家族の情景 その参

2011年04月27日 18:00

Sさんがツバサの体を持ち上げ、ブラッシングしている。
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ツバサはそうされるのが嫌なのか、小さな鳴声をあげて抵抗を見せるが、Sさんは委細構わずブラッシングをつづける。


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やがて抗っても無駄だと諦めたのか、それともブラッシングが気持ち良くなったのか、ツバサはおとなしくなった。


次は、最近以前の毛艶を取り戻したクロベエの番だ。
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クロベエは尻尾を大きく膨らませて、恍惚としている。そして‥‥、気持良さそうにぺろりと舌を出した。


他の野良たちが船宿を去っても、マサムネ独り悠然と食事を続けている。
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もし野良の世界が熾烈な競争社会だったら、マサムネは所謂“落ちこぼれ”かもしれない。
でもこの野良には優しさという徳がある‥‥。私はそんなマサムネが大好きだ。



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野良たちが見送るなか‥‥、Sさんは船宿を後にした。


Sさんが去った船宿は、さっきの賑わいが嘘のようにひっそりと静まりかえった。
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野良たちの姿は何処にも見えない。


駐車場に目を移すと、コユキがぽつねんと佇んでいた。
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用心深い彼女は周りへの警戒を怠らない。
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そんなコユキが何故独り残ったのだろう‥‥?気紛れな彼女の心情は、私にとって未だに大きな謎だ。


船宿を去ろうとする私の目に、草むらで寛ぐ野良の姿が映った。
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それはミイロと仔猫だった。この場所がよほどお気に入りのようだ。


私が近づいてもミイロは目を覚ますどころか、ぴくりともしない。
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そのミイロの傍らでは、仔猫が安らかな寝息を立てている。


釣宿の前に繋がれた船長さんの飼犬が、悲しげな鳴声をあげていた。
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自分を置いて沖へ出た船長さんを呼んでいるのか?


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船長さんの犬のけたたましい鳴声が耳に入らないのか、それともリードに繋がれた犬に脅威はないと侮っているのか‥‥ミイロと仔猫はまったく無反応だ。


ミイロは相変わらず熟睡モードのまま‥‥。
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仔猫も、動じない“母”に倣って眠りつづけている。


やがて、船長さんの犬は地面に寝転がって身もだえをし始めた。
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船長さんが恋しくて仕方ないのだろう‥‥、


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地面を転がりながら、尚も悲しげな声を上げつづける。


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さすがにうるさく感じたのか、仔猫がおもむろに顔を上げた。


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お前も、本当の母の名を呼んで鳴きたいんだろうな‥‥。


それにしても‥‥、ミイロの腹が据わった態度はどうだ。
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まさに“肝っ玉母さん”そのままだ。


そのミイロの姿を見て安心したのか、仔猫は再び眼を閉じた
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仔猫はどんな夢を見ているのだろう?もしかしたら、此処へ遺棄される前の幸せだった頃の夢を見ているのかもしれない‥‥。


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私はそんな“母子”の眠りを邪魔せぬよう、そっとその場を離れた。


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『パンドラの箱』


パンドラはゼウスがつくった“最初の女性”である。

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ゼウスの息子であるヘパイストスが粘土から“女性”をつくり、ゼウスが生命を吹きこむと、天上の神々は様々な物を彼女に授けた。

アプロディテは美しさを、ヘルメスは説得力を、アポロンは音楽を‥‥。

そうして完璧な女性になったパンドラを、ゼウスは地上にいるエピメテウスの許へ送り込んだ。

神々からの贈り物が入った“箱”を持たせて‥‥。

*

ゼウスからの贈り物には注意するよう兄のプロメテウスに忠告されていたエピメテウスだったが‥‥、
美しいパンドラの魅力には勝てず、彼女を一目見るやいなやすぐに妻として迎えてしまった。

*

パンドラはゼウスに厳しく戒められていた‥‥。
「手渡した箱は絶対に開けてはならぬ」と。

しかしゼウスの警告も、パンドラの旺盛な好奇心を抑え込むことはできなかった。

ある日、パンドラが誘惑に負けて箱の蓋を開けると‥‥、
中から疫病、飢餓、犯罪などのあらゆる災厄が飛び出した。


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パンドラが慌てて蓋を閉めた箱の中には、ただ一つの贈り物が残った。

それは“希望”だった。

*

傲った人間を罰するために地上へ送ったパンドラに、何故ゼウスは希望を託したのか?

それはゼウスの周到な謀(はかりごと)だったのだ。

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偽りの希望、空虚な希望、儚い希望は人間にとって禍に他ならないからだ。

なかんずく、指導者や権力者が自分の保身や利権のために口にする“まやかしの希望”は人間に虚しい期待を持たせるだけだった。

こうして“プロメテウスの火”の使い方を誤った我々は、ゼウスの罰に未だ苦しめられている。

*

それにしても‥‥、
本当の希望はいったい何処へ行ってしまったのだろう‥‥?



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尚、『パンドラの箱』にはいくつか違った展開が存在し、その解釈の仕方も様々です。
なので、上記のお話はあくまでも管理人の管見による解釈であることをお断りしておきます。




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