病魔と闘う猫 その六『通過点』

2011年01月18日 12:22

2011年元旦 ある男性から1通のメールが届いた。
私のブログの読者だというその男性はミリオンの現状を知り、捕獲、治療の必要性を訴えた。

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明くる2011年1月2日午後、メールを寄せてくれたNTさんとミリオンのエサ場で待ち合わせをした。



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ミリオンは、暖かい陽射しが当たるエサ場の外にいた。


この日初めてミリオンと遇ったという若い女性の足元に、ミリオンは寄り添うようにうずくまっていた。
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NTさんが指摘するように、ミリオンは明らかに衰弱していた。
久しぶりに陽射しの下で見るミリオンは、美しかった毛艶は薄汚れ、体もやつれていた。



ミリオン捕獲の助力を急遽お願いしたゆきママさんが駆けつけてきた。
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まず大型キャリーの中へ猫缶を置き、ミリオンをおびき寄せることにした。
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ミリオンの鼻が猫缶の匂いを嗅ぎ取った。


キャリー内のトレイを凝視するミリオン‥‥今にもキャリーへ入っていきそうだ。
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だがミリオンは直前で踵を返した。動物の勘が「ソイツには近づくな」と呟いたようだ。


この用心深さを持っているから、ミリオンはこれまで厳しい環境でも野良として生き残ってこれたのだ。
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キャリーへ誘い込むことを諦め、油断したところを取り押さえる作戦に切り替える。


食事に専心しているミリオンの後ろから、NTさんがそっと近づいていく。
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そしてミリオンを抱き上げると、用意したキャリーへ素早く運んだ。


だが、またしてもミリオンは捕獲者の手をすり抜けると、防砂柵を乗り越えて植込みの中へ逃げ込んでしまった。
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NTさんは悔やんだ。「抗うミリオンが可哀想になり、つい手の力を緩めてしまった‥‥」



捕獲をすんでのところで逃れたミリオンは、しばらく捕獲に参加した我々の前に姿を現さないだろう。

しかしミリオン捕獲には、あるタイムリミットが控えていた。




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この場所での護岸工事が6日から始まる。そうなったらミリオンの捕獲は、事実上不可能になるだろう。


そこで初めて『捕獲器』を使うことにした。
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捕獲器に入った場合、早く出してやらないと、中で暴れて思わぬ怪我をすることがある。
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だから、夜中の防砂林へも確認のため入っていかざるを得ないのだ。
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直後のブログには敢えて記さなかったが、捕獲器は2個用意されていた。
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そうすることで捕獲機会が増え、より確実に保護できると思ってのことだ。
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しかし老練なミリオンは、容易く捕獲器に入らなかった。


2011年1月4日
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私の前を行くのはゆきママさんだ。
昼間とはいえ、防砂林の中はあまり気持ちの良い場所ではない。



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2日前に仕掛けた唐揚げが干乾びる頃なので、その交換に赴いたのだ。


捕獲器を置く場所も替えてみた。
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そして、もう一つの捕獲器をエサ場の中へ仕掛けた。


捕獲器に誘うには、ミリオンを満腹にしてはならない。
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そこで世話をする人たちへ、メッセージを書きしたためる事にした。



だが、我々が片付けた食器を捜し出し、ミリオンへエサを与える身勝手なエサやりさんの妨害に遭い、この日も捕獲できなかった。

私たちに残された時間は、あと1日になった。




2011年1月5日
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エサ場内に仕掛けてあった捕獲器が消えていた。
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ミリオンの保護に公然と異を唱える人たちがいる。

彼らの言い分は「手術するのは可哀想だ」「ココからいなくなるのは寂しい」等々。

だがそんなエゴイスティックな意見に、貸す耳を私は持っていない。

ミリオンが我が子でも同じ台詞を言えるのだろうか‥‥?
彼らに訊いてみたいものだ。






そんな連中が捕獲器を持ち去った可能性も考えられた。
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だが、犯人は意外な人物だった。



