故郷の猫 その弐『運命』

2013年01月23日 16:00

寺の参道で数匹の野良と遭遇した翌日‥‥。
この日も前日に引き続いて、銀行に用事があり、私は外出した。そしてその帰途、寺の門前に立ち寄った。



すると、昨日は姿を見せなかった茶シロが松の根元にうずくまっていた。
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私がカメラを向けると、茶シロは物憂げに振り返った。


が、私の存在など歯牙にもかけない様子で、すぐに視線を戻した。
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何気なく、茶シロの視線を辿ると‥‥、そこにも猫がいた。それも初見の猫である。


よく見ると、まだ成長し切っていない幼い猫だ。
縞模様がはっきりしていないが、広義にはサバトラの範疇に入るのだろう。

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見知らぬニンゲンに興味津々ながら、警戒心がそれを抑えている、という面持ちだ。


さらに辺りを見回すと、植込みの中に、昨日ゴミ袋の脇にいた仔猫を発見。
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近くに比較する白い物がないからか、それとも懸命に毛繕いしたのか、昨日より体が綺麗に見える。


私との距離は2メートルあまり。
それでも警戒心のかけらも見せず、飽くまでも鷹揚な態度である。
(‥‥やはりこの仔猫はそうとう人馴れしている)

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実際は陽射しに目を細めているのだろうが、その穏やかな物腰のせいで、私には微笑んでいるように見える。


白い仔猫とは違って、このサバトラは私が少しでもパーソナルスペースを侵すと、一目散に逃げてしまう。
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私には、この子の出自を知る由もないが、生粋の野良のような印象を受ける。


ここで野良である母猫から生まれたのか、仔猫のときに遺棄されたのか‥‥、どちらにしても、無責任なニンゲンの犠牲者であることに違いはない。
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それでも完全に逃げ失せることなく、ある程度の距離を置くと、そこに留まる。


このとき、私とサバトラとの隔たりは5メートルほど。恐らくこの距離が、彼のパーソナルスペースの最高限度なのだろう。
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たいていの猫は、人への信頼度によって、顔つきまで変わってしまう。勿論、彼らのせいではない。そうしてしまったのは、我々ニンゲンだ。


そのとき、参道の方から唐突に人の声がした。
すると仔猫が、それに呼応するように声がした方へ駆けていく。
私も仔猫の後を追って、参道へ向かった。



どうやら、さっきの声は、この家の住人が猫たちに食事の時間を報せる合図だったようだ。
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私はトレイの中を見て、愕然とし、そして暗澹たる気分になった‥‥。


トレイに入っていたのは、中華麺と食パンだ
仔猫は、それらをごく当たり前のように食べていて、常食であることを窺わせる。

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ニンゲンのために作られた麺やパンには、猫にとって過剰な糖分や塩分が含まれていて、食べつづけると肥満を招いたり心臓や腎臓に大きな負担をかける。


猫に与えてはいけないモノは多岐にわたっているし、その危険度も様々だ。雑誌、書籍などの印刷物やネットで調べれば容易に情報を得られるが、それら全てを憶えるのは大変なこと。


だが、私に言わせれば、そんなしち面倒なことをする必要は、ない。
憶えるのは、たったこれだけだ。

“専用に作られたキャットフード以外は、猫に与えない”
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なので、同じペットフードだからといって、ドッグフードを猫に与えてはいけない。そして同じ理由で、その逆も厳禁だ。


顔を上げた仔猫を見て、私は驚いた。
「オッドアイだ!」実際にオッドアイの猫を見たのは、初めてだった。

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けれど、青い瞳は一部が瞬膜に覆われ、瞼の開きも右に比べて狭い。
この場合、眼球自体の損傷が一番疑われる‥‥。



しかし、ここの環境だと動物病院で治療を受けている可能性は低そうだ。
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今のままの状況では、この仔猫が家猫のように長く生きることはないだろう。
が、それもこの子の運命だ。



オッドアイの白猫のことを神奈川に住む知人にメールで知らせたら、「オッドアイの子は珍しいから、こっちならすぐに里親さんが見つかるのに」と返信があった。
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猫の場合、人よりもさらに、生まれた環境によって運命が左右される。
その定めは残酷なほど絶対的で、猫自身にはどうすることも出来ない。
救えるのは、我々ニンゲンだけなのだが‥‥。



