無慈悲な海

2011年03月15日 15:00

2011/03/13
全ての警報、注意報が解除された湘南海岸は地震前の光景を取りもどしていた。

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波打ち際で寄り添う若いカップル‥‥以前なら気に留めることもなかった場景だが、今はさざなみの様な胸騒ぎがする。


船宿エリア
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エリアに着いた私をミイロが真っ先に出迎えてくれた。


気丈なミイロも本震直後は放心しているように見えた。
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ここに遺棄される3ヶ月前までは家猫だったミイロにとって、地震の時に頼れる人がいないというのはやはり心細かったのだろう。


そこへ注意報の解除を心待ちにしていた仲良し夫妻が訪ねてきた。
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地震翌日に野良たちが心配で海岸へ来ようとしたが、周りの人に引き止められたそうだ。


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ご主人に抱きかかえられたミイロは、あらがう様子をまったく見せず身を委ねている。


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マサムネは駐車場で独り寛いでいる。


夫妻の訪問を知った野良たちがたちまち集まってきた。
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人馴れしないシシマルも奥さんの手にかかれば飼い猫のように従順だ。


その様子を水上バイクの上からじっと見つめるシズク。
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仲間と群れないクロベエは、独り毛繕いに余念がない。


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マサムネは腹が満たされているのか、それともよほどこの場所が気に入ったのか根が生えたように動かない。


仲良し夫妻に別れを告げ、私はサイクリングロードを東へ向かった。
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海辺の長閑な情景を見ていると、48時間前に大津波警報がアナウンスされていたことが嘘のように思える。


ソックスエリア
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ここに棲む野良たちは地震直後に姿を見せなかった‥‥。なので、今日は何としても顔を見たかった。


穏やかな海を眺めながら、私は野良が現れるのを待った。
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エリアから少し離れた防砂林の中から鳴声が聞こえてきた。
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それはいつもにも増してオドオドしたソックスだった。


私のあとを追ってエサ場があった公園にソックスが入ってきた。
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するとそこに待っていたのは、さっきまで船宿エリアにいた仲良し夫妻だった。


私がソックスエリアを訪ねると言ったので、ふたりも此処の野良たちに逢いたくなったのかもしれない。
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ニボシだろうか‥‥ソックスが奥さんの手から直接食べ物を貰っている。


だが懐こいはずのソックスの腰が何故か引けている。
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「ソックス、お前も地震で怖い思いをしたのか?」


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エサ場荒らしに遭ってからのソックスは明らかにナーバスになっていたのだが‥‥今日はさらに落ち着かない様子だ。


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そしてついには植込みの陰に逃げこんでしまった。


仲良し夫妻に請われて、私はふたりを東のエサ場へ案内した。
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すると滅多に姿を見せない長毛の三毛が、我々を迎えてくれた。


コイツに逢うたびに思うことがある‥‥。
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洋猫と和猫がこれほど見事にミックスするのは稀有なことでは、と。


その美しい被毛を触ってみたいのだが、貴婦人は容易に許してくれない。
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今日も優雅に身を翻すと、私に背を向けてしまった。


角材の上にあるのは、仲良し夫妻が置いたニボシである。
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しかしプライドの高い貴婦人が簡単に近づくことはない。


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やはりニボシくらいでは食指が動かないようだ。


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しばらくすると、長毛三毛は防風ネットの中へ身を隠した。


東のエサ場で仲良し夫妻と別れた私は、再びソックスエリアへ戻ることにした。
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ソックスは私の姿を見ていたのか、すぐに植込みの中から姿を現した。
そこで私は腹が減っていないかと、試しにカリカリを与えてみた。

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ソックスはしきりと周りを見回して、落ち着いて食べようとしない。


体を大きく反らし、後ろを何度も振りかえる。
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いったい何に怯えているのだろう‥‥?


動物は人より自然界の異変には敏感に反応する。所謂“動物の勘”という特殊能力だ。
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その能力は、お天道さまを敬い大地に感謝しながら自然と共存していた時代には我々にも備わっていたと思われる。


我々がその能力を失ったのは、いったいいつ頃なのだろう?
そしてそれを失った代わりに何を手に入れたのだろう?

