カポネは何処(いずこ)へ

2011年03月27日 19:30

東日本大地震が起こる数日前のお話‥‥


雨上がりの湘南海岸‥‥。
上空には厚い雨雲が居座り、一筋の陽射しも届かない。

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手がかじかむほど冷えこむ砂浜に人影は見えない。


船宿エリア
船宿前にSさんがいた。何故午後のこの時間にいるのか、私は訝しく思った。
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そのことを尋ねると「朝は雨が降っていたせいで野良たちが集まらなかったから、午後もう一度出直したんだ」とSさんは言った。


Sさんの言葉を聞いた私は、此処の野良たちは幸せだなと思った。
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さらに漁港に棲む野良が気ががりだと言いSさんは出向いていった。


クロベエは縋るような眼でSさんの姿を捜し求める。
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「クロベエ、心配するな、Sさんはじき帰ってくるよ」


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相変わらず私を見つめるマサムネの視線は刺すように冷たい。


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「シシマルよ、お前は食べている時が一番幸せそうだなぁ」


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コユキを見る度、私はついミリオンを想い起こしてしまう。


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マサムネがカリカリを食べている。いつものように一粒一粒味わいながらゆっくりと‥‥。


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思ったより早くSさんが漁港から戻ってきた。


訊くと「エサは余すほどあって、ねぐらまで置いている。あれなら安心だ」とSさんは独りごちるように言った。
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そしてねだられるまま、新入り仔猫に追加の猫缶を与えた。


Sさんの後を追うように『浜の伊達男』が帰ってきた。
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コジローは出張っていた漁港でSさんと遭遇したのかもしれない。


そこへ仲良し夫妻がやってきた。カポネが戻っていないことを知った二人は落胆の色を露にした。
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ご主人に目ヤニを取られるマサムネはジッと耐えている。
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奥さんはまるでグズる赤ん坊をあやすようにマサムネを抱きかかえる。


生粋の野良がこうして大人しく抱かれるのは稀有なことだ。
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屈託のないマサムネがいつもより幼く見えるのは私だけの錯覚だろうか‥‥?


マサムネは辛うじて残った右眼で辺りを眺めはじめた。
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私は時々考える。マサムネたち野良の眼には我々の世界がどう映っているのだろうかと。
そして自分たちをこんな境遇に追い込んだニンゲンをどう思っているのか、と‥‥。



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いつの頃からかシシマルがシロベエを警戒するようになった。
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こういう状況になると、シロベエは争いを避けてソッと離れていく。
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数ヶ月前に遺棄されたミイロ‥‥ココを終のすみかにする覚悟を決めたのだろうか?
信じていたニンゲンに裏切られた彼女の心を想うと、切なくなると同時に気が咎める。



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世話を終えたSさんが帰ってゆく。Sさんはこうやって毎日往復40分かけて野良たちの為に船宿へ通う。
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そのSさんを塀の上から見送るコジロー。


この野良はクールな面差しから受ける印象どおり何かと目端が利き要領がいい。
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コジローが人間なら出世街道を駆け登っていることだろう。


ただ私はこの手のタイプが大の苦手で、猫だからこうして写真を撮るため側に寄るが、人間なら出来れば近づきたくない。
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この私の想いを動物の勘で察しているらしく、私に対するコジローの態度はたいていに於いてよそよそしい。


ベテラン野良であるカポネも何かを予見して身を隠したのだろうか?
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そして世の中が落ち着いたら姿を現すつもりなのか‥‥。


海岸での目撃情報がないことから、国道134号線を越えて街中へ行った可能性もある。
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私は国道を渡り住宅街に足を踏み入れた。


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猫が好みそうな場所が幾つかあったが、カポネはおろか他の猫の姿も見えない。


カポネが生きていけば、必ず何処かで食べ物を手に入れているはずだ。
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しかし国道を挟んで船宿エリアと隣接する住宅街にエサ場は見当たらなかった。


海岸に限れば、船宿エリアから一番近いエサ場は『西のエサ場』だ。
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西のエサ場
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このエサ場にはかつて十数匹の野良が暮らしていた。


ところが、いつの頃からか野良がいなくなり始めたのだ。
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病気がちな野良も多かったが、若い野良も何匹もいた。それなのに、何の前触れもなく次々と姿を消していった。


残った2匹の野良の姿も最近目にしていない。このエサ場に何が起こったのか‥‥誰も知らない。
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信じて貰えないかもしれないが、此処にはかつて十数匹の野良が暮らしていた‥‥。


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私たちが信じるべきなのは、形あるモノではなく、もっと不確かなモノかもしれない‥‥。

ジョン・レノンの言葉を理想主義者の世迷い言にするかどうかは、残された我々の行動で決まる。



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想像してごらん 天国なんてないと

やってみれば簡単だ

僕達の下に地獄はなく

上にあるのは空だけ

想像してごらん みんなが

今日のために生きていると‥‥


想像してごらん 国なんてないと

そんなに難しくないよ

何かのために殺したり、死ぬこともない

宗教もない

想像してごらん すべての人々が平和に生きていると‥‥


想像してごらん 財産がないのを

君にできるかな?

貪欲も飢餓も必要ない

人類はみな兄弟なのだから

想像してごらん すべての人々が

全世界を分かち合っていると‥‥


君は僕のことを夢想家だと言うかもしれない

でも僕は独りじゃない

いつか君が僕達に加わるといいな

そうすれば世界はひとつになるんだ

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コメント

  1. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    いつもブログ更新ありがとうございます。
    ギックリ腰は静養が大事ですからお大事にしてくださいませ。

    マサムネ抱かれている表情が本当に子供のようですね。可愛いですね。
    また、コジローの鼻の傷なったようで良かったです。

    カボネにまたいつか出会えると信じてますわ! きっと戻ってきますよ。
    ただ、西の餌場の出来事が気になりますね。。。

  2. wabi | URL | -

    コメントありがとうございました

    mimiさんへ

    腰痛はほぼ治まりました。
    ただ長時間PCに向かうと痛みが出てくるので、自主規制しています。
    節電にもなりますしね。

    マサムネは本当に大人しく素直は野良です。
    こんな野良は他にいないのでは、と思っています。
    今回の話は大地震以前の取材によるので、コジローが怪我をするのはこの後になります。

    西のエサ場から姿を消した野良はその後誰も見ていません。
    カポネが元の船宿へ戻ってくるのかは彼の気持ちにかかっています。
    でも生きていれば、いずれ逢えると思っています。

  3. dodo | URL | P/yuRyQg

    wabiさん


    お久しぶりです。
    朝日の昇るのが早くり、海辺のイキモノたちも春を感じている様ですね!
    ジョンレノンの話題はココロに染み込みました。

    お体に気を付けてお過ごし下さい。



  4. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    dodoさんへ

    こちらこそご無沙汰しています。

    『イマジン』が発表されたのが1971年、ちょうど40年前になります。
    しかし世界は、ジョンレノンの想いとは逆の方へ進みつづけているようです。
    私たち世代が出来ることは何なのか‥‥考えさせられます。

    早朝の海岸風景はブログでいつも拝見しています。
    茜に染まる夕陽も良いですが、金色に輝く朝陽はまた格別ですね。
    折を見て早朝の海岸へも足を運ぶつもりです。
    その時、お逢いできるといいですね。

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