確執

2011年06月19日 22:30

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船宿エリア
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ミイロはいつものように釣宿の前で寛いでいた。
「‥‥っていうか、ちょっとリラックスし過ぎだぞ、ミイロ」



元家猫だから、致し方ないと思うのだが‥‥、
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このミイロの警戒心の無さは、やはり気がかりだ。


そこへ、“浜の伊達男”が現われた。
「珍しいなコジロー、いつもなら漁港へ出張っている時分だろう」

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コジローを認めたミイロは、やにわに近づくと挨拶を求めた。


だがコジローは、如何にも迷惑そうな面持ちでミイロに背を向けた。
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そのコジローの後ろ姿を呆然と見送るミイロ。


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「コジロー、いくらなんでもつれないんじゃないのか、今の態度は」


クールが信条のコジローらしいといえば、それまでだが‥‥、
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ミイロの寂しげな様子を見ていると、何もそこまで徹底しなくてもいいだろうと思ってしまう。


しかし“特攻隊長”のミイロもまた、らしかった。ミイロは再びコジローに挨拶を迫ったのだ。
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たがコジローは、今度もするりと身をかわすと、ついとミイロから離れてしまった。


そして‥‥、2匹の間に気まずい空気が流れた。
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たとえ同じエリアの仲間であろうと、べたべた馴れ合うことを嫌うコジロー。
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さすがの“特攻隊長”もコジローの頑なな態度に遭い、挨拶するのを断念したようだ。


毛色からコジローとマサムネは父親が同じだろうと、以前から想像しているのだが‥‥、
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こうも性格が違うと、その想像が間違っているように思えてならない。


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むしろ明らかに毛色が違うこの温和な黒猫と、マサムネの父親が同じなのではと思ってしまう。


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クロベエの耳がいきなり水平に伏せられた。


そしてクロベエは警戒と怯えが綯い交ぜになった複雑な表情を作った。
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クロベエの視線を辿って足元を見ると、ミイロがそこにいた。


ミイロは今にもクロベエに飛びかからんばかりだ。
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ミイロの戦闘態勢を目の当たりにしても、クロベエは同じ姿勢のまま身を固くしているだけだ。


今回もクロベエには何の非もない、ただ水上バイクの上で独り寛いでいただけだ‥‥。
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「ミイロやめとけ、クロベエは何もしてないだろうが!」私はそう言ってミイロを制した。


元家猫のミイロは、人の言葉をその調子である程度理解することができる。
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ミイロは渋々ながらクロベエから離れていった。
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謂われないことでミイロに疎まれつづけているクロベエ。


このことがクロベエの心境に悪い影響を及ぼすのではと、私は危惧している。
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その際にミイロがどんな役割を果すのか、そこまでは分からないが‥‥。


シズクは息子のクロベエが窮地に陥っても、気にとめる様子を見せない。
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この母猫から所謂母性というものを感じることは、殆どない。


“浜の伊達男”も先程のミイロとクロベエの諍いを物陰から窺っていたようだ。
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この野良もまた、兄弟の苦境を見て駆けつけるような情愛は持ち合わせていない。


私は自分の目を疑った。
クロベエが水上バイクから降りて、のこのこと駐車場に姿を現したからだ。

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クロベエはそのまま駐車場の真ん中まで歩み出ると、敵対するミイロに背を向けて体を横たえた。
「な、何故だ、クロベエ!?」



今度は、ミイロが動いた。
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ミイロはクロベエを大きく迂回して駐車場を後にした。


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私は猫の行動が未だによく理解出来ずにいる‥‥。


船宿前に野良の姿はなく、ひっそりとしていた。
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そこへ現われたのは意外にもコジローだった。
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最近では船宿を忌避し滅多に近づかないコジローなのだが‥‥。


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漁港へ出張るのもそろそろ飽きてきたのだろうか?


