貴重な時間

2011年11月18日 08:00

私がそっと正面に回りこむと、その海岸猫はすぐに反応した
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そして私に向かって一直線に駆け寄ってきた。
「元気だったか、ソックス!」私は嬉しくなって、思わず声をあげた。



ソックスはしばらく私の周りをくるくると回りつづけた。この野良と会うのは実に4ヶ月半ぶりだ。
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さらに、私の突然の訪問に興奮したのか、ソックスは側にあった鉄柱にまで体をすり寄せる。


「ソックス、浜へ行こう」
私は久しぶりに会ったソックスを砂浜へ誘った。

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そんな私の意を受けて、ソックスは素直に後をついてくる。


不意に立ちどまり、周りの様子を窺うソックス。
この野良、人馴れしているが、けっして警戒心がない訳ではない。

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辺りに危害を加えられる存在がないことを確認すると、足早に歩きだした。


そして安全地帯である、私の足許にやって来た。
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「これくらい用心深い方がいい。お前は野良なんだから‥‥」


此処でも、以前と変わらぬ様子のソックスに接することが出来て胸を撫でおろした。
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「でもお前、シラガが増えたんじゃないか‥‥」


このエリアを担当するボランティアのA夫妻から聞いた話では、この野良はまだ若く、確かまだ4、5歳のはずだが‥‥。
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過酷な海岸の生活は、想像以上のストレスをこの野良に与えているのかもしれない。


猫と海‥‥。この組み合わせが絵になるのかどうか、正直私には分からない。
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さらに、猫が海を眺めて何を想うのか、これも私には分からない。
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大抵の猫は水を極度に嫌う。私自身生まれてこの方、水と戯れる猫など目にしたことがない。


だから、世界で一番大きな水溜まりである海を猫がどう思っているのか、大いに興味がある。
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にしても、ずいぶん執拗に眺めている。


ソックスは一点を見つめて、固まったように動かなくなった。
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‥‥と思ったら、いきなりのカメラ目線。しかも何故か眼が怒っている。


どうやら、私の存在が鬱陶しいくらい専心しているようだ。
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私はソックスの視線を遮らないよう、ポジションに注意を払うことにした。


たとえじっとしていても、このドングリ眼(まなこ)が特徴の海岸猫は私を飽きさせない。
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この海岸猫を知らない読者のために一応説明しておこう。


事故に遭ったボス同様、この海岸猫も此処に遺棄された母猫から生まれた生粋の野良である。この海岸猫に魅了されている人は多く、県外からも訪ねてくると聞いた。
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“ソックス”という呼び名は、4本の足先の毛が白く、まるで靴下を履いているように見えることから、私が勝手に付けたものだ。


この日は姿を見せていないが、同じように足先が白い母猫は“タビ”と呼んでいる。
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それにして‥‥、彼女をしてここまで惹きつけるモノは何なのだろう?


ボスもそうだったが、此処で生まれ育った野良は海岸の光景に対して特別な想いがあるのかもしれない。
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私はそれが何なのか知りたいが、寡黙な海岸猫は黙して語らない。


それからもソックスは、憑かれたように同じ方角を見つめたまま微動だにしない。
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但し、苦手な犬が通ると、その一挙一動に警戒の眼を向けることだけは怠らない。


そして犬が引き返してこないことを確かめると‥‥、
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再び視線を元に戻す。


この頃になると周りから人影が消え、海辺には私たちだけが残された。
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それでも黄昏の空を背景に、ソックスは彼方を眺めつづける。


こうしていると、最近波立つことが多い私の心が不思議に凪いでくる。まるで幼なじみと旧交を温めている‥‥、そんな感じだ。
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いつもなら海岸を後にしている時刻だが、どうしてもこの場を離れられない。今の私にとっては、ソックスと過ごすこの時間がとても貴重に思えるからだ。


