野良の美点

2011年02月10日 04:20

この日私は、先日と同じように気だるい体に鞭を打って朝の海岸へ赴いた。
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今の私にとって、朝の陽射しは少々眩しかった。


前回カポネを発見した草むら。
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しかしそこにカポネの姿はなく、代わりにコジローが独り佇んでいた。
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コジローの性格として、此処にいるのは何か意味があるはずだ。
私はそう直感した。



そこで私は、コジローの視線を辿って歩を進めることにした。
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そこにカポネがいた。私はコジローに感謝したい気持ちになった。


私が名を呼ぶと、カポネはおもむろに起き上がった。
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やはりまだ後脚を気遣っている。


朝の食事時間が迫っていた。
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「カポネ、おいで。ぐずぐずしてると朝ご飯食いっぱぐれるぞ!」


カポネは私の呼びかけに素直に従い、ゆっくりと船宿へ向かって歩きはじめた。
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ふり返りながら歩く私の後を、カポネはトコトコとついて来る。
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後脚を庇いながら健気に後を追ってくるカポネを見ているうちに、私の目頭は急に熱くなった。
私は思わずカポネに声をかけた。「カポネ頑張れ、もう少しだぞ!」



殆どの野良は、既に朝食を終えていた。
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カポネは辛うじて間に合ったのだ。


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Sさんも遅れてきたカポネを気遣った。


そのカポネを物陰からそっと窺っている野良がいる。
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クロベエだ。カポネに喧嘩で敗れてから、すっかり苦手意識を持ち、警戒を緩めようとしない。


カポネはそんなクロベエの視線を知ってか知らずか、ただただ食べることに専心している。
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前足に黒々と付いていた重油はあらかた落ちて、グレーに色を変えていた。


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腹を満たしたカポネは、後もふり返らず東へ向かっていった。


さっきと立場を替えて、今度は私がカポネの後をつけてみた。
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カポネは車の陰で小憩を取っていた。
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カポネの姿を見て、私は思った。ずいぶん汚くなったなぁ、と。


その私の思いを見抜いたのか、カポネはいきなりその場を離れた。
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悠然と去ってゆくカポネの後姿が、私には何故か儚げに見えて仕方がなかった。


カポネの姿が見えなくなるまで、クロベエは眼を離さなかった。
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そしてカポネが戻ってこないのを確認したクロベエは、おもむろに食事をはじめた。


今朝の食事時間がつつがなく終わった。
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マサムネも満足したように口の周りを丹念に拭っている。


そこへ、重油を足に付けたカポネを心配してキュウさんが船宿へ駆けつけた。
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Sさんからカポネの状態を説明されたキュウさんは一息つくように腰を下ろした。
するとキュウさんの隣に、朝食を食いはぐれたサビ三毛が現れた。



Sさんがサビ三毛のために新たに猫缶を開けた。
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そのサビ三毛が食べる猫缶を羨ましそうに見つめている野良がいる。


茶トラだ。
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この野良は、決して人に懐かない。そのため日々の食事にありつく機会が人懐こい野良より必然的に少ない。


こういう野良にこそ優先的に食べ物を与えるべきだ。
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警戒心が強いのは野良の欠点ではない、断じて!
むしろ美点なのだ。


この二匹は揃って人に懐かない。
でもそれは彼らの個性だし、育った境遇によって形成された性格なのだ。

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その個性をもって野良を差別するのは、人間の都合から生まれた傲慢で愚かな所業でしかない。


野良の警戒心が美点であることを体現している例がここにある。
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食事をしてから、ミイロは草むらでひたすら眠り続けている。


私が近づいても眼を開けようともしない。
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キュウさんも危惧している。こんな無防備では虐待の格好の的になるのではと。




私はそのキュウさんと時間を忘れて、船宿前でついつい話し込んでしまった。
気がつくと、既に陽は中天に昇りきっていた‥‥。





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ブログの読者であるyuさんが船宿を訪れたとき、カポネが再び姿を現した。


カポネは咽が渇いていたのだ。
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釣宿の流しに汲み置いていた水を、カポネはゆっくりと飲みはじめた。


船宿へ戻ったカポネにランチを与えた。
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トレイが動かないよう、キュウさんがそっと指を添えた。


カポネの食欲は旺盛だった。
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カポネは脇目も振らず、一心不乱に食べつづけた。


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ランチを食べ終えたカポネは、いつものように自分のねぐらへ帰っていく。


そのカポネを、キュウさんとyuさんがそれぞれの想いを込めて見送る。
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私にしても、カポネの後姿を見送る心境は複雑だった。
カポネが人懐こくなったのは果たして良いことだったのだろうか‥‥?



ともかく、今となっては祈るばかりだった‥‥。
カポネにとって人懐こさが仇とならないようにと。




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コメント

  1. あと半分。 | URL | -

    トップ画像がカポネに!(^^)

    ちょっとビックリしました。
    威厳に満ちたカポネの顔がド~ンと。v-411
    でも・・
    今日の日記のカポネは、だいぶ汚れて疲れた感じですね。
    いろいろあったんだろうなと思いました。

    警戒心が強いのは野良猫の美点。
    同感です。・・野良猫を見てると自然に感じます。
    懐かない猫、警戒心を解かない猫・・それでいいんだと。
    外で生き抜くための、たった一つの武器なんだよねって。

    ですからカポネの人懐こさは・・たしかに、ちょっと不安ですね。
    でも界隈のボス猫として、経験豊富なカポネだから
    なんとか生き抜いてくれる・・そう信じたいです。

  2. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    毎日お疲れさまです。

    カボネ、、本当に汚くなりましたね。。
    洗ってあげたくなります。
    重油どうしたんですか? 自然にグレーになったのかしら?

    カボネ頑張れ!!

  3. みーこ | URL | hSCFVYi.

    重油を舐めてしまったのでしょうね。体に悪いです。

    素人判断より一度は病院で診てもらったら、wabiさん
    達の心配も軽減されるのではないでしょうか?
    もちろん一番はカボネさんの為にですが・・。

    それと子猫の里親募集の記事が下がってしまっますので
    初めて来る人はわかりませんので、どこかトップ固定
    で里親募集を入れてみてはどうでしょうか?
    どうか一日でも早く危険な外から安全な家猫さんにな
    れますように・・小さい時がチャンスなのです!

  4. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    あと半分。さんへ

    トップ画像にマサムネとカポネを交互に表示させることにしました。
    主役争いです。(笑)

    警戒心があるからこそ野良は生きてゆけるのです。
    人間に心を許していれば食べ物を得る機会は増えますが、危難に遭う確率も高くなります。
    その辺の兼ね合いは、各々の野良の性格と経験した境遇によって違っています。
    ですから性格の違いによって野良を差別するべきではないと、私は思っています。

    そういう意味で、カポネの変貌振りは我々に多くのことを学ばせてくれます。



    mimiさんへ

    野良だから薄汚いのか、薄汚いから野良なのか‥‥?
    重油がどうして薄くなったのか‥‥私には判りません。

    ですが、カポネは食欲もあり、今のところ健康面で懸念されるような変化は見られません。



    みーこさんへ

    重油のこと、キュウさんも同じ懸念を持っていました。
    しかし、すでに体内に吸収された今となっては手の施しようがないそうです。

    小さくてお気づきになられなかったようですが‥‥
    『新入り仔猫の里親募集』記事は右カラムのトップに掲載しています。
    目立つようにアニメーション処理もしたのですが‥‥

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