翼を持つ猫

2011年04月01日 09:00

ぎっくり腰がほぼ治まった私は久しぶりに海岸へ足を運んだ。
湘南海岸はそんな私を穏やかな表情で迎えてくれた。ただ肌を撫でる風はまだ春の遠いことを教えている。

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船宿エリア
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まず最初に目に入ったのは、所在無げに草叢へうずくまるトラブルメーカーのシロベエだった。


他の野良も何するでもなく屯している。
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シズクは相変わらず無愛想な顔で私を迎えた。
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珍しく三兄弟が水上バイクの上に雁首を揃えていた。
マサムネ、コジロー、クロベエはシズクが此処で産んだ生粋の野良だが、それぞれ性格や資質が違っている。

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穏やかで優しいマサムネ、クールで要領のいいコジロー、そして気弱で大人しいクロベエ、気質は異なっても皆愛すべき野良たちだ。


クロベエがコジローに挨拶を求めてきた。
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だがクールなコジローは執拗な挨拶を嫌う。


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こういう時、コジローはきまって素っ気ない態度でかわしてしまう。


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コジローのつれない反応に落胆したのか、クロベエが肩を落として去ってゆく。


そのクロベエが急に姿勢を低くし身構えた。
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クロベエの視線の先には見慣れた柄の野良の姿があった


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それはここ船宿から1km以上離れた他のエリアから度々やってくるハチワレだった。


このオス猫が何の目的で足繁くここを訪れるのか、その目的は定かでない。
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ハチワレが急に後ろを振りかえった。


そこに姿を現したのは、特攻隊長のミイロだ。
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以前もこのニ匹は火花を散らして睨み合ったことがある。


しかし今回のミイロの表情にその時ほどの敵意は感じられない。
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しばしの間、ニ匹は見つめ合ったまま微動だにしなかった。
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先に動いたのは、今度もミイロだった。


ミイロはその場を去りながらでもハチワレから眼を離さない。
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ハチワレもミイロの動きを凝視している。


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余所者のハチワレを見つめるミイロが何を想っているのか‥‥私には窺い知れない。
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そのニ匹の様子を不安気に見つめるクロベエ。
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振りかえると、数m先をゆっくりと歩き去っていくハチワレの姿があった。

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小さくなるハチワレの後ろ姿を、ミイロはジッと見つめつづけていた。


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コジローもその様子を興味深そうに眺めている。


いつの間にか、マサムネの側に新入り仔猫が来てきた。
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新入り仔猫はマサムネにピッタリと体を寄せている。
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その表情はいつにも増して寂しげに見えた。


マサムネの背中にそっと“手”を置く新入り仔猫。
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するとマサムネがやにわに体を起こした。


どうやらマサムネは寄り添われても構わないが、触られるのは嫌なようだ。
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私には最近すげないが、仲間には優しいマサムネなのだが‥‥。
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新入り仔猫の顔はさすがに悲しげだ。


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マサムネが再びうずくまると、新入り仔猫も身を伏せた。


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そして固く目を閉じたまま、マサムネにそっと体を寄せた。


その新入り仔猫の様子を見つめるミイロ。
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私は、新入り仔猫を見るミイロの眼差しに母の慈愛を感じて仕方がなかった。


忽然と消息を絶ったカポネの姿を求めて、今日も私は船宿を離れた。
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その私の足元には、いつものように後を追ってきたミイロと新入り仔猫がいる。


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ほぼ同じ時期に遺棄されたこのニ匹は、それ故か本当の母子ように仲がいい。


その後もカポネの行方は杳として手がかりがない。
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「カポネよ、お前は何を追い求めているんだ‥‥それは此処には無いモノなのか?」


この幼い野良のことを私は敢えて『新入り仔猫』と仮名で呼んでいるが、それは此処に居ついて欲しくないという願いを込めてのことだ。
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本来なら保護して里親を探すのが正当なのだと承知しているが、係わる人の全てがそうしたくても出来ない事情を抱えているのだ。


『新入り仔猫』に代わる呼び名はいくつか候補があったのだが、キュウさんのブログに背中の模様が“黒っぽい羽が生えてるよう”と書いてあったのを読んで閃いた。
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この幼い野良のことを『翼(ツバサ)』と名付けようと。
そして、その翼で空が舞えるならカポネを見つけて欲しいという願いも込めて‥‥。


<この回つづく>



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コメント

  1. ゆきママ | URL | -

    いいお名前!

    私も家猫になってほしいと願っていましたが、、、
    翼くん、いいお名前です。
    ミイロとは本当の親子ではないかとも思うことがあります。
    あとこのエリアで名前がないのはさび猫ときいろちゃんですかしら。
    先日西の防砂林をはずれまで探しましたが、カポネがいた様子はありませんでした。

  2. Kiryu | URL | T2RJUesU

     wabiさん、こんにちは。

     翼・・・いい名前だと思います。
     空高く舞い上がってカポネを見つけてほしいですね。
     カポネはどこかにお嫁さんを探しに行っているのかな?
     ここで仲間が待っているのだから早く戻ってきてくれるといいのですが・・・。

  3. wabi | URL | -

    コメントありがとうございます

    ゆきママさんへ

    里親さんを募っても今のところ反応はありません。
    去年里子に出た先代の『新入り猫』に倣って名前を付けずにいましたが、
    いつまでも『新入り仔猫』では可哀想に思えてきたので、命名しました。
    以前から考えていた名があったのですが、大空を舞える『翼』に決めました。
    ゆきママさんに気に入ってもらえて、嬉しい限りです。

    カポネは地上から蒸発したように何の情報もありません。
    何処かで生きているとは思うのですが‥‥。



    Kiryuさんへ

    カポネを知る人は皆心配しています。
    そんな私たちの気持ちを他所に、カポネは流浪の旅に出たまま‥‥。
    去勢していないオスの行動は予想がつかず、捜し当てることは困難です。
    戻ってくるのを待つしかないですね~。

    Kiryuさんのブログを拝見していると、春が来たことを感じます。
    暖かくなって、少しでも良い方向へ行けることを願っています。

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