故郷の猫 その伍『心情』

2013年02月07日 08:00

全てを記事にするとあまりに長くなり、冗長だと非難される恐れがあったので、敢えて割愛したが‥‥、
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実は、前日コンビニ猫と別れて再度キジトラエリアへ赴く間に、オッドアイの仔猫が暮らす山門前エリアを訪れていた。


灰色の雲が低く垂れこめる空模様では、さすがに日向ぼっこする野良の姿はなかった。
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まず最初に姿を現したのは、オッドアイの仔猫だった。


そのオッドアイの子に、おやつを与えたのだが、サバトラに先んじられてしまった。
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だがこれ見よがしに目の前で煮干しを食べられても、オッドアイの子は悔しがる素振りも怒る表情も見せない。


それは年長のサバトラへの気兼ねかもしれない、と思い、改めて仔猫に煮干しを与えてみた。
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ところが匂いを嗅いだだけで、口を付けようともしない。


煮干しを目の前にしても、心ここに有らずといった風で、目を逸らしてしまうのだ。
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(煮干しを食べたことがないのか?)
何せ、此処の野良たちは、日頃中華麺やパンを食べているくらいだから‥‥。



そこで、新たに買い求めたカリカリを煮干しの横に置いてみた。すると、これにはすぐさま反応し、音を立てて食べ始めた。
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だがやはり、煮干しにはいっさい関心を示さない。


ある程度腹が満たされたオッドアイの仔猫は、溜めおいた雨水で喉をうるおす。
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仔猫が食べ残したキャットフードは、サバトラがすぐに引き継いだ。


食べ物の匂いを嗅ぎ取ったのか、それとも仲間の咀嚼する音を聞き取ったのか、気付かぬうちにハチワレがすぐ側まで忍び寄っていた。
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このハチワレ、食べ物に誘われたとはいえ、こうやって近づいて来るところを見ると、ニンゲンを無闇に忌避している訳ではないようだ。


試しに煮干しを差し出しても、少し身を引くだけで逃げることはない。
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そればかりか私が側にいるにも拘わらず、ハチワレは煮干しを一口一口味わうようにゆっくり食べる。


オッドアイの仔猫が食べているカリカリは、私がこのエリアを訪れた時、すでにこの場に置いてあったものだ。
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恐らく近所の住人が野良たちのために置いたのだろうが、此処に暮らす野良の数を考えれば、あまりに少な過ぎる量だ。


煮干しを食べ終わったハチワレは、サバトラの様子を頭上から窺っている。
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だが関心は寄せていても、ちょっかいを出すとか、横取りをするつもりはなさそうだ。


試しに、松の根元に置かれている用途不明の器に、カリカリを入れてみた。
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後ろを振り向くと、ハチワレの姿が消えていた。
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私は辺りを見回した。意外なことにハチワレは私のすぐ側にうずくまっていた。


器のカリカリを最初に嗅ぎ付けたのは、若いキジ白だった。そこへハチワレが近寄っていく。
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すると、キジ白は慌てて顔を上げ、体を強ばらせて身構えた。
キジ白とハチワレの間に不穏な空気が漂う。



キジ白が前脚を上げて、パンチを出すぞとばかり、ハチワレを牽制する。が、ハチワレは、全くといっていいほど動じない。
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ハチワレの泰然とした姿勢に気圧されたのか、キジ白はあっさりと体を翻した。


実際の争いになる直前、キジ白が潔く身を引いた格好だ。
このように、このエリアの猫たちは喧嘩や諍いを起こさず、力の弱い者が身を引く傾向がある。

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此処の野良社会には、ニンゲン社会で今や死語になった“長幼の序”が未だしっかりと受け継がれているようだ。


そのハチワレを凝視するオッドアイの子。まさか、カリカリを狙っているのでは‥‥。
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そんな私の懸念を無視して、オッドアイの子は軽やかに跳躍した。


だが、私の心配は杞憂だった。仔猫の目的は他にあったようだ。
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どうやら、小さな動くもの(虫など)を目掛けての奇襲攻撃だったようだ。


今日もまた、中華麺の入ったトレイが置かれている。ただ、猫たちの口には合わなかったようで、その多くが残されていた。
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さらに、その傍にはちぎったパンまで無造作に置いていある。


