追跡の果てに

2014年09月23日 08:00

リンエリアの『 父親 』から話を聞き、私が海岸を離れていた10ヶ月間に起こった事件のあらましを知ることができた。

ただ、誰の子が里子に出され、誰の子が虐殺されたかなどの詳細なことは訊いていない。

なんとなれば、私がそのこと自体にさほど重要性を感じていないのが理由だ。

2匹の子が救い出され、5匹の子が殺され、4匹の子が行方不明になった事実が分かればそれでいい。生命には区別も序列もなく、みな等価だ。

それに、詳細を知ったとしても、私の感じている怒りと悲しみが和らぐことはないのだから。


湘南海岸、夕刻。
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リン親子が暮らす防砂林の中に入り名を呼ぶと、すぐにリンが姿を現した。
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リンは私の脚に身体をすり付け、歓待の意思をあらわしてくれる。
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「リン元気だったか」こうして別れたときと変わらない姿を見せてくれるとホッとする


「タクローは一緒じゃないのか」と訊いても、リンは口をつぐんだままだ。
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周囲を見まわしてもタクローの姿は見えない。


リンは腰をあげると、私をうながす様にゆっくりとした足取りで歩きはじめた。
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明らかに目的のある足の運びでリンは歩いていく。私もリンの歩調に合わせてその後を追った。


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どうやら、リンの向かっている場所はエサ場のようだ。


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「ん、水入れが替わっている。以前はガラス製の水入れだったはず、それがPP(ポリプロピレン)製になっている」


手前に転がっている食器も小さなPP製に替わっている。
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「陶器の食器はどうしたんだ?」
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「解せないな‥‥」軽いPP製の器などカラスが咥えて持っていってしまう。
以前に別のエサ場で起こった事件が脳裏をよぎり、私は嫌な感じがした。



聞き覚えのある声がしたので振りかえると、タクローがすぐ近くまで来ていた。
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「今まで植込みの中で様子をうかがっていたんだな。相変わらず用心深いヤツだ」


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タクローは私の脇を素早く走り抜けると‥‥、


母の許へ駆け寄った。
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「まだママに甘えたい年頃だもんな、お前は」
するとタクローは私の顔を睨んで鳴き声をあげた。「そんなん違うわ、ボクはもう一人前の男や」と言っている風に。



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ところが、水を飲み終えたリンが私の足許にくると‥‥、


タクローは頭を突きだしてリンに近づいてきた。
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それから鼻先をリンに擦りつけて親密なあいさつを交わす。


やはり、この子はナリは大きいがまだまだ子供なんだな、と改めて思った。
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去年の初夏に生まれた9匹の仔猫のうち、里親に引き取られたふたりを除いた7匹で生き残っているのは、このタクローのみ。


しかもそのうちの5匹はニンゲンの手によって殺害された可能性がきわめて高いのだ。
そのとき、この子はどんな光景を見てどんな声を聞いたのだろう?

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タクローはその凄惨な現場の一部始終を白濁した眼で目撃していたのかもしれない。がためにトラウマとなり警戒心の強い気質になったのではないだろうか。


『 世の中(人生)で最も悲しいことは? 』という問いには様々な答があるだろう。
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「希望をなくしたとき」「信じていた人に裏切られたとき」「孤絶感に陥ったとき」など‥‥。
そのなかでも、殆んどの人が経験する「愛する者を亡くしたとき」が答として一番多いと推測される。



なかんずく、身内の死、それも順序をたがえて子供に先立たれた親の悲しみは想像を絶する。
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私自身も不慮の事故で実弟を亡くしているが、両親の愁嘆ぶりは息子の私の目から見てもすさまじいものだった。


私にしてもショックのあまり五感が鈍麻し、とりわけ味覚は完全に麻痺して、何を口に入れても砂を食むごとくまったく味がしなかった。
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猫とて親子愛や兄弟愛は持っているはず。リンやタクローは心の深い領域に、我々ニンゲンとは違ったかたちでその悲しみを仕舞いこんでいる気がしてならない。


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タクローは大きく伸びをすると、悠然とした足取りで近づいてきた。


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そして空っぽの食器に鼻先を突っ込んで匂いを嗅ぐ。何とも分かりやすい要求の仕方に私は思わず苦笑した。


が、タクローは何も訴えず、再び母の許へと戻っていった。
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そうして、その場に佇んでいるリンに近づいて顔をのぞきこむ。
「かあさん、お腹減っちゃったから、ボクに代わってあのおっさんに食べ物ねだってよ」とでも言っているのだろうか。



