も薄いベール向こうにあった。

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私はお座なりな風景写真を数枚撮ると、東へ急いだ。


ソックスエリア
エサ場は、引き裂かれた傘に辛うじて護られていた。

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中には新しい食べ物が置かれていたが、何故か口をつけた形跡はなかった。


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曇り空にも拘わらず、エサ場のある公園にはバーベキューを愉しむ人たちがいた。


私がエサ場の周囲をしばらく歩いていると、潅木の下にソックスの姿を発見した。
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私の顔を認めたソックスは、ペロリと舌なめずりをした。


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ソックスはおもむろに私に近づくと、その肥った体を摺りつけてきた。
私は危惧している。このソックスの人懐こさがアダにならなければいいが、と。



この若いメスの野良は、その人懐こく愛くるしい仕草で多くの人を惹きつけている。
四本の足が靴下を履いたように見えるので、『ソックス』という名を私が勝手につけた。

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振り向くと、母猫のタビが私の後ろに姿を現していた。『タビ』という名もソックスと同じ理由でつけた。
ソックスは、ここでタビが産んだ生粋の野良だ。だから家の暖かさも人の膝の温もりも知らずに育った。



公園に入る前、タビは歩みを止め中の様子を慎重に窺った。
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しばらくすると、ソックスも公園の中へ入っていった。


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二匹は公園の隅で改めて挨拶を交わす。


タビが見つめる先には‥‥
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ズタズタに引き裂かれた傘で囲まれたエサ場があった。


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そのエサ場へ向かって、タビがゆっくりと歩いていく。


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ソックスもエサ場をしばらく見つめた後、おもむろにエサ場へ向かった。
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母娘は、昨日私が植込みから回収した食器で食事をしていた。
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おそらくこの母娘は、エサ場荒らしの一部始終を目撃したのだろう。
最近ソックスの警戒心が強くなったのも、そのせいだろうと、私は思っている。



それにしても、この母娘はよく似ている。体は娘のソックスの方が二周りほど大きいが、この微妙な位置関係のせいで写真では区別がつかないほどだ。
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二匹の動作がシンクロすると、実にユーモラスでさらに愛しくなってしまう。


初めてこの母娘を見る人のために、外見で見分ける術をお教えしよう。
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面差しの違いは二匹が揃わないと分からないが、片方だけに遇った時でも判別できる箇所があるのだが‥‥
間違い探しのつもりで、母娘の顔をよ~く見比べてほしい。



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判った人もいると思うが、説明しよう。
この母娘を単独で判別するには、鼻先を見ることだ。タビの鼻先には絵筆で白く塗ったような模様が付いている。
実はこの相違を確かめるまで、私も単独で遇った時に判別できない時がある。



荒らされた自分のエサ場を横目に、ソックスは何を想っているのだろう?
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ソックスを野良猫という不遇な境遇に遭わせたのは我々ニンゲンだ。
彼女はただここで息を潜めて生きることしかできない。
そんなささやかな望みさえ、今脅かされている。
いったい誰にそんな権利があるのか!?
少しばかり脳ミソが大きいだけの傲慢な生き物に、そんな権利は与えられていない。絶対に!!
私の心は震えている‥‥怒りと‥‥それ以上の悲しみで。



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私がエサ場を去ろうとしたら、タビとソックスが見送りに出てきた。


と、そこへウォーキング途中のTANYさんが通りかかった。
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TANYさんも、ここの野良たちが気がかりなようだ。


TANYさんは、ひとしきりソックスと遊んだ後、そのままソックスを抱き上げた。
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ソックスを抱いたTANYさんは嬉しそうだった‥‥しかし重そうでもあった。


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歩き去るTANYさんを名残惜しそうに見送るソックス。


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ソックスは、TANYさんの姿が見えなくなるまでその場でそうしていた。


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私は薄雲に滲んだ落日を眺めながら、西へ向かった。


その途中、私は釣人のKおじさんと遭遇した。
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釣果を尋ねた私の顔を見て、Kおじさんはただ笑っているだけだった。


重度の耳疥癬に苦しむ白猫、ミリオン
ミリオンは、珍しくエサ場の外に横たわっていた。

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そして妖艶な流し目で私の顔をしげしげと見つめはじめた。


ミリオンの体を撫でながら、私は感じた。寒い冬を迎えるには少し痩せすぎているな、と。
ミリオン101113-02.jpg
ミリオンは、そんな私の心配をよそに毛繕いをはじめた。



