故郷の猫 その七『行動』

2013年02月19日 11:00

母は、良い意味で医師の診立てに背き、周りも驚く生命力で小康状態を維持している。
以前は毎週だった通院治療が3週間ごとになり、私は時間を持て余す日が多くなった。

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そこで、無聊を慰める目的もあって、私は時間があると山門前エリアへ通った。


ここは表通りの近くにあるスナック。その店先に黒猫を発見。
私が確認した黒猫はこのエリアに2匹いるが、後ろ姿だけではどちらの黒猫か識別出来ない。

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よく見ると、黒猫のいる店先に白いトレイが置かれている。


近づいて中を覗くと、カリカリが入っていた。
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黒猫はこのカリカリを食べていたようだ。


ドアの側に置かれたトレイにも、同じカリカリが入っている。
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ところが、違うトレイには残り物か賄いらしきものが入っていた。
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味見をする訳にもいかないので断言出来ないが、手間を考えると、わざわざ猫用に味付けされているとは考えにくい。


物陰にいたので最初は気付かなかったが、顔見知りになった茶シロが、すぐ側でカリカリを食べていた。
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ここにも正体の分からない食べ物が発泡トレイに残っている。そして明らかに何者かが口を付けた痕跡があった。


このエリアの野良たちにとって、私は通りすがりの部外者に過ぎない。だから今までは、敢えて主食となるエサを避け、主にスナック類を与えていた。
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でも此処の食料事情を知るにつれて、一度はちゃんとした食事を与えたくなった。


ただ、今後過度な期待感を抱かせないように、試食程度の量に抑えた。
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気配を感知したのか、徐々に野良たちが集まってきた。


注意深く辺りを見回すと、生垣の隙間から様子をうかがっている野良の姿も確認出来る。
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何匹集まるか分からないので、取り敢えず猫缶の半分を開け、用意した紙皿に盛った。
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野良たちは争うことなく、行儀よく猫缶を食べ始めた。


オッドアイの仔猫もやってきたので、同じように猫缶を与えた。
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仔猫はゆっくりと、しかし脇目も振らず一心不乱に猫缶を食べる。


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それまで様子見に徹していた野良も寄ってきて、山門前はにわかに賑わってきた。


野良たちがどんな行動をするのか知りたくて、私は敢えて器を増やさなかった。
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すると、若いキジ白と長毛キジ白がそっと紙皿から離れた。


これまでも年長の先輩猫に譲ってばかりいた若いキジ白の行動はわかるが、厳めしい風貌の長毛キジ白が身を引いたのは予想外だった。
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とどのつまり、猫もまた、見かけでは判断出来ないということだ。


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ハチワレが、生垣からでてやっと姿を見せた。ずいぶん勿体ぶった登場である。


オッドアイの仔猫が参道を横切って、こちら側にやってきた。
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仔猫が使った紙皿を回収しに行くと‥‥、
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猫缶をほぼ完食していた。


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満足そうに毛繕いしている仔猫を見ていると、こっちまで安らぎを覚える。もちろん、一方的な想いであることは承知している。


これ以上野良の数が増えそうにないと判断し、残りの猫缶も開けた。
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と、そこへ若いサバトラが悠然とした足取りでやってきた。


あの程度の量で腹が満たされたのか、大半の野良が紙皿から離れ周辺でたむろし始めた。
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残っているのは、育ち盛りの幼い野良たちだ。
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あとからやってきたサバトラは、その遅れを取り戻そうと懸命だ。


育ち盛りは食べ盛りでもある。
すでに一皿平らげているオッドアイの仔猫も、健啖ぶりを見せる。

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きょうだいである眼ぢからの強い仔猫も、食欲は旺盛だ。


いつもは先輩猫に怯え、遠慮ばかりしていた若いキジ白だが、今日は存分に食べたと見えて、満足気に毛繕いをしている。
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ところが、ここにまだ、執拗に猫缶を漁る野良がいた。
先日仲間からおやつを横取りしたサバトラだ。今日もその横暴ぶりは健在だった。