だがそんな哀願にリンは応えようとしない。「一人前の男なら自分ではっきり言いなさい」と突っぱねたようだ。
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意を決するようにまた大きな伸びをしてタクローは近づいてきたが、私の目を見ようともせず、口ごもっている。


そして再び母の側へ引きあげていく。「意外と気弱で優柔不断なヤツだな」
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「なあ、そんな離れたところでモゴモゴ呟いても通じないよ」


と、私の言ったことが分かったのか、タクローは三度(みたび)私の方へ歩を進めてきた。
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「やっと私に直接自分の欲求を訴える気になったのか」


だがタクローは、私から目をそらし、あさっての方にむかって大きな鳴き声をあげる。
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「タクロー、話す時は相手の目を見ないと、ちゃんと言いたいことが伝わらないぞ」


するとタクローは、顔をあげて私の顔を真正面から直視した。
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そうして、ようやく “ 吠えた ” 。
「お腹減ってんだから、なんか持ってたら、早く食べさせてよーーッ」と言っていることくらい、私にも理解できる。



「でもなタクロー、なにも勿体ぶって食べ物をあげないんじゃなくて、ちゃんとした理由があるんだ」
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そう言っても、タクローは怪訝な面持ちで私の顔を凝視するばかりだ。


私はこのエリアの『 父親 』を待っていた。そのために、先日会ったときと同じ時間帯に海岸にやってきたのだ。
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私がリンとタクローに食事を与えないのは、その『 父親 』たちへの気兼ねがあるからだ。


エサ遣りさんたちは毎日海岸猫の為にエリアに通っている、言わば『 正規メンバー 』だ。
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それに比して私はときおり訪れる、言わば『 ビジター 』であり、そのビジターが先に食事を与えては正規メンバーに無駄足をふませかねない。


先日二人の『 父親 』から聞いた話だと、給餌するのは朝が多いと知ったが、この時刻に来ることもあると言っていた。
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だから『 父親 』が、この時刻に来ないことを確認するまで食事を与えるのを留保しているのだ。


タクローは私への訴えを諦めたのか、動きすぎて疲れたのか、大きな身体をゴロリと横たえた。
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私はときどき思う。猫はニンゲンが好む己の仕草や表情を知っていて、それを最大限に利用しているのではと。


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猫はニンゲンに媚びないし、服従もしない。それは彼らのDNAに組込まれた特性であり進化で得た習性だ。


ニンゲンと暮らし始めて数千年を経ている猫だが、その間に、神と崇められたり、魔女の手先と迫害されたり、まさに天国と地獄を味わってきた。
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だからじゃないだろうか、ニンゲンと不即不離な微妙な距離をとるようになったのは。


そして、猫はニンゲンへ恭順の意を示さない代わりに、ニンゲンを魅了する表情や仕草を体得したのかもしれない。
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未だに懐かないタクローにしても、こういう仕草をされると、我知らず笑みがこぼれてしまう。


リンとタクローは私の意図を理解したのか、西陽を浴びながら各々の場所にとどまっている。
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防砂ネットで隔てられた外と内では、なんだか時間の進み方が違うように感じることがある。
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私はこの時間が好きだ。海岸猫が寛いでいる平穏な情景を眺めながら過ごすこの瞬間が。


私はエサ場を離れて海岸沿いの道に出た。『 父親 』が来るとすれば、そろそろ到着する時刻だから、見通しのいい道路で待とうと思ったのだ。
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強い海風に身をさらし、ときおり荒れた海を眺めながら待っていたが、先日と同時刻になっても『 父親 』はやって来なかった。


防砂林に戻ると、すぐにリンが現れたので、持っていた猫缶を与えることにした。
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タクローの姿は見えない。まだエサ場近くで『 父親 』を待っているのだろうか。


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リンは相変わらず食欲旺盛で、脇目もふらず猫缶を頬張る。


そのリンが耳を傾けいきなり顔をあげた。何かの気配を感じ取ったようだ。
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見ると、タクローが防砂林の奥から姿を現した。猫缶の匂いを嗅ぎつけたのだろう。


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母から猫缶を強引に奪ったタクローだったが、トレイの中には欠片しか残っていない。


私の顔を見あげて「ボクにも猫缶おくれよー」と訴えるタクロー。
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そこで新たなトレイに猫缶を盛ってタクローに与え、リンのトレイにも少し足してやった。


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よほど腹が減っていたのか、タクローは猫缶をあまり咀嚼せずに飲み込むように食べる。


