雪空を見上げて

2011年02月16日 21:00

湘南海岸には、まるで水墨画ようなモノトーンの光景が広がっていた。
模糊として水平線は見えず、江ノ島も霧の向こうに姿を隠している。

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海面から水蒸気が立ち昇っている。これは海水温より気温が低い時に見られる現象だ。
北の地では『気嵐(けあらし)』と言うらしい。



船宿エリア
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朝から降りはじめた霙は、いつしか雪に変わっていた。


船宿前にミイロが姿を現した。
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ミイロはエサ場に置かれたカリカリを食べはじめた。


ふと目をやると、コジローの姿が見えた。
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コジローもエサ場に真っ直ぐやってきた。


そしてやはり室外機の下に置かれたカリカリを貪った。
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この天候では、さすがのコジローも漁港へ遠征するのは中止したようだ。


猫ハウスの中から新入り仔猫が這い出てきた。
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カリカリを食べ終えたミイロはエサ場の軒下から出ようとしない。


空から落ちてくる氷の結晶を新入り仔猫が不思議そうな表情で眺めている。
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その雪は止む気配を見せるどころか、徐々に激しくなっていく。
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さらに寒風に煽られ、目の前の光景に不規則な白い斜線を引きはじめた。


そこへ姿を見せたのは、コユキだ。日頃はあまり姿を見せないコユキなのに、いったいどういう風の吹き回しだ。
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まさか私が勝手につけた『小雪(コユキ)』という名の通り、雪が降るのを歓迎しているわけでもあるまいに。


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と、今度はやはり日頃姿を見せない茶トラが私の目の前を駆け抜けていった。
だがこの二匹に、雪が降るのを喜んで駆け回っている様子は見られない。やはりこういう時猫はコタツで丸くなりたいのだろうと私は思った。



そこへ釣宿の船長さんがやってきて「こういう天気だからエサやりさんも来ないね‥‥」と心配そうに言った。
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「この雪じゃ船は出さないでしょ?」と私が訊くと「いや、お客さんがいるから船出してるよ」と船長さんは答え釣宿へ帰っていった。
門外漢の私は妙な想像をした。雪が舞うこんな日に温かい海から釣り上げられる魚もさぞ寒い思いをするのではと。



道路に溜まった雨水を飲むミイロ。
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船宿前にきれいな水道水を汲み置いてあるのに何故濁った雨水を飲むのか‥‥?
理由は分からないが、猫は雨水を好む。



船宿前に雪がしんしんと降りつづく。
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その雪の中、カポネが姿を見せた。


カポネは背中に雪を背負っている。
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見ているこちらが震えてしまいそうだ。


雪が降っていようが、カポネの歩調はいつもと同様悠然としてした。
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頭のカサブタは今にも剥がれてしまいそうだ。


カポネは雪で濡れた体を私の脚にすり付けてきた。
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「カポネ、寒いのによく来たなぁ」


この日カポネが朝食に姿を現さなかったと、Sさんから知らされた。
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朝食抜きでは腹が減っていて当然だ。カポネはカリカリを夢中で食べはじめた。


その様子をミイロと新入り猫が好奇の眼で見つめている。
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その視線を煩わしく思ったのか、カポネはついと顔を上げた。


カリカリをほぼ食べ終えたカポネのために、猫缶を開けた。
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しかしこの新入り仔猫‥‥小さい体の何処に猫缶は収まるのだろう?


姿を見せない他の野良を捜したが‥‥
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寒さを避けるため何処かに潜り込んでいるのか、発見できなかった。


食事を終えたカポネが横殴りの雪の中へ歩み出た。
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どういうつもりか、カポネは道路の脇にうずくまった。
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そのカポネの体に雪は容赦なく降り積もっていく。


いつまでも動かないカポネの側に行き、私はそっと傘を差しかけた。
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手袋を外した私の手は寒さでかじかんでいる。


私はカポネの体に付いた雪を払ってやった。
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カポネの体は雪が浸み込みしっとりと濡れていた。


それでもカポネはその場から動こうとしない。
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「カポネ、そこじゃまた濡れるぞ。せめて植込みの中へ入りな」


だが私がいくら促してもカポネは同じ姿勢のまま微動だにしない。
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船宿の庇の下からしばらく様子を窺っていたが、カポネは降りしきる雪に身を晒したままだ。


私は見ていられなくなり、カポネを抱いて無理やりエサ場へ連れ戻し、また猫缶を与えた。
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ホントにコイツの胃袋はどうなっているんだ?


あまりにうるさいので、新入り仔猫にも猫缶を分け与えた。
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やっと腹が満たされたのか、カポネはいつものようにねぐらがある東へ向かってゆっくりと歩いていった。


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カポネの去りゆく姿を見送りながら、暖かいねぐらを持っているといいのにと思わずにはいられなかった。


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カポネの残した猫缶は新入り仔猫がきれいに始末してくれた。


猫缶を腹いっぱい詰め込んだ新入り仔猫を、私はミイロがいる猫ハウスに押し込んだ。
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「ミイロ、新入り仔猫を暖めてやりな」


私が船宿を去るとき、枯草にうっすらと雪が積もっていた。
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船宿を覆う灰色の雪空を見上げながら私はふと呟いた。
「春よ来い、早く来い‥‥」と。




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コメント

  1. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    雪の中ご苦労様でした。

    寒い小雪の降っている中、カボネが歩いてくるのをみてせつなくなりました。
    おなか減ってたんですね、きっと。wabiさんがいてくれて良かったです。
    早く暖かい春になってほしいですね。

    ミイロとチビちゃん可愛いですね。一緒のハウスで寝ていて。


  2. ミポリン | URL | -

    もう少しの辛抱

    みんな暖かいですね ほっとします ミイロちゃんは ちょっと前までは家の中で ぬくぬくの所で居たんでしょうに
    文句一つ言わず 自分の置かれた状況に対応する強さに 人生を教えられます
    そして 何かに言っても 人間関係が猫達の運命を決めて行のだと 今私が抱えてる入院中の地域猫(下あごが複雑骨折 舌が半分切れてる 入院10日目 おととい やっと餌を食べ始めてわかった事ですが 上あごも骨折していて穴があいてる事が判明) この子も元飼い猫だったのです 私たちとは一ヶ月の付き合いなのですが 自分ちだと思って 助けを求めて来た子 ほってはおけません 人間も猫も犬も動物に「お帰り」って言ってくれる家があるとないのとでは 違うとつくづく感じました

  3. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    mimiさんへ

    この日は他の野良と同様カポネは船宿へ来ないと思っていたのですが、
    私が来るのを待っていたかのように姿を現しました。

    チビがこのまま此処にいたら、次の冬にはこの猫ハウスでは狭いかも知れません。
    そのためにもチビは何とか里子に出したいものです。



    ミポリンさんへ

    ミイロが家猫として何年暮らしたが定かではありませんが、
    外で冬を迎えるのは今回が初めてでしょう。
    それでも船宿へ行くと必ずと言っていいほど元気な姿で私を迎えてくれます。
    彼女にも再び暖かい家へ戻って欲しいと願っているのですが‥‥

    感情ある動物全てが愛情を求めています。
    長くペットとして人と係わってきた猫はことさら人の愛情を必要としているはずです。
    私たちが手を差し延べないと彼らは生きていけません。
    ミポリンさんの下へやって来た元飼い猫だった子もきっと温かなトコロを探していたのでしょうね。

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