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まず、近くにいた眼ぢからの強い仔猫の猫缶を、強引に奪いとる。仔猫は為す術もなく、紙皿から後ずさった。


さらに、オッドアイの仔猫の紙皿にも触手を伸ばす。
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サバトラの横紙破りな行為に眉をひそめる人がいるかもしれない。だが、野良社会にも遵守するべき独自のオキテがあるはず。


だから、たとえ専横な振る舞いに見えても、そのオキテに反していなければ、我々がとやかく言う筋合のものではない。
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横暴なこのサバトラだって、いつかは手酷いしっぺ返しに遭わないとも限らない。


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何しろ野良社会は“力”がモノを言う、単純明快なヒエラルキーで成っているのだから。


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ちなみにこのサバトラ、容姿や艶っぽい仕草などからメスだと思っていたのだが、オスであることが判明した。


やはり、まだ物足りないのだろう、若いサバトラが執拗に猫缶のかけらを物色している。
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でもこの日用意したキャットフードは猫缶だけ。そしてその猫缶も、もう残っていない。


松の根元で寛ぐ4匹の野良。藁の敷きつめられたこの場所がお気に入りなのだろう。
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改めて周囲を見渡すと、ほかの野良たちはいつの間にか姿を消していた。


そして、参道には缶と紙皿が残された。
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中を確かめると、底に僅かなかけらがへばり付いているだけだ。気持ちいいほど綺麗に平らげている。


眼ぢからの強い仔猫が参道脇を流れる水路をじっと覗きこんでいる。
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身を乗りだしてまで、いったい何をしようとしているんだ。


「獲物でも発見したのか‥‥?」
真剣な眼差しを水面に向ける仔猫のただならぬ様子に、私は目が離せなくなった。

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この街の水路を流れる水は清く澄んでいて、冬場は数を減らすが、淡水魚をはじめとする水棲生物がいる。


とはいうものの、水を嫌う猫がそれらを獲物として狙うとは考え難いのだが‥‥。
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このあと、私は仔猫の意外な目的を知ることになる。


〈次回へつづく〉



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『血まみれの毛皮』


日本では今、ファー(毛皮)が流行している、という。

ファーは上着のフードや襟や袖口、そして手袋、帽子、ブーツ、バッグ、アクセサリー、ケータイストラップと、実に様々なものに使われる。
そして、デパート、スーパー、専門店はもちろんのこと、今や100円ショップでも売られている。


ところで、これらの製品を作るために、多くの動物が生きたまま皮を剥がされている事実を、あなたは知っていますか?


「ここに、その事実を伝える映像がある」
ただし、かなりショッキングな映像なので、相応の覚悟をして観るように。
ちなみに私は、この映像を観たとき、あまりの衝撃に嗚咽と吐き気がしばらくとまらなかった。
そして‥‥、自分がニンゲンであることを心底嫌悪した。



最近では、フェイクファー(人工毛皮)より安価というだけでリアルファーが作られるそうだ。
それがため、アジアでは犬猫だけでも毎年200万匹が殺されている。
しかも、その毛皮のほとんどが日本へ輸出されるという。

あなたはこの事実を知っても、まだファー(毛皮)を身に付けますか?