だがよく見ると、コジローの表情は漁港にいるときと比べてずっと険しいものだった。
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何気なく見やったコジローの視線を辿ると‥‥、
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母と息子のシンクロシーンが目に入った。それは何とも長閑な情景だった。


しかしそんな長閑なシーンとは関係なく、コジローは緊張した面持ちで尚も周囲の警戒をつづけた。
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と、次の瞬間だった!
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コジローが身を伏せ、その眼に厳戒の火を灯したのは‥‥!



* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *



緊急告知


6月19日夕刻、ツバサが新天地へ向けて海岸から旅立っていった。


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里親さんの用意したキャリーケースに収まったツバサは、しばらくの間悲しげに鳴いていたが、徐々に落ち着きを取り戻した。

ツバサが此処へ遺棄されたのは去年の11月28日‥‥、その時の第一発見者は私だった。
それから7ヶ月、ツバサは厳しい海岸の冬を耐え、最近では“母”ミイロからも独り立ちして逞しいオトナへと変貌を遂げた。


そしてそんなツバサをずっと見守りつづけた里親さんに連れられ、ツバサは海岸から去っていった。
もう二度と此処へ戻ってくることはない。

「ツバサ、幸せになるんだぞ!」


この“ツバサ旅立ち”の模様は過去の写真と共に編集し、後日紹介する予定です。



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コメント

  1. はちみつ | URL | nE5zyyuc

    よかった

    ご無沙汰しております。
    ツバサもらい手が見つかりましたか。
    良かった、本当に良かった。

    こうやって1匹でも海岸の猫達が幸せになっていって欲しいです。

    ご苦労様でした。

  2. ミポリン | URL | -

    よかったです

    二三日前 父島に放置され 野生化した野良猫達の保護されてる特集がありました 野生化しても人間に慣れるのです
    でもそれには スタッフさんのなみなみならぬ ご苦労があってこそだと思います
     つばさちゃんも wabiさんに出会わなければ このような幸せな猫にはなれなかったと思います
    本当に おめでとう!つばさちゃん そして みいろ姉御も幸せになって貰いたいです

  3. ねこやしき | URL | -

    ツバサ 本当に本当に良かった…
    里親さんは愛情深く見守ってきてくださったおひとりであるチャチャさんだそうですね。安心です!! 
    先日家猫になったチビ猫に続いて、本当にうれしいニュースです。
    心から感謝です。

  4. バーミャン | URL | S2RSkckc

    ツバサ、本当に\_(^◇^)_/\(*^^*)/ おめでとう。

    幸せになってね~。尽力された方々に感謝します。

  5. wabi | URL | -

    はちみつ さんへ

    コメントありがとうございます。

    この里親さんはツバサが海岸へ遺棄されて以来、ずっと見守っていました。
    そして迎える環境が整ったので、今回引き取られれることになったのです。
    こんな里親さんですから、ツバサはきっと幸せになるでしょう。

  6. wabi | URL | -

    ミポリンさんへ

    コメントありがとうございます。

    船宿エリアへ遺棄されたばかりのツバサは鳴いてばかりいました。
    そのツバサをエリアの野良たちは温かく迎えました。
    特に母親役を買ってでたミイロの存在は大きく、ツバサも徐々にエリアに馴染んでいきました。
    ですから、私と出会わなくてもツバサは幸せになる運命だったのです。
    ミイロに感謝!

  7. wabi | URL | -

    ねこやしきさんへ

    コメントありがとうございます。

    里親さんはツバサを迎えるために、数カ月をかけて様々な準備をしてくれたのです。
    その熱意はこのエリアに係わる人たちにも伝わり、諸手を挙げてツバサを送り出すことができました。
    外で暮らす猫には様々な危険が待ち受けていますから、こうして家に入れるまで気が抜けませんでした。
    でも全ての野良が家猫になれない以上、心配の種が尽きることはありません。

  8. wabi | URL | -

    バーミャンさんへ

    コメントありがとうございます。

    熱意のある里親さんなので、ツバサはきっと幸せになります。
    でもこうして家猫になれるのはごく一部の子だけです。
    ですからツバサには他の子の分も含めて幸せになってほしいと願っています。

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