それは‥‥ミリオンを捕獲したらすぐに横須賀の病院へ移送することを伝えていたはずのIおばさんだ。



捕獲器に入ったミリオンを発見し慌てたIおばさんが、市内の病院へ運びこんでいたのだ。
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キャリーから出たミリオンは、診察台に移された。
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エリザベスカラーを装着しているからか、ミリオンは借りてきた猫のように大人しかった。


私はNTさん運転の車で一路横須賀へ向かった。
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後部座席では、ミリオンが観念したように寝息を立てていた。


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去年の7月から教えを受けていた医師に、ミリオンを委ねた。


帰りの車の中、私は脱力感に襲われていた。
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ここ数日の捕獲作戦で昂った神経がいきなり弛緩したためだと思われる。


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湘南に戻った私は、夕闇が濃くなった海岸へ足を運んだ。


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この場所へミリオンが再び戻ってくることはあるのか‥‥それは、まだ分からない。


2011年1月6日
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予告どおり護岸工事が始まり、重機がけたたましい音を立てていた。
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ミリオンのエサ場横の通路をダンプが引っ切り無しに行き交っている。


私たちは、ぎりぎりのところで間に合ったのだ。
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役目が終わった貼紙を貼り替えることにした。


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この日、ミリオンは右耳の手術を受けた。その手術が無事終わったことを私が知ったのは、翌7日だった。
だが、これもただの通過点に過ぎない。





ミリオンの闘いは、まだ終わっていなかったのだ。




<つづく>



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コメント

  1. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん、皆さん、ミリオンのための捕獲お疲れさまでした。
    本当に大変でしたね。

    ミリオン、病院に連れて行けて良かったです。

    ミリオンの病気のこと、インタネットで調べました。
    白猫さんに多いようですね。
    これからがもっと大変なのかもしれませんが、、協力できることがあれば
    ご連絡くださいませ。

    wabiさん、しっかりと寝てくださいね。

  2. はな | URL | -

    wabiさん

    長い長い捕獲作戦本当にお疲れ様でした。
    ミリオン、あんなにやつれた姿になってしまっていたとは・・・
    夏に会った時のツヤツヤの毛の感触を思い出し悲しくなりました。
    でも皆さんのおかげで無事手術が出来て本当によかったです。
    闘いは続く・・・とのことですので、楽観は出来ない状況なのだと思いますが、
    一日も早く全快して元気な姿が見れることを願っております。

  3. いちこ | URL | -

    wabiさん、こんにちは。
    ミリオンの事、ドキドキしながら読ませていただいていましたが、
    護岸工事開始前に病院へ連れて行く事ができて、よかったですね。
    その後、ミリオンの様子がとても気になりますが、
    きっとwabiさんもお疲れの事かもしれませんね。
    そして、まわりの皆さんも本当にお疲れ様でした。

    ミリオンの病状が少しでも改善する事を祈っています。


  4. 匿名係=ihibou | URL | ZQHR2uUw

    今日は読んでいる途中で何度もドキドキしました。善意の方々が、野外で連絡のつけようがない中、このプロジェクトをお進めになったことを思うと、本当に大変なことをよくぞなさった、と改めて思いました。では、つづきを待っていますから。

  5. するる | URL | gmuBEe9w

    毎日、ドキドキで記事を読んでいました。
    でも、無事病院で診てもらえて
    本当によかったですね。
    wabiさん、みなさん、本当にお疲れさまです。

    治療の方がまだ始まったばかりで、
    大変なのはこれからからかもしれませんが、
    ずっと応援しています。

    ミリオンちゃんの回復を心からお祈りしています。

  6. wabi | URL | -

    mimiさん はなさん いちこさん 匿名係=ihibouさん するるさん
    コメントありがとうございました。


    各々の方へコメント返し出来ないことを、まずお詫びいたします。

    この時点ではミリオンも快方へ向かっていましたし、私も希望を持っていましたが、
    最期はいきなりやって来ました。
    ただ記事にも書きましたが、最期を暖かい場所で静かに迎えられたことが救いです。
    先生の治療、看護のお陰で、ミリオンはお気に入りの毛布と戯れながら安らかに逝きました。
    先生に看取られて、最期も寂しくなかったと思います。
    ミリオンへの温かいご支援ありがとうございました。

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