詳しい実情を知りたい方は下記のサイトへ。
あなたに出来ることもきっとあるはず。

地球生物会議ALIVE
JAVA
ヘルプアニマルズ
アニマルライツセンター



『血まみれの毛皮Part2』



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コメント

  1. いちこ | URL | -

    こんにちは、wabiさん。
    大人の猫はどの猫も体格がいいので、
    きっと食べ物には不自由していないのでしょうね。
    人間の残り物は困りますが
    あちらこちらにトレーに入ったカリカリが置かれているのを見ると
    地域の嫌われ者にはなっていないようなので、少しほっとします。
    でも、避妊手術はしてもらってないのでしょうね。
    見ていて複雑な気持ちになります・・・

    お母様は小康状態を保たれておられるとのこと、
    良かったですね。

  2. うるぐる | URL | -

    こんばんは
    初めまして^^
    読ませていただいて 次回につづく・・ってなっていますが
    今回の 水の嫌いなはずの猫ちゃんは さて? が 物凄く
    気になります~^^;

    それと 毛皮の映像は 心してみました!
    一生を元気に暮らせる動物もいれば こうして 命を
    絶たれてしまう生き物もいる。 しかも 悲惨に。
    毛皮って 持っていなく深く考えた事なかったのですが 
    買ってはいけないものだと強く感じました。

    勝手にリンク貼らせていただきました。

  3. Mimy | URL | -

    wabiさんの優しくて強い精神に心打たれました。
    いつも野良さんのこと、動物達のこと、ありがとうございます。
    感謝の気持ちで一杯です。

    お母様、少しお元気になられて良かったですねi-260


  4. 猫ラブ | URL | Qi8cNrCA

    えらいですね~

    えらいですね~。なかなかできないことです。
    でもちょっと気になったのが、猫缶です。
    うちにも以前猫がいたのですが、猫缶はちょっと間違うとすごく手や指を切ってしまい、猫缶をそのまま道端において、猫ちゃんになめさせるのは、猫ちゃんが指や口の中をきってしまう危険があるかもしれないとおもいました。

    できたら、猫缶はおかずに、トレイにあけたら、そのままさげてしまうのがいいのではないでしょうか。

    毛皮のこと、教えてくれてありがとうございます。
    友達にも知らせていこうと思います。

  5. 茶チャママ | URL | Wb6Olee.

    前から怒りが湧いてます

    猫缶ホッとしました
    私の車にも猫用犬用しっかり積んであります
    出来るだけ最低限避妊をしていこうと思ってますが・・・
    財布と相談です
    半額弁当にニャンワン優先世界の我が家^^
    出来ることしか出来ません

  6. uritake | URL | -

    動画を拝見しました

    見ましたすごいですね、うーん何とも?言いようがないですね。

  7. ネコたんママ | URL | SLJ/JtpM

    人間はなんて愚かなんでしょう・・・

    お久しぶりです。
    お母様、落ち着いていらっしゃるのですね。
    よかったですね。

    缶詰を食べる猫さん達の姿、少し安心しますね。
    みんな、暖かい所でおいしいご飯を食べて、
    ゆっくり眠れるといいのにね。

    動画は見られませんでした・・・
    人間の見栄やおしゃれ、暖まるために動物の毛は必要ないですよね。
    人間はなんて残酷で愚かなんでしょう。
    私はフェイクでも絶対買いません。
    毛皮を身に着けてる人を見ると、どんな神経をしてるんだろう?
    と残念な思いをします。
    こんな事なくなればいいのに。

  8. maru | URL | GkbuMSm.

    wabiさまこんばんは。
    毛皮の実態を記事にしてくださりありがとうございます。
    微力ながら、私も周囲にアピールし続けています。
    オシャレが好きでも現実を知れば『心ある人』なら買わないはずです。
    こんな忌まわしいものが早くなくなる事を心から願っています。

    眼ぢからの強い子とオッドアイの白猫兄弟、可愛いです^^

  9. wabi | URL | -

    いちこさんへ

    おっしゃるように、食事の中身には大いに問題がありますが、
    野良たちの様子から、少なくとも量は充足しているようです。

    偶然会ったエサ遣りさんの話では、数軒の家でエサを与えているそうです。
    個々に可愛がっているのは理解出来たのですが、空缶の片付け、糞の始末など
    杜撰なところが目立ってしまい、私も複雑な気持ちを抱きました。
    また猫風邪などの症状を見せている子もいて、不妊手術も含めた治療は行われていないようです。

