雨の訪問者

2011年02月22日 05:52

湘南海岸には冷たい小ぬか雨が降り、江ノ島も霞んで見えた。
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雨雲のベールの向こうに午後の太陽が朧気( おぼろげ )な姿で浮かんでいた。


船宿エリア
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雨が降る中、カポネが何するでもなく佇んでいた。


そのカポネを横目に、ミイロが通りすぎてゆく。
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ふり返ると、どこからか姿を現したマサムネと目が合った。


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マサムネはミイロと挨拶を交わすと‥‥


いきなり爪を研ぎはじめた。
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「コイツら、雨が降っているのに、いったい何をしに来たんだ?」


カポネはカポネで雨に濡れるのも構わず枯草の上にうずくまったままだ。
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頭のカサブタはまだ剥がれていなかった。辛うじて、まだ‥‥。


快復が遅かった後脚もほぼ癒え、カポネは以前の風格を取り戻しつつあった。
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3ヵ月前に此処に遺棄された元家猫のミイロ‥‥私は彼女の気質が未だに分からないでいる。


エサ場に行くと、新入り仔猫が猫ハウスから這いだしてきた。
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海岸の厳しい冬もこのハウスのお陰で何とか越せそうだ。


カポネがいつものように悠然と船宿へやって来た。
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怪我が癒えたカポネの表情は以前よりずいぶん穏やかになり、『強面』の異名もそぐわなくなっている。


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カポネとは距離を置くコジローも最近はその距離を微妙に縮めている。


カポネが水場に来たのをきっかけに野良たちが徐々に集まってきた。
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カポネの怪我は人為的なモノではなく、事故の可能性を指摘する声が多くなってきた。
負傷してからも人を怖れる様子が見られないことが、その可能性を裏付けている。

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確かにこのエリアの野良の中でも一、二を争うほど、最近のカポネは人懐こくなっていた。
これだけ見た目と性格の落差が大きい野良は他にいないだろう。



船宿前には相変わらず細かい雨がしとしと降り続いている。
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私が水場に入ると、カポネがすぐに体を寄せてきた。「ホントに懐こくなったもんだ‥‥」


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コイツと出会った当初はこうして体を触れるようになるなんて思いもしなかったのだが‥‥。


集まりが悪かったが、野良たちが痺れを切らす前に猫缶を与えることにした。
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ふと顔を上げると、他のエリアから出張ってきているハチワレの姿があった。


腹が減っているのか‥‥?
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「お前も猫缶食べるか?」


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だがハチワレは猫缶には興味を示さない。もしかしたら此処の野良の相伴には預からないという矜持を守っているかもしれない。


そのハチワレに向かっていったのは今回もミイロだった。
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だがハチワレの動じない態度に気圧されたのか、ミイロが後退りをはじめた。


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ミイロは固まったように動かなくなった。


しばらくすると、ミイロはゆっくりと体を反転させた。
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形勢が有利になっても、ハチワレに攻撃の意思はないようだ。


ミイロは更に後退した。
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何故かハチワレも守りの姿勢を取っている。


その膠着状態を破ったのは突然現れた一台の自転車だった。
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こうして2匹の争いは呆気ない決着を見た。


そんな騒ぎを余所にひたすら猫缶を貪る野良がいる。
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カポネだ。


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猫缶が残るトレイから顔を上げると、カポネはおもむろにふり返った。


そのカポネの視線の先にはあのハチワレがいた。
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ハチワレはふり返りもせず、ゆっくりと船宿から離れていく。


その去りゆくハチワレをカポネがじっと見送っている。
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以前のカポネはハチワレと同様このエリアに馴染めなくて孤立していた。


カポネはハチワレに、その頃の自分の姿を重ねているのかもしれない。
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そんなカポネの想いを忖度することなく、ただひたすら猫缶を貪る野良がいた。


車の下に身を隠すハチワレ。
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その側にはミイロが険しい表情で佇んでいる。「まったく、気丈な子だな‥‥」


本来なら率先してエリアの平穏を守るべき男(オス)たちは遠くから様子を窺っているだけだ。
「お前ら、少しはミイロを見倣ったらどうだ!?」

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「お前も幼いとはいえオトコだろ?食気だけじゃなく男気を見せてみろよ!」
私は同性として暗澹たる想いに駆られた。



ふと前方を見やると、船宿を去ろうとしているカポネの側に見知った人の姿があった。
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TANYさんだ。


「お久しぶりです」と私が言うと、TANYさんは「まだ生きてましたよ」と笑って応えた。
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そこへ偶然チャチャさんがやって来た。彼女と逢うのも久しぶりのことだ。


知り合い二人がやって来た代わりに、さっきまでしつこく降っていた雨が去っていった。
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TANYさんは新入り仔猫を膝に載せると「この子もだいぶ慣れましたね」と笑った。
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さっそくTANYさんが新入り仔猫の体を調べはじめた。
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そういえば、TANYさんはミケの体も仔細に調べていた‥‥。