この日は早く実家に帰らなければならなかったので、翌日改めて訪れることにした。
そして次の日、私は改めてこのエリアの劣悪な環境を目の当たりにする。



〈次回へつづく〉



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コメント

  1. hellskitchencatlady | URL | -

    Wabiさんオッドアイのアダプト、賛成します。もうこれ以上悲惨な話は勘弁と言いたい所ですが、一人でも多くの人々に動物愛護を訴えていきましょう。あのぅ私自身はうちの猫のアレルギーのこともあり、それと猫は魚釣りしねぇよの獣医師の言葉、もともとネコ科は肉食動物なので魚系のご飯は今避けてます。大好きだけど。。。でもWabiさんのご郷里のめん、ぱんはありえねぇ!ただの残飯じゃないか。猫にとって(人間にも)炭水化物はなんら栄養にはなりませんよね!無知には泣けてくるが、餓死するよりはいいのかなぁ。そう思うとうちの泰平の方が幸せだなと思っちゃいます。Wabiさんの故郷の地域の方々、詳細はまだ分かりませんが小さな尊い命、もっと尊敬しましょう!大切にしましょう。可愛い仲間、是非一人でも奥の方のご理解協力が得られますように、本当に教育が必要なんですねぇはぁぁぁ。。。そしてたとえ変なカリカリでも猫餌をもらえますように。あえてメールで無くコメントにしました。お会いできる日楽しみにしてます。

  2. 荒野鷹虎 | URL | -

    はじめまして!

    猫ブログでは脅威を感じました。
    人の無責任さと、非道な行為に怒りを覚えました。素晴らしい警告のブログと思い感激いたしました。
    動物の飼い方、育て方も知らずに、子猫を捨てる屋から・無限に生まれる孤独な子猫・その責任は全て人間が追わなければ成りません。☆!

  3. 茶チャママ | URL | Wb6Olee.

    そんな場面はよく目にします

    身勝手な人間の被害者は犬も同じです
    飼われていてもそんな事当たり前に
    「生きて行けるからいいでしょ!」
    捨て台詞・・・
    避妊も同じ恐ろしいことをする人も・・・
    「直ぐ死ぬから、長生きしないんです」
    笑って言われる人も・・・
    家族と思わない人が余りに多く
    悲しい現実を目の当たりにしています
    子供の頃から人間不信になっている私です

  4. 茶チャママ | URL | Wb6Olee.

    そんなこと日曜茶飯事です

    飼い猫や犬も人間の身勝手な飼い方の被害者です
    飽きたから捨てる・大きくなったから・思い通りにならないから
    お金を使うのが勿体無い
    避妊もそうです
    捨てればいい・とんびの餌・魚の餌
    恐ろしい事を笑って言う人が
    長生きしないから、次の用意に
    命を何と考えているのか・・・
    そんな事を当然と育って来た子は同じ事を
    人間不信に陥ってしまうことです

  5. wabi | URL | -

    hellskitchencatladyさんへ

    21世紀になっても、未だに“猫マンマ”を与えている人は多いと思います。
    キャットフードの存在は知っていても、ニンゲンの食べ物の危険性を知らないのです。
    ですから、私の郷里の人たちも野良猫の命を軽んじているわけではなく、飽くまでも善意からの行為です。

    私のブログでは、これまで啓発的な記述を敢えて避けてきました。
    ネット上には、この手の情報を詳細かつ正確に伝えているサイトが数多あるし、
    私のブログの内容にはそぐわないと思っていたからです。
    でも今回は、私の故郷の出来事だったので、最低限のことだけを教示しました。

    私も再会できるのを楽しみにしています。

  6. wabi | URL | -

    荒野鷹虎さんへ

    こちらこそ、はじめまして。

    私としては、出来るだけ抑えた表現をしているつもりなので、
    “脅威”と評されて、いささか驚いています。
    でも、ときおり感情に流されて思いの丈を書き綴ることがあります。
    たいていは怒りを抑えきれなくて、真情を吐露しているときだと思います。
    最近は酷薄なニンゲンに憤りを感じてばかりです。

  7. wabi | URL | -

    茶チャママさんへ

    野良猫が存在しているのは、無責任で酷薄なニンゲンの所為です。
    その上、野良猫を虐待する悪逆非道な輩までいるのです。

    でもそんなニンゲンは必ず報いを受けます。

    たとえこの世で断罪されなくても、阿鼻地獄で未来永劫苦しみ続けるは必定です。
    命を粗末に扱った者は、己も同じ運命に遭うことでしょう。

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