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コメント

  1. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    おはようございます。

    タビとソックスは本当にシンクロしてますね。

    元気な親子を見れて嬉しいのですが、、
    2人の神経質な雰囲気を感じると、気の毒になります。
    なんだか、ミケとサンマ君の事件を思い出してしまいます。

    2人に何も起こりませんように。。

    ミリオンちゃんの耳の状態はどうなんでしょう?
    体もほっそり系なので、心配ですね。

  2. 太巻きおばば | URL | -

    捨てた人が罪に問われず、
    助けようとする人が、非難される、
    歪んだ日本人・・・

    ミリオンちゃん、厳しい冬を行きぬけるか心配です。

  3. jasmine | URL | -

    wabiさん始めまして・・。

    本当にそうですよね・・ただ脳みそが少しだけ大きいだけで

    この星の絶対権力を握っていると勘違いしてるバカモノの・・

    その仲間の一人で有る事を悲しく思います。

    猫を含め動物は、唯々純粋に『生きるコト』を全うしようと

    しているのに・・。

    これから厳しい冬の季節・・どうぞ海岸のにゃんこ達をミナサマで

    支えてあげてください。

  4. たかたん | URL | NM1EMLgs

    こんばんわ。
    本当に、今の生活でネット環境がなくなると不便では、言い切れない物があります。
    早く直って、本当に良かったです。
    ソックスとタビのシンクロの様子、なんとも言えない可愛さです。
    いつも、語りかけながらの撮影だからこその、ここのネコ達の安心そうな安らかな表情なんですね。
    写真の生半可な知識など必要ないです。その時に感じたままが、そこのネコ達への愛情が時の流れの美しい風景と共にそのまま感動を生んでくれてるんだと思ってます
    僕も、明石、林崎の海岸の所でネコ達が集まる所を発見したんですが、警戒されて。^^
    じっくりと、時間をかけて信頼関係を築いて行こうと思ってます。

    悲しい事に、せっかくのエサ場を荒らす人に恐怖をもち警戒心をあわらにしなければならない様子が伺え物悲しいです。
    本当に人間の身勝手でと、僕も心が痛みます。
    ソックスを抱き上げたTANTさんの笑顔が印象的です。
    また、それを見送るソックスの姿。何と言えばいいのか言葉を失いました。

  5. wabi | URL | -

    返信

    mimiさんへ

    この母娘は今まで何度か紹介していますが、仲が良い様子にいつも心癒されています。
    なので、今回のエサ場荒らしが気がかりでなりません。

    今のところ、野良たちに被害が及んでいる様子はありませんが、安心はできません。
    ここを担当するボランティアの方も、そのことを一番心配しているのではと想像しています。

    ミリオンの耳は薬の効果が切れ、以前の状態に戻っています。
    なんとか捕獲して病院に連れて行きたいのですが、なかなか簡単にはいきません。



    太巻きおばばさんへ

    法律では猫を捨てた人は罪に問われますが、現場を押さえない限り罰を与えることができません。
    しかし現場を押さえるのは、ほぼ不可能です。
    向こうには時間、場所を自由に選ぶことができますから。

    私もミリオンのことが気がかりです。



    jasmineさんへ

    こちらこそはじめまして。

    悲しいことですが、エサ場荒らしを含む動物への虐待はなくなる気配がありません。
    人間社会で起こる学校でのイジメ、職場でのイジメ、そしてDVといつも犠牲になるのは力を持たない弱者。
    そして人に対してそのような行動ができない小心者が、標的にするのは小さな命。

    生きることだけでも大変な野良たちに、それ以上の苦しみを与えることに何の躊躇いもないなんて、私には到底理解不可能です。



    たかたんさんへ

    この母娘は見ているだけで微笑ましく、心が洗われる心境になります。
    今の人間が忘れしまったモノを思い出させてくれます。

    たかたんさんがおっしゃるように、野良猫と交誼を結ぶには、それなりの努力と時間が必要です。
    諦めず自分に敵意がないことを伝えつづけると、そのうち解ってくれます。
    ただ、どんなに努力しても人に対する警戒心を解かない野良は存在しています。
    そういう場合は、潔く諦めてください。(笑)

    ソックスはホントに人懐こく、親しい人が去る時には見送ってくれます。
    亡くなったミケもよく立ち去る私を見送ってくれました。
    その健気な姿を見る度、見送られる私は切なくなるのが常でした。

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