在るがまま

2011年02月14日 17:36

この日も、湘南海岸は凛とした冷気に包まれていた。
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西の空からは薄雲に隠れた斜陽が柔らかな陽射しを放っている。


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ここに棲む野良も僅かな暖かさを求めて、夕陽にその体を晒していた。


此処には以前、3匹の野良が仲良く暮らしていた。
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ところが去年の春、そのうちの一匹が体調を崩し起き上がることも出来なくなった。


間もなく世話をする人に保護され通院したが、その甲斐なく一月後に息を引き取った。
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今は残った二匹がこうして肩を寄せ合って暮らしている。


船宿エリア
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最初に私を迎えたのは、他のエリアから紛れ込んでいるハチワレだった。


そのハチワレに果敢に向かっていったのはミイロだった。
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シズクはいつものように側から成り行きを窺っている。


「お前、まだ此処にいたのか‥‥。お前の世話をしている人も心配しているから早く自分の家に帰りな」
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此処の野良に対して敵対意識を持っている様子は今のところ窺えない。
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ただ恋の相手を求めているなら、見当違いと言わざるを得ない。


ミイロが執拗にハチワレを警戒している。
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私を顧みるハチワレの表情は憂いを含んでいた。


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釣宿の船長さんの周りに野良たちが集まっているのが見えた。


食器の中を覗くと‥‥
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たっぷりのカリカリとニボシが入っていた。


私は姿を見せないカポネを捜すことにした。
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カポネがよく姿を現す場所を一望できる高みで、彼の出現を待つことにした。
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しばらくその場に留まっていたが、カポネは現れなかった。


釣宿前に戻ると、ハチワレがいた。
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ハチワレはカリカリを食べるミイロとサビ三毛を凝視している。


腹が減っているのか、ハチワレがそっと歩み寄ってきた。
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ミイロがその気配に気付き、ハチワレを見詰め返す。


だがハチワレは表情も変えず、ただ静かにうずくまっているだけだ。
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それでもミイロはそわそわと落ち着かない素振りを見せはじめた。


耳でハチワレの動向を警戒しつつ、ミイロはゆっくりと体の向きを変えはじめた。
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ミイロは一瞬たりともハチワレから眼を離さない。
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私はてっきりハチワレがカリカリを狙っていると思ったが‥‥違っていたようだ。
ハチワレはミイロが残したカリカリには眼もくれず、その場を離れていった。



そのハチワレをミイロが警戒モードのまま見送っている。
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ハチワレの姿が見えなくなっても、ミイロはその場から動こうとしない。
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と、その時、カポネが姿を現した。


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カポネは薄汚れた体で船宿前にゆっくりと腰を下ろした。


船宿へ近づこうとしたカポネは、期せずしてシシマルと向き合った。
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両雄はしばらくそうして睨み合っていたのだが‥‥。


新たな向こう傷を作ったカポネの迫力に気圧されたのか、シシマルはゆるりと身を反転させた。
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どうやら決着がついたようだ。但し、次回もこうなるとは限らない。


シシマルが再び威嚇の唸り声を上げた。
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一度は身を引いたシシマルだが、これだけカポネに接近されると何も反応しない訳にはいかないようだ。


こういう時は食欲に訴えるのが良策だ。
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私が猫缶を持ち出すと、野良たちはたちまち大人しくなった。


ここの野良たちの食事マナーはおおむね良い。
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怪我した直後はやつれていたカポネだが、今は以前の体重にほぼ戻っている。


この日も新入り仔猫の食欲は旺盛だった。
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いつまで経っても姿を見せないクロベエを、私は迎えにいった。
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「クロベエ、早く来ないと猫缶なくなるぞ」


苦手とするカポネの側でクロベエに猫缶を与えてみた。
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カポネは歯牙にもかけないが、クロベエはやはりカポネの存在が気になっているようだ。


カポネが食べる勢いでトレイを移動させた。
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結果、二匹の距離が更に接近してしまった。


これにはクロベエも我慢できなかったようだ。
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カポネは以前より穏和になり、仲間と徒に争うこともなくなったのだが‥‥
私は仕方なくクロベエの側にトレイを持っていった。



野良たちは行儀良くきれいに完食した。
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しかし新入り仔猫の食欲は尽きることがないようだ。


さっきまで睨み合っていた両雄が仲良く並んでいる。まるで呉越同舟の図だ。
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野良も人と同様腹が満たされると些細なことは忘れてしまうようだ。
だが人間と違い、野良には二心を持つ偽善者はいない。



野良は飽くまでも自分の気持ちに正直だ。
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カポネが人馴れしたことに打算や下心は一切ない。コイツは心の赴くまま振舞っているだけだ。


このエリアに馴染めぬときは威勢を示すためつっぱっていたが、本来は優しく穏やかな野良なのだ。
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「猫を被る」という慣用句があるが、猫が知ったらきっと激怒するはずだ。
人間ほど裏表のあるイキモノは他にはいないのだから‥‥。



「なぁカポネ、お前もニンゲンだけは被るなよ」
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カポネの後姿を見送りながら‥‥
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何も騙(かた)らず、何も偽らず、在るがままに生きる野良たちに幸あれと、私は祈った。



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コメント

  1. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    お疲れさまです。

    カボネ見るたびに可愛いと思います。本当に。

    いつもお世話ありがとうございます。

  2. 匿名係=ihibou | URL | ZQHR2uUw

    今日のお話を読み進むうちに、心が穏やかになっていきました。一段落、という文字が頭に浮かびました。一度からだが汚れたノラさんは、きれいにならないのかしら、などとも思いました。お返事はいりません、こちらの気持ちを書かせていただきました。

  3. ひまわり | URL | -

    カポネの目がなんともいえない、素直な目です。
    傷も大分良くなって来ている様で、安心しました。
    人間の優しさを、思い出したのでしょうか。
    wabiさん達の優しさに包まれて、幸せです。
    幸せの基準はきりがないけれど。
    でも、ホッタラかされている猫達もいる事を思うと。
    どうして捨てるんだ!って、捨て猫達の所に行くたびに、
    思ってしまいます。
    今日、新しい猫ちゃんが捨てられたといつものおばちゃんが話していました。
    ここに捨てれば、何とかなるとでも思っているのだろうか?
    自分は食事をとらないはずはないのに。気にならないんだろうか?
    やがて自分に返るだろうけど。
    そんな事より、今日の食べ物だから。
    現実は、決して甘くはないから。
    何が一番いい方法だろうか?いつも考えてしまいます。
    いたちごっこだと、おばちゃんが嘆いてました。

    wabiさん!ありがとうございます。


  4. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    mimiさんへ

    そうですね‥‥最近私もカポネがカワイク思えるようになりました。
    ただほんの少しですけど‥‥(笑)



    匿名係=ihibouさんへ

    平穏な日がいつまで続くのか‥‥こればかりは私にも分かりません。
    365日野良には休みがありませんから、気を抜けません。

    カポネの体もいつかはきれいになると思います。



    ひまわりさんへ

    カポネの傷はほぼ癒えました。
    後脚を引きずることもなくなり、重油の影響も今のところ見られません。

    動物を遺棄することは犯罪だといくら訴えても、安易に捨てる人が後を絶ちません。
    船宿にもこの1年で6匹の猫が遺棄されました。
    そのうち里子になったのは半分の3匹‥‥どう考えても計算が合いません。
    野良を減らそうと努力しているボランティアさんの苦労をもっと知ってもらいたいといつも思っています。

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