コジローの事情 その弐『黙秘』

2011年06月12日 22:00

無駄と知りつつ、私はもう一度コジローに訊いてみた。
「コジロー、どうして自分のテリトリーを離れてこんなトコロに独りでいるんだ?」

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するとコジローは沈思するようにそっと眼を瞑った‥‥。私は黙って答を待った。


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ところがコジローは、大きなアクビをひとつしただけでこちらを見ようともしない。


ややあって、コジローは眼を開けたが‥‥、
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私からついと視線を外すと、あらぬ方向を見つめはじめた。
どうやらこの件には触れてほしくないのだろう‥‥、コジローは完全黙秘を貫き通した。



私はそんなコジローを放って船宿エリアへ戻ることにした。
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ところが何を思ったのか、コジローは私の後を追ってきた。


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この時は前回のように、船宿エリアへ戻ることを促したわけではないのだが‥‥。


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コジローの様子は、自分のテリトリーに独りで戻るのは心細いと言わんばかりだった。


やはりシロベエとの軋轢が、コジローを船宿から遠ざけているのだろうか?
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船宿を眼の前にしてコジローの歩みが止まった。


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コジローは真剣な面持ちで、船宿の様子を注意深く窺っている。


と、そのコジローの後ろを黒猫が横切っていく。
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このエリアの黒猫と言えば、クロベエしかいない。


「クロベエ、お前いったい何をやってんだ?」
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しかし気持良さそうに体を地面にすり付けるばかりで、クロベエは何も応えない。


戻ってきたコジローを何処かから見ていたのだろう‥‥、ミイロがコジローに近づき、委細構わず挨拶をした。
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コジローはそのミイロの強引さに気圧され、顔色を失っている。


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“浜の伊達男”“特攻隊長”が相手では、何とも不甲斐ない。


コジローは船宿の方を見つめたまま、いつまで経っても動こうとしなかった。
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その船宿には可愛い女の子が訪れていた。ミイロは臆することなく、見知らぬ訪問者に愛嬌を振りまく。


シシマルは怯えた表情で船宿から離れていく。
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人見知りのシシマルは、その相手がいくら可愛い女の子であっても、けっして心を許さない。


クロベエも車の下から、不安気に見知らぬ訪問者を見つめている。
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結局、女の子たちの相手をしたのはミイロだけだった。


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物見高いシズクでさえ船宿には近づかず、離れたところからそっと様子を窺っている。


ふと顔を上げると、マサムネの姿が見えた。
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おそらく用足しのために船宿から離れていたのだろう。


マサムネは来訪者の存在を認めても、それを忌避することはない。
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ゆっくりとした足取りで船宿へ近づくマサムネ。


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マサムネは、車の下へ潜んでいるシロベエに一瞥をくれると‥‥、


さっきと同じ歩調で船宿へ歩を運びはじめた。
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その頃、女の子たちは駐車場にいたクロベエに声をかけていた。
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だが臆病なクロベエが唯々諾々と言うことを聞くはずもなく、何処かへ身を隠したのだろう、その後姿を見せなくなった。


遊び盛りのツバサも、何故か船宿に近づかない。
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コジローに至っては誰かの攻撃を恐れるように、枯れ枝の中に身を潜めている。


“浜の伊達男”の異名を持つ狷介孤高なこの野良も、そのクールな面差しとは裏腹に用心深く、臆病な性格を持っている。
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それだから、敵の少ない漁港へ毎日出掛けているのかもしれない。


頃合いを見て、私は持ってきたキャットフードを野良たちに与えた。
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いつもなら水場で仲間と争うように食べ物を漁るシシマルは、訪問者を避けて離れたところで食事をとる。
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コジローもまた、船宿を忌避し近づかない。
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そうして結局、駐車場の片隅で独り食事をすることになった。


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優しい野良マサムネは人を殆ど恐れない‥‥、それが良いことなのかそうでないのか、私には判らない。


人を恐れない野良はエサを貰うなどの恩恵に与れるが、悪意を持つニンゲンにとっては格好の標的になるからだ。
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野良たちと触れ合い、満足したのか、可愛い訪問者は連れ立って船宿を後にした。


女の子たちが立ち去っても、マサムネは独りペースを崩さず食事をつづける。
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食事終えたシロベエが水場を離れた。
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そのシロベエの見つめる先にいるのは‥‥、


コジローだった。
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2匹はその場に留まり、しばらく対峙していた。


コジローは険しい眼でシロベエを見据えたまま、微動だにしない。
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先に動いたのはシロベエだった。


シロベエは不自由な後ろ足を引きずりながら、ツバサとシシマルのもとへ歩を進める。
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コジローが自分のテリトリーで心穏やかに居られないのは、それはそれでストレスの溜まることだろうと思われた。


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シロベエは仲間と一緒にのんびりと寛いでいる。
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空気を読めない脳天気なコイツのことだから、コジローが自分を避けていることなどまったく心に留めていない可能性も十分考えられた。


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もしそうなら、ますますコジローが可哀想に思えてきた。


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