新天地

2012年10月13日 20:00

私が湘南を不在にしていた一ヶ月半のあいだに、ベンチ猫以外にも様々な変動のあったことが徐々に分かってきた。
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帰宅した翌朝にリンとランのエリアを訪ねた私は、そこに住まう人から意外なことを聞かされた。
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このエリアからランが離れ、ほかのエリアで暮らしはじめたというのだ。


ここに残ったリンにも大きな出来事が起こっていたが、それはいずれ機会をみて記事にするつもりでいる。
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リンの身に起こったことは、私が帰省する直前まで危惧していたことなのだが‥‥。


幼い猫が何故こんな辛酸を嘗めなければいけないのか、それを思うと私の心は重く沈む。
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「リン、私がいないあいだに辛い目に遭ったようだな」
リンは私の言葉にも以前のような反応をしめさず、その眼には暗い影が宿っているようだった。



防砂林に住まう人からランの居場所を訊いた私は、そこへ向けて自転車を駆った。
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そのエリアに到着すると、すぐにランが仔猫ともども姿を現した。。
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今春ランは3匹の子供を産んだが、一緒に連れてきたのはそのうちの2匹だ。


仔猫たちは母の遺伝子を素直に受けつぎ、同じキジ白で見分けがつかないほど似ている。
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帰省前に何度かこの子たちと会ったことがあるが、一ヶ月半のうちに大きく成長していた。


あと一月もすれば、体の大きさも母のランとおっつかっつになるだろう。
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何故ランは仔猫を連れて元のエリアを離れたのか、そして何故1匹だけ残してきたのか、その理由を何とかしてランから聞きだしたいと私は思った。


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オスの仔猫2匹の食欲は旺盛で、母猫の猫缶を遠慮せず横取りする。


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やがて慌ただしい食事が終わり、仔猫たちも落ち着きを取りもどした。
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この子は警戒心が強く、彼が定めたパーソナルスペースを僅かでも犯すと一散に逃げてしまう。


久しぶりに会ったランは、母としての自覚をしっかり持ったようで、面持ちにもそれが表れていた。
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だがこの母猫自身まだ幼く、仄聞したところによると今年2月に防砂林の中で生まれたという。


それからしばらくして、リンとランの母猫はほかの家族とともに、子供を出産した直後の2匹を残して何処へともなく姿を消した。
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そして今度はランが生まれ育ったエリアに自ら別れを告げたのだ。
私はつくづく思った。猫というのは自立心が強い生き物なんだなぁ、と。



ランは地面に端座すると、道路を行き交う人の観察をはじめた。
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厳密にいうと違うのだが、私はこの行為を“猫のマンウォッチング”と呼んでいる。ミケも柵の上からよく道行く人を観ていた。


それにしても、いったい猫は人を観察して何を得ようとしているのだろう?
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この場合は、宿敵である犬への警戒心だが‥‥。


と、そこへ一羽のカラスがゆっくりと近づいてきた。
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理由は知らないが、カメラを向けられると、大抵のカラスは慌てて逃げ去ってしまう。しかしこのカラスは、私が構えるカメラの存在など歯牙にもかけていない。


もし猫缶のおこぼれに与ろうと思ってのことなら、残念だがとっくにトレイごと片付けてある。
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ランがカラスの接近に気づき目を瞠った。


この海岸猫は向こう意気が強く、敵わぬ相手でも向かってゆく。その傾向は子供を持つ身になってからいや増すばかりだ。
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ランは自分の体を出来るだけ大きく見せるために四肢を伸ばし背を丸めて威嚇のポーズをとる。


さかしらなカラスのことだ、自分の旗色が悪いのを察したのか、それとも食べ物がないのを知ったからか、おもむろに踵を返した。
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仔猫も母にならって警戒の姿勢でカラスを見つめる。


しかしこのカラスも肝が据わったヤツで、去るときも悠々と歩いていった。
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カラスを見送るランは一気に緊張がとけた様子だ。
気丈なランだが、本心はカラスと無益な争いなどしたくないはず‥‥。

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2匹の仔猫も、そろって安堵した横顔を見せている。


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この子らを、いつまでも“仔猫”と呼んでいては、色々と不都合が生じると思われるので、早々に名前を付けることにした。


向かって左の子の名を“チャゲ”‥‥。
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そして右の子の名を“アスカ”とする。
ちなみに、先ほど警戒心が強いと紹介したのはこのアスカのほうである。



そのチャゲとアスカがいきなり組み合った。
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ところがすぐに両者はいったん離れた。呼吸が合わずに仕切り直しか?


が、勝負はあっさりとついてしまった。アスカが自ら倒れこんでしまったからだ。
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この場合決まり手が何になるのか私は知らないが、チャゲの勝ちは揺るがない。


しかし、2匹とも戦いをやめようとしない。相撲だと思ったのは私の勘違いで、柔道での勝負のようだ。
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柔道のルールに疎い私には、チャゲとアスカのどちらが優勢なのか判断できない。


なんと、ここでチャゲの左フックがアスカの顔面にヒット。
どうやら柔道だと思ったのも私の早とちりで、総合格闘技のようだ。

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チャゲの猫パンチが存外効いたのか、アスカが自ら戦いの場から離れていく。


ヤル気満々のチャゲは、そのアスカを誘うように前脚をのばすが‥‥、
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アスカは戦意喪失した様子でチャゲに背を向けた。よくやく勝敗が決したようだ。


と、次の瞬間、アスカが牙をむいてチャゲに襲いかかった。
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不意をつかれたチャゲは防戦一方である。観戦している私も騙された、アスカの見事なフェイク戦法だ。


ところがまた、自分の優位を放棄するようにアスカがチャゲから離れていく。
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アスカは完全に格闘ごっこに飽きて、興味の対象をほかに向けている様子だ。


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独り残されたチャゲは、しばらくアスカの後ろ姿を恨めしそうに見つめていた。


そのころ母親のランは‥‥、
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物陰でのんびりと寛いでいた。


新天地でこれからラン親子にどんな運命が待ち受けているのか、私にもまったく予見できない。
ただ叶うものなら、親子3匹いつまでもつつがなく暮らしてほしい‥‥。

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私もランたちのために、出来るだけのことをしようと思っている。
そこで同じ轍を踏まないために、私はある決意をした‥‥。




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コメント

  1. みんこ | URL | -

    チャゲ&アスカの戦い、けっこう長いですね。
    たいてい、一方は飽きてきます。
    それで平和なんですが。

  2. wabi | URL | -

    みんこさんへ

    チャゲとアスカ、男の子同士ですからこの手の遊びが好きなのでしょう。
    この母子の平穏な生活がいつまでつづくのか‥‥。
    海岸では何が起こるが分かりませんから、心配しています。

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