よく見ると、それは“アンパン”だった。
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これもまた、野良たちの好みではなかったのか、食べた形跡はなかった。


このまま放っておけば、いずれ生ゴミと化してしまう。
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局外者の私には出過ぎたマネだと思ったが、これはそのまま処分することにした。


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私が山門近くにいると、黒猫が姿を現した。この黒猫、今回が初見である。
「いったいこのエリアには何匹の野良がいるんだ?」

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カリカリを地面に置くと、おずおずと近づいてきた。そして、カリカリを勢いよく食べ始めた。


その黒猫の背後に、先程の若いキジ白が近づいてくる。
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黒猫は、キジ白の気配を感じたのか、前方を見据えたまま低い唸り声を発した。


その声を聞いたとたん、今回もキジ白はあっさりと踵を返した。
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と、民家の石段の上から、新たな黒猫がのっそりと姿を見せた。


また初見の猫の登場だ。
この黒猫で何匹目なのか‥‥、私は数えることをとっくに放棄している。

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今回の黒猫は、私が差し出すキャットフードには目もくれず、射るような視線を投げかけてくる。
その毅然とした佇まいからは、風格さえ感じる。



私は、試すようにカリカリを置く位置をさらに手前にした。若い黒猫は警戒心の鎧を再びまとって、しばらく私の様子を窺っていた。
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だが、食べ物の魅力には抗えなかったようだ。
このとき、私との距離は1メートルあまりしかなかった。



次に姿を現したのは茶シロだった。
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茶シロは、飽くまでも穏やかな表情で黒猫を見つめている。しかし、その瞳には羨望の色が感じられた。


「お前も食べるか?」そこで私はそう言って、茶シロのためにカリカリを地面に置いた。
すると茶シロは、慎重な足取りで近づくと遠慮がちにカリカリに口を付けた。

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カリカリを置く位置を、黒猫の場合と同様に短くしてみると、躊躇いなく近づいてきた。


ハチワレが背後に回って来たので、同じようにカリカリを与えた。
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ところがハチワレは、すんでのところで中断し、慌てて後じさりした。


そこに現れたのは、さっきまで前方にいた若い黒猫だった。
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こうやって、このエリアの猫たちの力関係がさらに明らかになっていく。


黒猫がいなくなり、やっとカリカリにありついたハチワレ。
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「自分が同じ目に遭って、あのキジ白の気持ちも分かっただろ」


鳴き声がしたので、つと視線を上げると、そこにも初見の猫がいた。それも面差しに幼さを残した、まだ若い白猫だ。
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2匹の仔猫と血縁関係でもあるのだろうか‥‥?どちらにしてもなかなかの美猫である。


よほど腹を空かせているのか、カリカリを地面に置くたびにこの黒猫がやって来る。
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狛犬の台座の陰から年長の黒猫が顔を覗かせている。が、若い野良のようにキャットフードに釣られて近づいて来ることはなかった。
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先程門扉の柱の上にいた若い白猫も参道に出てきた。でもやはり、初見のニンゲンに安易に近づく軽はずみな行動は慎んでいる。


腹を満たしたオッドアイの子は、藁が敷かれた松の根元に独りうずくまっていた
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氷点下に下がる夜中もここで寝るのだろうか、それともほかにねぐらがあるのだろうか‥‥。


さっきハチワレにエサを横取りされた若いキジ白が、物言いたげな面持ちで、私を見つめている。
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この子には後で、存分にカリカリを与えてやるつもりだ。


ふと視線を戻すと、幼い白猫が地面に置かれたカリカリを食べていた。
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しかし、初見のニンゲンに気を許したわけでは無さそうだ。私を見つめる眼を見ればそれがよく分かる。


此処の環境は一見すれば劣悪だが、野良たちの心は、比較的満たされているような気がする。
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それを裏付けるように、食べ物を間に挟んで対立しても、そのことが諍いに進展した場面を、私は一度も目撃していない。


田舎特有ののんびりとした気風が、猫たちにも浸透しているのかもしれない。
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此処の野良たちは同じ境遇の者同士、助け合って暮らしているように見える。
都会ではとんと聞かれなくなった“相身互い”の精神が、この街にはまだ辛うじて残っているからかもしれない。



翌日、エサを与えている近隣の住人と、偶然接触することが出来た。
そのときの様子は次回紹介します。



〈次回へつづく〉



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