    母へのお気遣い、ありがとうございます。

  10. wabi | URL | -

    うるぐるさんへ

    眼ぢからの強い仔猫の行動は、実際に見ていたときはひじょうに不可解でした。
    最初は水面に浮かぶ枯葉に戯れようとしているのかと思いましたが、違っていました。
    記事に記したように、喉が渇いていたのです。
    そのことが分かると、仔猫の仕草が健気で切なくなりました。

    毛皮の問題は少しずつ国民にも浸透しているようですが、まだ多くの人が実態を知らずにいます。
    私も毛皮製品は高価な毛皮のコートが念頭にあり、安価なコートのフードなどに付いている毛皮が、
    リアルファーだとは思っていませんでした。
    そして、あんな残虐な方法で作ることも‥‥。

  11. wabi | URL | -

    Mimyさんへ

    私はそんな賛辞を受けるようなニンゲンではありません。
    とくに精神は病のせいもあり、甚だ脆弱で不健全な状態ですから。
    ただ病に罹ってから、命の尊さを強く感じるようになりました。
    それも小さくて儚い命のことを。
    しかし、その想いが強すぎると、自分自身の命を軽んじる弊害もでてきますが‥‥。

    母へのお気遣い、ありがとうございます。

  12. wabi | URL | -

    猫ラブさんへ

    こんな褒められ方をされた経験がなかったので、少々戸惑っています。

    猫缶の件、ご教示いただきありがとうございます。
    猫が缶で怪我をするのを目撃したことも仄聞したことも無かったので、
    ある意味盲点でした。

    日本が毛皮の大消費国だということに忸怩たる思いでいっぱいです。

  13. wabi | URL | -

    茶チャママさんへ

    不妊手術代は地域や個々の病院でかなりの差があるのが現実です。
    私が住む湘南の街には、安価で手術をしてくれる病院があるので助かっています。
    せめて野良猫だけでも安く手術をしてくれる病院が増えることを願ってやみません。

    出来ることと出来ないことの線引は、野良とかかわる上で大切なことですね。
    そこのところを曖昧にしていると、思いもよらぬトラブルに巻き込まれることもありますし。

  14. wabi | URL | -

    uritakeさんへ

    現実から目を逸らす生き方も、一概には否定はしません。
    ただ毛皮生産は畜産などと違って、今の時代にはまったく不要なことです。
    石器時代ではありませんから‥‥。

  15. wabi | URL | -

    ネコたんママさんへ

    母へのお気遣い、ありがとうございます。

    門前エリアの野良たちが決まったねぐらを持っているかは、ついに分かりませんでした。
    私自身は、近隣民家の軒下かお寺の床下ではないかと、勝手に想像しています。

    今回紹介した動画はひじょうに残酷なシーンの連続で、観るには覚悟が必要です。
    観ることによって閲覧者にトラウマを与えることは私の本意ではありません。
    地球上でニンゲンほど酷薄な生き物はいないでしょう。
    他の動物は必要のない殺戮はしませんから。
    虚栄心を満足させるために毛皮を買うニンゲンがいるから、金のために毛皮を作るニンゲンがいる。
    おっしゃるように、私たちが出来ること、それは毛皮を買わないことしかないですね。

  16. wabi | URL | -

    maruさんへ

    毛皮を作る過程は想像を絶するおぞましさです。
    生きたまま皮を剥ぐなんて、ニンゲンは何て残酷な生き物なのだと、改めて認識しました。
    これまで毛皮を得るためにいったい何種の動物を絶滅に追いやったのか‥‥。
    今のまま反省も後悔もしなかったら、人類は早晩報いを受けて滅びるでしょう。
    でも、そのほうが地球にとっても他の動物達にとっても良いことです。
    今の人類は地球に巣食う癌細胞と言っても過言ではないですね。

    今回出会った儚く小さな命、健やかに育って欲しいと願ってやみません。

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