それぞれの春

2011年03月01日 21:37

湘南海岸は灰色の薄い雲にすっぽりと覆われ寒々しい情景を見せていた。
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船宿エリア
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珍しく、シシマルがのそりと歩み寄り、私を迎えてくれた。


そのシシマルの眼の前には新入り仔猫がうずくまっている。
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その新入り仔猫をコジローが見つめている。
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そしてその仲間の様子を窺っているのは母猫のシズクだ。
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この野良はこのエリア一物見高い。たいてい何処からかこっちを見ている。まるで家政婦のように‥‥。


私の姿を認めても、マサムネはいつものように素っ気ない。
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「最近ますます無愛想になったなぁ‥‥マサムネ」


クロベエは相変わらず皆と離れた場所に独りでいた。
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心優しいこの野良は争いを嫌い、他の野良にあまり近づかない。


特にこのミイロの側にクロベエ自ら近づくことは決してない。
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ミイロは、このエリアに現れた当初から何故かクロベエに対し敵意をむき出しにする。
黒猫を目の敵にする曰くでもあるのだろうか?



日頃は滅多に姿を見せないサビ三毛までやって来た。
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この野良の出自について、私は殆ど何も知らない。またこれといったエピソードがないので名前も付けていない。


おやおや、クロベエの後に他のエリアから紛れ込んだハチワレまで姿を現した。
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まだ自分のエリアに帰らず、此処にいたのか‥‥。


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いったい何が目的でこのエリアへ居続けているのだろう?


カポネのように発情している様子は窺えない。
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この野良、今までこれといった争いごとも起さず、控えめな態度を貫いている。


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このエリアが気に入り、此処へ棲みつくつもりなのだろうか?


ハチワレの姿を何処からか見ていたのか‥‥コユキが姿を見せた。
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コユキは、このハチワレに何を求めているのだろう?


ひょっとしてこのハチワレ、猫社会ではイケメンなのか‥‥?
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冷ややかなハチワレの態度に落胆したようにコユキは立ち去っていった。


ハチワレはポーカーフェースを崩さずその表情はあくまで冷ややかだ。
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ところが次の瞬間、ハチワレは眼を剥いた。


コユキに代わってハチワレの前に姿を見せたのはミイロだった。
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ミイロはこのエリアで唯一ハチワレに対決姿勢を示しているのだが‥‥。


ハチワレは飽くまでも穏やかな表情で居住いを正した。
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ミイロはハチワレを凝視しつづける。


ハチワレが再び眼を瞠った。
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その視線を辿ると、枯草を刈っている人に行き当たった。


関心を示しているのはハチワレだけではなかった。
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新入り仔猫は刈込鋏を怖れることなく、好奇の眼で見つめている。


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動くモノに興味を持つのが猫の特質とはいえ、刈込鋏はいくら何でも剣呑だ


その時私は、視線を感じた。振りかえると、水場に集まった野良たちが私を見つめていた。
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彼らの目的は私が持ってきた猫缶とカリカリ‥‥そんなことは分かっている。


ただカポネが未だ姿を現さないのだ。
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野良たちの熱い視線を背中に感じながら、私はカポネを迎えに行くことにした。


カポネは捜す間もなくすぐに見つかった。
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「カポネ、こんなトコロで何をしているんだ?腹は減ってないのか?」


カポネはおもむろに歩きはじめた。
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そしてしばらくすると、私の方をついと振りかえった。


ところがカポネは、船宿と反対の方へゆっくりと歩を運びはじめたのだ。
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立ち止まって再び私を顧みると‥‥
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カポネはそのまま人家の敷地へ姿を消した。


しばらくその場で留まっていたが、カポネが戻ってくることはなかった。
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どうやらカポネの『春』はまだ終わっていないようだ。


船宿には釣宿の船長さんが来ていた。
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シロベエは以前のように船長さんに甘えている。


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船長さんの撫で方はまるでシロベエを組み敷いているようだ。


そばにいたクロベエを一撫ですると‥‥
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缶ビールを片手に船長さんは帰っていった。


特攻隊長のミイロが船長さんの後を追ってゆく。
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ミイロはしばし釣宿前に佇んでいたが‥‥


船長さんが釣宿から出てくる気配のないことを知ると、ミイロはやおら踵を廻らした。
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そこへハチワレが姿を現した。
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そしてミイロを見つめたまま動かなくなった。


ミイロもハチワレの視線に気がついたようだ。
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ハチワレがミイロに特別な感情を抱いているように私には思えた。
「しかしハチワレよ、避妊手術を済ませたミイロに春は永遠にやって来ないぞ」



ミイロはハチワレの視線に耐えられなかったのか、車の下へ身を隠した。
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そんなミイロの態度を見て、ハチワレがおもむろに動いた。
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ハチワレはミイロには近づかず、諦めたように歩き去っていく。
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ところが、ハチワレが姿を消すと‥‥


ミイロがそっとあとを追ってきた。
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不可解なミイロの行動に私は戸惑った。


私はミイロの表情から胸中を読み取ろうとしたが‥‥
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複雑な女心は私には手強すぎた。


と、その時、食気しか知らない野良が私の脚にすり寄ってきた。
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新入り仔猫の顔には、お腹へっちゃった、としか書いてなかった。


野良たちの食欲は旺盛だった。
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ただひとりミイロを除いて‥‥。


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残った食べ物は新入り仔猫がきれいに始末してくれる。


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皆がいなくなっても、マサムネはいつも通りマイペースで食べつづけた。


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私はしばらくカポネの登場を待ったが、春の只中にいるカポネが姿を見せることはなかった。


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それぞれの春を胸に仕舞ったまま、野良たちの一日が終わろうとしていた。



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