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場所を変えてみたが、ソックスはすぐにカリカリを食べるのをやめてしまった。


そしてか細い鳴声を発しながら私にすり寄ってきた。
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けっきょく私が寄り添っていなければならなかった。


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大地震が起きてから3度目の日没だ‥‥。


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夕陽を撮影するために砂浜へ降りていた私をソックスが追ってきた。


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ソックスが振りかえった先にはタイツの姿があった。これも“動物の勘”か‥‥?


「タイツ、お前も無事だったか‥‥」
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不仲な姉妹との諍いを避けるためなのか、ソックスはそっとタイツから離れた。
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それからソックスは飽きずに海を眺めはじめた。
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いつもと変わらない海を見て、ソックスは何を想っているのだろう?


海を見つめる猫‥‥果たしてこの組み合わせは絵になるのだろうか‥‥?
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だが、今はとてもそんなことを考えている気分でない。


海岸近くに住む者として、私も海には親しみを感じていた。
そして海もその都度ちがった表情で見る者の心に様々な感情を想起させてくれる。
だが‥‥それは表の顔だったのを知った。

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牙を剥いた海は強大で凶暴‥‥そしてあくまでも無慈悲だ。


私は砂浜からサイクリングロードへ戻り、ソックスに声をかけた。
「ソックス、おいで、公園へ戻るよ!」

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ソックスは私の声にすぐに応えてくれた。


自分たちの利便性だけを追い求め、自然への畏怖の念を忘れた我々はこれからどうすればいいんだ?
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なあ、ソックス、動物の勘で分かっていることがあれば教えてくれ。


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心残りだったのは、ソックスとタイツの母であるタビが最後まで姿を見せなかったことだ‥‥。





あなたにも被災者のために出来ることがきっとある。

もし何も出来ないなら、慌ててモノを買い占めるという愚かなことをやめるだけでもいい‥‥。




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コメント

  1. ねこやしき | URL | ezOaKyPo

    被災地の方はもちろんのこと全ての人々に、将来に対する大きな暗い影を落とした出来事でした。
    現地ではたくさんの動物も命を落としたことでしょう。
    私の住む所は津波による被害はないにしても、火災が生じることは考えられるので、その時は家にいる何十匹単位の猫たちをどうするか、今から覚悟はしています。
    普段から猫の食糧品はたくさん必要としているので、山盛りのワゴンでレジに並びますが、この時期のことですから「欲張りの買いだめ」に見えてしまいますね、きっと。 (~_~;)
    wabiさん、海岸猫たちのことをどんな時も伝えてくださることを心から感謝しております。

  2. 匿名係=ihibou | URL | ZQHR2uUw

    拝見していたら、今も揺れましたね。海岸ではみんなどうしているでしょう。

  3. はちみつ | URL | nE5zyyuc

    どうも、ご無沙汰してます。
    地震情報のソース、利用させてもらいます。

    あと、このサイトに被災動物についての情報があるので、書き込んでおきます。
    http://ilove.cat/ja/2379

    感想等はこの震災が落ち着いてから改めて。
    早く平穏が訪れることを祈って。

  4. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    ねこやしきさんへ

    ペットの避難は困難が予想されます。
    ましてねこやしきさんのように大勢の猫ちゃんたちを抱えているとなお更ですね。

    今のところキャットフードが陳列棚から消えたという報道は耳にしていません。
    ですから〝買いだめ〟とは思われないのでは‥‥。
    でもペットの食料が潤沢にあることから、被災地のペットたちが今どういう状況でいるのかが心配になります。



    匿名係=ihibouさんへ

    三陸沖の震源からと思われる余震、内陸部で頻発する地震、と毎日地震が起こっていますね。

    地震のとき海岸猫がどうしているのか‥‥想像するしかありませんが、物陰で身を固くしているのではないでしょうか。
    彼らは我々以上に恐怖を感じていると思われます。


    はちみつさんへ

    今回の地震、そちらはどうでしたか?

    地震情報の全てを確認していませんが、リンク切れなどしたサイトを削除して改訂しました。
    有益な情報があれば追記していく予定です。
    被災動物のサイト、早速追加させていただきました。
    ありがとうございます。

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