ツバサの旅立ち

2011年06月24日 23:00

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船宿エリア
願いが届いたのか‥‥、朝まで降っていた雨はあがっていた。

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ところで、今日の主役は何処にいるのだろう?


ミイロが独り船宿前にいたが、残念ながら彼女は捜している主役ではない。
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そのミイロは険しい眼つきで前方を凝視している。


そしてやおら立ちあがると‥‥、
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船宿とブロック塀が作る隙間に向かって慎重に足を運びはじめた。


その隙間に1匹の野良の姿が見える。
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それは茶トラだった。
ここ数ヶ月、この時刻に殆ど姿を見せなかったのだが、最近の出現率はそこそこの高さを誇っている。むろんこの茶トラも今日の主役ではない。



そこへふいにアイが現われた。
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「アイちゃん、悪いけど捜しているのはキミでもないんだ‥‥」


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シロベエ‥‥、申し訳ないが、お前が主役になることはとうぶん無さそうだ。


休日とあって、釣宿前は釣客で賑わっていた。
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「いた!」
今日の主役がブルーシートの上で独り寛いでいた。



この子がいないと、今日の行事は成立しない。
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“好事魔多し”‥‥この日のことが決まってから、私の頭の隅には、常にこの言葉が居座っていた。


いつもと変わりないツバサの姿を見て、私は心底安堵した。
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この日を境に、この野良の運命は大きく変わる‥‥。


いつの間にか、ミイロがツバサの側に来ていた。
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その姿を認めたツバサはすぐに“母”ミイロの側に近づいた。
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母離れを果たしたはずのツバサだったが、まだまだ甘えていたいようだ。


ミイロ2010年11月25日夕刻、ツバサ同年11月28日夕刻‥‥、これは此処へ遺棄された日時だ。
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相前後して“捨てられた”からなのか、この2匹は本当の母子のように寄り添って暮らしている。


ツバサがこのエリアに受け容れられたのは、このミイロの存在が大きい。
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ミイロの側だと安心できるのだろう、ツバサは体中の力を弛緩させて寛ぎはじめた。


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ツバサの様子を見ていると、此処にこのまま居るほうが幸せなのではと、ふと思ってしまう。


しかし、そんなニンゲンの感傷的で一方的な想いは間違っているのだ。
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「野に暮らしても良いことないのよ」
マッシュの捕獲を手伝ってくれたあの女性の言葉が、今も私の耳に残っている。



船宿前にはシシマルとマサムネが無聊そうに体を横たえていた。
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そのシシマルにミイロが挨拶を求めている。
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おずおずとそれに応えたシシマルは、挨拶が終わるとすぐに背を向けた。


ミイロの後を追ってきたのだろう、ツバサは船宿前の駐車場にいた。
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“空気を読めない野良”はいつもマイペースだ。周りのことは一切に気にしない。
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シロベエとツバサの“プロレスごっこ”のゴングがいきなり鳴った。
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最近の戦績は、成長著しいツバサの方が優っているのだが、この時はツバサのモチベーションがイマイチで、ただ馴れ合っているだけだった。


シロベエもそんな半端なツバサの態度にヤル気をそがれているようだ。
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こうやってツバサがシロベエとじゃれ合うのも、これが最後になるだろう。


アクビをするツバサは如何にもダルそうな様子だ。
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病院で抗生剤を与えられてから一時回復していた鼻の調子が最近良くないようで、それが影響しているのかもしれない。


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この頃になると、訪問客が相次いだ。
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その中にはツバサに逢うため横浜からやってきたsyokoさんとご主人の姿もあった。


そして、そこへもうひとりの主役であるチャチャさんが船宿に到着した。
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ツバサはこれからチャチャさんに連れられ、この海岸から旅立ってゆく。



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コメント

  1. はやとうり | URL | -

    wabiさん おはようございます

    ツバサ君旅立つんですね 良かった・・・
    ミイロ母さんとの別れは辛いかな・・・
    でも家猫になれるんだもの 幸せになれますね
    他の子にも多くのチャンスがある事を願わずにはいられません

  2. wabi | URL | -

    はやとうりさんへ

    コメントありがとうございます。

    退院おめでとうございます。

    ツバサのことをこんなに思ってくれる里親さんです、きっと幸せになれます。
    おそらく甘ったれな男の子振りを発揮すると思われます。

    せっかくはやとうりさんが復帰したのに、告知にあるとおり今度は私が静養のためしばらくブログを休むことになりました。
    復帰の時期は分かりませんが、今より少しでも回復することを願っています。

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