自分の猫缶を平らげたリンが、タクローのトレイに近づく。
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そして小さなトレイに無理やり鼻先を突っこんで、タクローの猫缶を食べはじめた。


見かねて新たに猫缶を開けトレイに盛ると、ふたり揃ってガツガツと食べつづける。
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どうやらふたりとも、この日の午後は食事を貰っていないようだ。エサ遣りさんにもとうぜん都合があり、来られない日があるのだろう。この日がそんな日だったのかもしれない。


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猫缶はもういいのか、リンは用意した新鮮な水をたっぷりと飲む。


そしてタクローを残して、その場を立ち去っていった。
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どこへ向かうのか、私はファインダー越しにリンの姿を追った。
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リンは防砂林と道路を隔てるポールの側で立ち止まり、辺りの様子をうかがっている。
「エリアを離れるつもりだ」私はそう確信した。



果たして、リンは周りに見知らぬニンゲンがいないのを確かめると、道路へ足を踏み入れた。
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そして、リンはそのままためらわずに最短距離で道路を横切っていく。私もリンの後を追って道路を渡った。


実はリンを追跡するのは、今回で三度目になる。
一度目は途中で見失って追跡劇は失敗に終わった。
(詳細は【不可解な行動】を参照)

それで、一度目の追跡の2週間後、私はエリアの外へ出たリンの後を再び追ったのだ。
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一度目と同じようにブルーシートのテントに差しかかると、リンはそのテントを回りこんで、そのまま同じ方向へ歩いていった。
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灌木が茂るそのルートを避けて、私はテントの反対側から回りこむことにした。
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ところが、人が住んでいないと思っていたテントから、50代とおぼしき長身の男性が出てきていきなり「ここから出て行け!」と胴間声をあげたのだ。

私は「猫を捜している」と説明したのだが、男はまったく取り合わず「俺は猫が嫌いだ。出て行かないと警察を呼ぶぞ!」と怒鳴り返してきた。

この男の言動は怪しく、なぜか小冊子を破りながら、さらに意味の分からないことを言い募る。
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防砂林を不法に占拠しているニンゲンが「警察を呼ぶ」とは筋違いも甚だしい噴飯ものの言いぐさだが、私が引っかかったのは「猫が嫌いだ」という台詞だ。

この挙動不審なホームレスの男が、リンや他の海岸猫を虐待する可能性が考えられた。

そこで私は、声音を半オクターブほど低くし、その男を恫喝した。
「面白い、警察を呼ぶなら呼んでみろ!だが、◯%☆※◎*したら☆◯+※だぞ!」

(何を言ったか記憶が曖昧だし、ここに書き記すと字数が多くなるので、敢えて内容は省略する)

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すると男は、私の剣幕を見て驚いたのか、にわかに態度を軟化させ、膝を抱えてその場に座りこむと反省の弁を弱々しい声で述べはじめた。

で、結局私は「猫をイジめない」「私が再びここへ来ても干渉しない」という言質を取った。

しかし、この思いがけないトラブルのせいで再びリンを見失い、二度目の追跡も失敗に終わったのだ。


というわけで、今回が三度目の追跡になる。

リンは今回もまったく同じルートを通って、防砂林の奥へ歩を進めていく。
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やがて、くだんのブルーシートのテントが視界に入ってきた。
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今までと違い、リンはテントの少し手前で進路を右にとった。
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そして灌木が疎らな場所を通って、さらに防砂林の奥へと進んでいく。
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私は防砂林のそこかしこに張られている蜘蛛の巣を避けながら、リンの後を追った。


やがて灌木が繁茂している場所に到着すると、リンは独特の鳴き声を断続的に発する。
「この鳴き方は‥‥」聞き覚えのあるリンの鳴き声を耳にした私は息を呑んだ。

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果たして‥‥、灌木の間から仔猫が顔を出した。「リンは子供を産んでいたのか!」


サバ白の被毛を持つ仔猫は、カメラを構えた私の顔を身じろぎしないで凝視している。
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目を凝らしてよく見ると、手前に黒い仔猫がいて、やはり興味深けに私を見つめていた。
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「もしかしたら、この子たちはニンゲンの姿を目にしたのは生まれて初めてかもしれない」
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撮影はできなかったが、灌木の奥に黒シロの仔猫も確認できた。
「リンの子供は、いったい何匹いるんだ?」



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さらにキジトラ柄の仔猫も姿を現した。


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このサバ白の仔猫は好奇心が強い性格のようで、自ら私の方へ一歩踏みだした。


