敵対する猫たち その参

2012年05月27日 12:00

このハチワレ、どうやら猫缶の匂いに誘われて姿を現したようだ。
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「待ってろ、お前の分もすぐに用意してやるからな」と私はハチワレに声をかけた。
食べ物が原因で、海岸猫同士が争うほど無益なものはないと、私は思っている。



ところがトレイを持って近づくと、ハチワレは慌ててコンテナの下に身を隠してしまった。
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人馴れしていないところを見ると、野良歴が長いのかもしれない。


しばらくすると、ハチワレは用心深く、コンテナの違う場所から這い出してきた。
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そして、私を含めた周りの海岸猫たちの動向を、悠然と窺いはじめた。
辺りを睥睨しているその態度からは、野良猫としての貫禄さえ感じられる。



私とこのハチワレ‥‥実は、この日が初対面ではない。
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この日から2日前、やはり曇天の夕刻のことだった‥‥。


エリアの外れで、盛んに鳴声をあげているハチワレに遇ったのは。
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ある程度の距離までは自ら近づいてきたのだが、こちらから歩み寄ると、ハチワレは慌てて物陰に隠れてしまった。


その時、私はハチワレがほかのエリアから流れてきた海岸猫かと思っていたが、後日そうではないことを知らされた。
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出自はどうあれ、お前はこのエリアに棲みつくつもりなのか、それとも束の間留まっているだけなのか‥‥?


これまでも、海岸で見知らぬ猫を目撃したことが何度かあった。そのまま棲みつく者もいれば、すぐに立ち去る者もいた。その分かれ目には、エリアの先住猫との相性が大きく影響していると思われる。
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その折、ハチワレに関心を寄せていたのは、“特攻隊長”のミイロだった。


私としては、その後の動向を見極めたかったのだが、空模様がそれを許してくれなかった。
予報よりも早く、ポツリポツリと雨だれが落ちてきたのだ。

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上空には見る間に黒い雲が広がり、しだいに雨足が強くなってきた。


ミイロも身体が濡れるのを嫌い、軒下に逃れた。
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傘を持たない私は、これ以上の撮影は無理だと判断し、帰途についた。


それから2日経っても、ここに留まっているのだから、おそらくハチワレ自身はこのエリアに棲みつく気なのだろう‥‥。
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好みを知るためもあって、試しにドライとウェット両方のエサを与えてみた。


するとハチワレは、僅かに迷ったあと、カリカリに口を付けた。
冒頭述べたように、私はハチワレが猫缶の匂いに釣られて、姿を現したと思ったのだが‥‥。

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物の好み、所謂“嗜好”というヤツは、人も含めて、やはりそんなに単純ではないということだ。
ならばと、ほかの海岸猫が残したカリカリもデリバリーしてやった。



ハチワレの食事は、あくまでも鷹揚で、飢えている様子は微塵も感じられない。
おそらく、このエリアの猫たちを世話するSさんや船長さんからエサを貰っているのだろう。

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そのハチワレの様子を、さっきからじっと見つめつづける海岸猫がいる。


それは、このエリアのボス的存在だと、自他共に認める巨漢猫のシシマルだ。
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だが、シシマルの表情からは、シロベエに向けるような敵意も警戒感も読み取ることが出来なかった。少なくとも私には‥‥。


私の直観が正しければ、このハチワレは、此処のエリアの猫たちに受け容れられていることになるのだが‥‥。
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シシマルの態度を見ていると、まだ完全に仲間として認められているとはいえないようだ。


それに、ハチワレの表情や挙動を注意深く観察すると、微かだが緊張の色が垣間見える。
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辺りを見回す視線にも、相手を威圧する光が宿っている。


やがて、満腹になったらしく、ハチワレがおもむろにトレイから離れていく。
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派手な鳴声をあげて登場したわりには、大して腹が減っていなかったようだ。
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結局、猫缶には一度も口を付けなかった。


何気に巡らせた私の視線が、1匹の海岸猫の姿をとらえた。
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それは“浜の伊達男”の異名を持つコジローだった。
「コジロー、そんなトコに隠れていたのか」



コジローは車の下から、ずっと見ていたのだ。ハチワレの一挙手一投足を。
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コジローのことだから、てっきりエリアの外へ逃げたか、容易に発見されない場所に隠れていると思っていたから、意外だった。


そろそろエリアから離れようと、舗装道路へ向かおうとした私は、思わず足を止めた。
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2メートルと離れていない草むらに、さっきのハチワレがうずくまっていたからだ。
それにしても、微動だにしないとは‥‥?



そっと迂回してみて、初めてその訳が分かった。
ハチワレは、シシマルと道路を挟んで対峙していたのだ。

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と、そこへ両者の視線を遮るように、ミイロが割って入ってきた。
気丈夫な彼女らしい大胆な行動だが、いったい何をしようというのか?



ミイロは足を止めると、ハチワレと目を合わせた。
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続いて、視線を交えたまま、ミイロがゆっくりと姿勢を低くしようとした、その瞬間‥‥、


ハチワレはいきなり身を翻して、その場から離れた。
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そんなハチワレを、ミイロは物寂しげに、ただ見つめている。
先日の行動といい、ミイロはハチワレに特別な感情を持っているのかもしれない。



さらにもう1匹、物陰からハチワレの様子を窺っているヤツがいた。
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またしても、コジローだ。こいつも、ハチワレに対して特別な思いを抱いているのか?


コジローとハチワレ‥‥。私が関知していないだけで、すでに2匹の間には、軋轢を生じさせる“何か”が起こったのかもしれない。
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当のハチワレは、2匹の視線を感じているのか、いないのか、悠然とした足取りで去っていく。


ミイロはコジローの側へ来ると、そっとうずくまった。
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そこへ、今まで何処に隠れていたのか、アイが姿を見せた。


そしてシシマルは、というと‥‥、
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皆が残した猫缶に舌鼓を打っていた。さすがはエリアのボス、体もでかいが器もでかい。


今後、新顔のハチワレは、このエリアでどんな役割を担っていくのだろう‥‥?
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何にせよ、私の願いはただひとつ。
たとえハチワレがエリアの海岸猫たちと敵対しようとも、事故などの禍難に遭うことなく、神から賜った天命を全うしてほしい。
ただ、それだけだ‥‥。




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コメント

  1. ミュウ | URL | -

    wabiさんこんばんは、初めてコメントします。
    ブログ楽しく読ませてもらっています。

    ハチワレちゃんと地域猫ちゃん達が打ち解けてくれるといいな~と願っております。

    これからも素敵な湘南猫ちゃん達の姿を見せてくださいね。(*´∀`*)

  2. wabi | URL | -

    ミュウさんへ

    こちらこそ初めまして。
    今後もよろしくお願いします。

    このハチワレ、どういう事情でここへ来たのか‥‥、知っている人は、今のところいません。
    ただ、容易に近づいてこないことから、ある程度の野良生活を経験していると思われます。

    ハチワレが、先住猫たちと今後どういう関係を築くつもりなのか‥‥、私の興味も尽きません。

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