秋の日は釣瓶落とし‥‥。明かりのない海岸は、じき深い闇に包まれる。
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私は撮影をやめ、カメラを仕舞った。
そうして‥‥、ソックスと一緒に潮騒を聴きながら、夜の帳が下りてくるのをこのまま待つことにした。




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コメント

  1. ねこやしき | URL | -

    wabiさん おかえりなさい !
    4か月ぶりの海岸、wabiさんの胸に去来する想いは、どんなにか複雑なものでしょう。
    wabiさんにとっての4か月は長かったでしょうか、
    それともあっという間だったのでしょうか…
    wabiさんの不在の間にいなくなってしまった船宿の愛してやまないマサムネやクロベエ、しずくのことにどんなに心を痛めたことでしょう。
    どうか、これからも心身いたわりつつ、無理なさらないようにしてブログの更新をしていってください。

  2. Wabiさん、ご無沙汰してます。ソックス相変わらず可愛いですね。今度はソックスに会いに連れてってくださるんですよね。楽しみです。白髪はストレスでしょうねぇ残念ながら。私がレスキューした仔の一匹も当時は耳に白髪があったけれど、そのうち消えました。ボランティアの方があげてらっしゃると思いますが、Petkelp、Omega3をご飯に入れてあげては?私は特に冬場は仔猫用のミルクをお湯で溶かし、昆布で出汁をとったものを缶ご飯に混ぜ、ドライフードはほぼ80%くらいを仔猫用、20%を豆など野菜入りのヘルシーフードに混ぜています。亡くなってしまった仔達の手厚く葬ってもらっているのを見ると、口出しするのははばかれますが。。。みんなによろしく。ではまた。

  3. たかたん | URL | -

    こんばんわ。

    お久しぶりです。少し前から再開してます。訪問していただいていたのに非礼をお詫びします。あの東北の震災のニュースを毎日見てると自分が経験した阪神大震災の記憶と重なってウツのような状態になってました。その後、気分を変えるために引越し等で長い間、休んでました。
    海とネコ。凄く絵になりますよ。^^
    海を眺めるソックス、本当に何を感じ何を思ってるのか。
    そのように思います。

  4. mimi | URL | tHX44QXM

    wabiさん

    こんにちわ。

    ソックス元気そうですね。変わらず、丸々として可愛いです。
    ソックスは海がすきなのかぁ。
    これから、寒い季節なので変わらずでいてほしいです。

  5. wabi | URL | -

    ねこやしきさんへ

    ご無沙汰しています。。

    久し振りの海岸‥‥、一言では言い表せないですね。
    私のとって実家での4ヶ月は半年、1年にも感じられるほど長く苦しいものでした。

    海岸猫が船宿から行方知れずになったのは6月で、その頃はこちらにいましたから経緯も分かっています。
    落ち着いたら改めて記事にしたいと思っています。

    お気遣いありがとうございます。

  6. wabi | URL | -

    hellskitchencatsladyさんへ

    こちらこそご無沙汰しています。

    ソックスは私のことをしっかりと憶えていてくれました。
    駆け寄ってくる姿を見たとき、涙が出そうなくらい嬉しかったです。
    一般的に猫は愛想がないと言われていますが、それは大抵人間側に問題があります。
    情愛をもって接していれば、ちゃんと応えてくれますから、彼らも。
    こんど湘南海岸へいらしたときに紹介します。

  7. wabi | URL | -

    たかたんさんへ

    こちらこそご無沙汰しています。

    急に更新が途絶えたので心配していました。
    そういう事情があったのですね‥‥。
    また愛猫との別れもさぞ辛かったろうとお察しいたします。

    これからは以前のように素敵な写真を掲載してください。
    楽しみにしています。

  8. wabi | URL | -

    mimiさんへ

    ご無沙汰しています。

    ソックスが海をどう思っているのか‥‥、私には分かりませんでした。
    分かりませんが、ソックスには何か拘りがありそうです。
    海を眺めている彼女の表情は真剣でしたから‥‥。

    また海岸でお会いできるのを楽しみにしています。

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