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が、すぐに他の兄弟たちの後を追って、灌木の奥へ入っていった。
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恐らくリンは仔猫たちに授乳をしているのだろう。


と、またサバ白の子が顔を出した。
猫は生来好奇心旺盛な動物だが、やはりこの子はことさら物見高い性分のようだ。

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エリアに戻ると、タクローが所在なげにぽつねんとしていた。
この子だってまだ1歳にもなっていない、言わば子供であって、母の愛情を求めている。

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しかし、リンが新たな子供を産んだ今となっては、長男としての役割をはたさなくてはならない。
「なかなか辛い立場だなタクロー、同情するよ、おなじ長男として」



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10ヵ月ぶりに会ったリンの食欲が異常なほど旺盛なのも、子育て中だと分かれば納得できる。
授乳期間の母猫が必要とする食事量は、通常時の約2~3倍にもなると言われているからだ。

この日確認できた4匹の仔猫は生後1~2ヵ月くらいだろう、と思われる。
先日会った『 父親 』からは、リンが子供を産んだという話は聞いていなかった。


動物の子供は例外無く可愛い。
がしかし、野良猫の仔猫だけは手放しで可愛いと思えない自分がいる。


なんとなれば、彼らが野に暮らすかぎり未来に光明は見えず、生命を脅かす外敵や伝染病と常に闘わなければならないからだ

そして最も悲運なのは、自分の過酷な境遇を知るすべがないことである。



* * * * * * * * * * * * * *



この日目撃したリンの4匹の子供たちが、現在『 非常識な里親募集 』と題した告知で里親さんを募集している仔猫です。

記事と告知にタイムラグが生じたのは、ひとえに更新が滞っているのが原因であり、忸怩たる思いを抱いています。



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【告知】


もうひとつの里親募集

「大阪 Cat Story」の管理人Kiryuさんが、保護した2匹の仔猫の里親さんを募集しています。

CIMG8011 (3)
生後3か月ほどの雌。


CIMG8022 (2)
こちらも生後3か月ほどの雌。

詳細は『 大阪 Cat Story 』へ。

ご協力よろしくお願いします。


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【緊急告知】


非常識な里親募集

2014年5月の中旬に防砂林の中で遭遇した4匹の仔猫です。

今現在は “ 防砂林に住まう人 ” の庇護のもと元気に育っています。

(仔猫の情報:4月生まれ 詳しい情報が入り次第ブログで発表いたします)
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(被毛:サバ白)性別:オス

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(被毛:黒)

しかし保護できる程には人に馴れていないので、いつ譲渡できるかは確約できません。

本来なら保護して検査を受けさせて、それから里親さんを募集するのですが、それが出来ない事情があり、非常識だと誹りを受けるのを覚悟でこの告知を書いています。

私としては、様々な危険が潜んでいる防砂林から出来るだけ早くこの子たちを救い出したい一心なのです。

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(被毛:キジトラ)

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(被毛:黒シロ)

加えて、里親さんが決定した際、保護から譲渡まで一時的に預かっていただける方も募集いたします。

以上の条件を承知のうえで里親を希望される方は左カラムのメールフォームに件名『 里親希望 』と記してメール送信してください。

一時預かりが出来る方は件名『 一時預かり可能 』、この件についてもっとお知りになりた方、興味のある方は件名『 子猫について 』としてメールしてください。

また、ブログやTwitter等で拡散していただければ幸甚です。

宜しくお願いいたします。


メールフォームが使い難い場合は下記のメールアドレスに直接連絡してください。
※連絡先アドレス:nekoniikasarete★gmail.com

                   送信の際は★を@に変えてください。

鍵コメでの問い合わせも可能です。(その場合はURLかメアドを明記してください)

管理人:wabi



《2014年7月8日付 最新情報》

今年の初め、近くのエリアに棲んでいた仔猫2匹が吐瀉物を吐いて突然死したそうです。
また同じエリアの仔猫3匹の傷だらけの遺骸が、水路に遺棄されているのを発見しました。


そしてごく最近、この4匹の仔猫が棲むエリアのエサ場近くに毒物が混入されたカリカリが置かれていました。
今回は世話をする人が気付いて取り除いたので大事には至りませんでした。


