掌の命

2010年11月29日 06:35

2010/11/29 AM06:35
私が湘南海岸に着いた時、朝陽はすでに昇りきっていた。

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太陽はしばらく厚い雲に隠れていたが、姿を現した途端、目に映る全てのモノを黄金色に染めあげた。


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遺棄されたばかりの三毛猫は、私の影を認めると、眼を眇めたまま顔をあげた。


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飼い猫の常だが、この”元飼い猫”も非常に人懐こい。


「おい、カポネ、お前のことをカワイイっていうコメントが来てるんだけど、お前的にはドウヨ?」
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カポネ「ニンゲン社会じゃ、草食系男子が大手を振っているらしいけど、やっぱ男は断然肉食系だネ。オイラのことをカワイイっていうのは、その辺のことを判ってるからじゃねーの、ケッケッケ‥‥」


思いあがった野良を放って、私は昨日遺棄されたばかりの仔猫の姿を求めた。
今朝はまだ、あの物悲しい鳴声を耳にしていなかった。

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居そうなトコロを捜したが、仔猫の影は何処にもなかった。
「ここに棲むことを諦めて他へ行ってしまったのか?それとも‥‥」



私は一抹の不安を抱え、近くを通る国道134号へ足を運んだ。
猛スピードで走るクルマの恐ろしさを、おそらくあの幼い仔猫は、まだ知らないはずだ。

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国道に、それらしい痕跡は残っていなかった。


念のため、私はSさん手作りの小屋の中を覗いてみた。
薄暗い小屋の中に目を凝らした私は、仰天した。

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中に居たのは、疥癬まみれのタヌキだった。


私はそのまま入り口を塞ぎ、取り敢えずタヌキを捕獲した。
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ここを担当するSさんが来たら、役所に連絡して貰うことにした。
野生のタヌキは、先日の迷い犬のように私の拾得物とはならないだろう。



若くて美しい三毛猫に見向きもせず、朝陽を浴びるカポネ。
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その肉食系男子の面持ちはなかなか渋かった。


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ここにも、朝の陽射しを浴びる野良がいた。


「コジロー、おはよう。他の兄弟はどうした?一緒じゃないのか‥‥」
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コジローの顔をよく見ると、左眼の周りに紅を塗ったような跡があった。


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コジローはこの建物の中から出てきたようだ。
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中を覗くと、雑多にモノが置かれていた。


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「コジロー、その顔、誰かにイタズラされたんじゃないのか?」と訊いたが、コジローは黙して何も語らない。


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コジローの兄貴マサムネが船宿前に姿を現していた。
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Sさんがやって来る時間にはまだ30分ほどあったが、野良たちが徐々に集まってきた。


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自分は肉食系男子だと豪語していたカポネも、最近はすっかり大人しくなり、顔付きさえ変わって見える。
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「カポネ、あの仔猫が戻ったら面倒を見てくれよ」


私の足元には、さっきからずっと三毛猫がいる。
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「お前も信じていた飼い主に裏切られて、さぞ哀しいだろうな‥‥」
何故こんな可愛い子を簡単に遺棄できるのか‥‥それも厳しい寒さを迎えるこの季節に‥‥
私は護るべき小さな命を、掌に感じた。



昨日現れた仔猫のことは、その日のうちにSさんへ電話で伝えた。
私の報告を受けたSさんは大いに驚き、そして困惑していた。

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私は野良たちと一緒に、Sさんの到着を待つことにした。

<つづく>


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コメント

  1. たかたん | URL | NM1EMLgs

    新しい子猫、心配です。
    続くの後に発見の報があればいいのにな。
    僕は、カポネのファンです。^^
    カポネ、カッコイイ♪
    タヌキには驚きです。こんな海辺にまで進出してるんですね。

  2. yasu-be | URL | -

    1枚目と2枚目に感動しました♪
    すいません、ストーリーとは関係ないことですが。

    昔々、20年ほど前にFineという雑誌の編集してまして、その辺をほっつき歩いていました。
    海っていいですよね、無条件にいいなって思います・・・。

  3. ito | URL | -

    朝焼け、とても神秘的。
    その一方でカポネの寝惚けた顔。
    wabiさんだなぁと何だか嬉しくなりました。
    最近はカポネもwabiさんに無防備な顔するんですよね。
    三毛猫ちゃん、美人ですね。里親さん見付からないかな。
    人懐こいみたいだし、美人だし、しっぽ・・・長くてキレイ。
    (つかみたい)・・・え?何も言ってませんよ。

  4. wabi | URL | -

    返信

    たかたんさんへ

    夕刻になって仔猫が姿を現しました。
    朝はどこかへ潜んでいたか、周りを探索していたのでしょう。

    カポネの人気の高さに、私はただただ驚いています。(笑)

    この辺りには、他にもアライグマやハクビシンが生息しているそうです。



    yasu-beさんへ

    はじめまして。

    私の拙い写真が人に感動を与えるとは考えてもいませんでした。
    素直に喜んでいます。
    ありがとうございました。

    海に向かうと、自分の悩みが如何に瑣末であるかを思い知らされます。



    itoさんへ

    早朝の海岸は一日の始まりを実感でき、気分も高揚します。
    夜の睡眠が十分取れるようになったら、以前のように毎朝海岸を訪れたいと思っています。

    カポネは明らかに温和になりました。
    他の野良と諍いを起こすこともなくなり、すっかりこのエリアに馴染んだようです。

    itoさんに代わり私が三毛のしっぽを握っておきます。

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