そしてサンマの怪我をきっかけに食欲が急激に落ちたミケに「お前、食べないと死んじゃうよ」と予言めいたことを言ったのもTANYさんだった。
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野良と接しているときのTANYさんは如何にも嬉しそうだ。


またそういうTANYさんを見ていると、こっちまで楽しくなってくるから不思議だ。
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TANYさんは「では、また」と言い、来たときと同じように飄然と去っていった。


少しでも寒さを和らげようと、チャチャさんが自分のマフラーで新入り仔猫をくるんだ。
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「お前もかつては人の温もりを知っていたはず。できればもう一度還してやりたい‥‥束の間ではない温かさの中へ」


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「マサムネ、もう少しの辛抱だ‥‥あと数回雨が降れば春がやって来るよ」


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コメント

  1. みんなかわいいですね。えさ場の様子を見ていると、私も参加したくなります。
    wabiさんの今日のブログの発信時刻の頃、私は近くの公園の猫に朝ごはんを持っていってる時間でした。日の出が少し早くなりましたね。
    こちらも最近捨てられた猫が一度に五、六匹増えました。その中には避妊手術済みのしるし(耳カット)のある子もいて、その子は先日家に連れてきました。「猫たくさん」の我が家で幸せかどうかわかりませんが、その子は目が白濁しており鼻もすぴすぴしているので、家の中のほうがよいかもしれない、と自分に言い聞かせています。
    まだまだ寒さ油断できませんので、wabiさん、体調に気をつけてお過ごしください。いつも励み多いブログ、そしてコメントにお返事くださり、ありがとうございます。

  2. かつお大臣 | URL | EGzluE3Y

    カポネの顔を見るとホッとします。
    いつもありがとうございます。

  3. ミポリン | URL | -

    tanyさん

    なぜか tanyさんの顔を拝見させてもらうと 安心します!!

    高知は3月後半の陽気で 過ごしやすいですが 地震が心配です

    うちのq太郎も 食べてくれたら良いんですが、、、、
    子猫ちゃんの里親さんも みつかりますように

  4. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    雨の中お疲れさまでした。

    カボネの傷も段々と良くなっているようで安心します。
    足の方も良かったです。

    ハチワレさん、きっとミイロのことが気になっているんじゃないですかね?
    船宿の男性達はみんな食い気のほうが強く、心は優しいですからね!

    チビちゃんも丸々としてほんんと可愛いです。
    早く春になるといいなぁ~。

  5. ひまわり | URL | -

    カポネの顔が、なんとも穏やかで、お人形さんみたいです。
    ここまで、快復してとっても嬉しいです。
    tanyさんのお顔がいいですね、優しさがそのままお顔に。
    猫ちゃん達も安らぎますね。
    いつも、wabiさんには頭が下がります。
    ありがとうございます。
    私もこちらの捨て猫ちゃん達に、心を伝えて行きます。

  6. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    ねこやしきさんへ

    船宿エリアの野良たちは総じて穏やかで、見ているだけで和みます。

    これから春に向かって、新たに産まれたり遺棄される仔が増える時期ですね。
    船宿にも謎の長毛猫が頻繁に姿を見せるようになりました。
    この子が家を持っているのか、野良なのか、まだ判っていません。
    きれいな猫なので家猫の可能性もありますが、それなら今までも姿を見せていたはず。
    また家族が増えそのお世話だけでも大変だと思います。
    ねこやしきさんこそ体調にご留意してください。



    かつお大臣さんへ

    カポネは食欲もあり元気です。
    性格もずいぶんと穏やかになり、船宿を訪れる人たちに愛されています。



    ミポリンさんへ

    愛猫を22歳で亡くしたTANYさんの猫の扱いは多少乱暴ですが、そこには愛情が感じられます。

    q太郎ちゃんって、両顎を骨折している子ですよね。
    怪我をした時はさぞや痛かったでしょうね‥‥
    そのことを考えると、可哀想でなりません。
    q太郎が元気になることをお祈りいたします。



    mimiさんへ

    脚を引きずることもなくなり、カポネの傷はほぼ癒えました。

    ハチワレが何故このエリアへ来たのか、その目的は未だ分かりません。
    去勢していないとはいえ発情している様子も見られず、ただエリアをうろついているだけです。
    元のエサ場を追われたのかも知れません。

    長毛の子も幾度も姿を見せ、エリアは賑わっています。(笑)

    チビも無事冬を越せそうです。



    ひまわりさんへ

    カポネは性格が穏やかになるにつれ表情も柔和になりました。
    心配していた怪我も癒え、元の元気な体に戻りつつあります。

    TANYさんは野良たちを慈しみ、そして自らも楽しんでいます。
    生前のミケにも多くの愛情を与えてくれました。
    どの野良も程度の差はあれ人の温もりを求めています。
    私はそんな野良と人との係わりを伝えていくつもりです。

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