ここにも鬼畜がいるのです。それも卑劣で狡猾な鬼畜が‥‥。

仔猫たちは、こんな極めて剣呑な状況に置かれているのです。

対策として、世話をしてくれている人達と協力して見回りを強化するつもりです。
そして、犯行現場を目撃したらカメラで証拠写真を撮影して警察に通報します。



《2014年7月15日付 最新情報》

7月9日、また仔猫が毒エサの犠牲になりました。

写真の子たちではなく、生後1ヵ月くらいの仔猫で、状況から新たに遺棄された可能性が高いと思われます。

発見した “ 防砂林に住まう人 ” が埋葬してくれました。

その人が言うには毒物を全て取り除けなかったのかもしれないとのことですが、新たに置かれた可能性も否定できません。


《2014年7月23日付 最新情報》

私自身6月初めより調子を落とし、それまでのように頻繁に海岸へ行けない状態になり、現在に至っています。

そして体が動くときは、4匹の仔猫たちの様子を見に行っているのですが、なかなか全員の姿を確認することが出来ません。

がために、仔猫たちの世話をしてくれている “ 防砂林に住まう人 ” に話を訊いて、仔猫らの近況を知ることも多いのです。

最新情報として、7月21日の朝に4匹の仔猫たちの元気な姿を確認出来たことをご報告いたします。


《2014年8月4日付 最新情報》

その後、2度仔猫たちが棲むエリアに様子を見に行きましたが、全員の姿を確認することが出来ませんでした。

ただ、世話をする “ 防砂林に住まう人 ” から4匹とも元気でいることを聞いていました。

そして7月31日の夕刻、私自身の眼で4匹の仔猫が防砂林の中で元気で遊んでいる姿を見ることが出来ました。

さらに “ 防砂林に住まう人 ” の言うには、4匹とも女の子である可能性が高いとのことです。


《2014年8月24日付 最新情報》

拡散記事を見た県内在住の方から、黒シロの子を預かり、医療ケア・里親募集・譲渡まで対応することが可能です、という申し入れがありました。

この方は過去にも野良猫を保護し里親さんを募って譲渡した経験があり、私としては異存はなく、この方へお任せする方向で動き始めます。

世話をしてくれている “ 防砂林に住まう人 ” にもその旨を伝えて了解を得ました。

残る案件は『捕獲』なのですが、 “ 防砂林に住まう人 ” の話だと、日毎に馴れてきているが、まだ捕獲できる状態ではない、とのことでした。

なので、焦らず徐々に距離をつめていき、かつ周到な準備をして一回で成功させたいと思っています。

私としては残りの3匹の子たちにも朗報がもたらされることを祈るばかりです。


《2014年10月12日付 最新情報》

拡散記事を見た県内在住の方から、黒猫の子の里親になりたいとの申し入れがありました。

里親募集の記事を見た、以前からの知り合いの女性から「自分は既に8匹の野良猫を保護しているからこれ以上は増やせないが、知り合いに尋ねたところ黒猫の子を引き取りたいと言っています」という電話連絡をいただきました。

ただ捕獲の手段に苦慮しています。

捕獲器の使用も考えているのですが、失敗すると用心してさらに捕獲しづらくなるのと、ほかの子が学習して捕獲器を忌避するようになりはしないかと懸念しているからです。

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コメント

  1. おこちゃん | URL | -

    こんにちは~。

    リンちゃん、タクロー君の餌まで食べたと思ったら、今日は、4ニャンコ達の登場だったのですね~!!
    タクロー君はチョット寂し気な気がしますが、、。
    やっと、4ニャンコ達に逢えました。。
    それぞれの、今後を思うと、里親さんが見つかるとイイんですが、今はもうお乳も飲まなくなって、大きくなってきたのかな?
    それにしても、テントの住人の言い分は随分勝手でしたね。
    wabiさんに、暴力ふるったらどうしようかと思いました。

  2. まさっぴいの夫 | URL | -

    こんばんは!

    ちょっとイレギュラーな里親募集には
    こういう背景があったのですね。
    なるほどという思いです。

    りんちゃんがしっかり毎日の食事をくれる相手
    を確保し、あんなわかりにくい場所で子ネコを
    育てていてもやっぱり危険で保護してあげなければ
    ならないのですね。

  3. そばかすクルル | URL | -

    タクローくん、今回は頑張ったんですね〜☆
    wabiさんとの距離も縮まって来て、これからが楽しみです。

    確かに、野良ちゃんたちにとって天国と地獄は背中合わせですよね。
    こんなに可愛い子達なのに、何故傷つけるのか理解出来ません。
    最近、大田区でも酷い事件がありました。
    事件として扱ってもらえたのは、殺された猫の数が多かったからでしょうか。
    どうやっても猫の受難は続きそうで、気が滅入ります。
    でも、不審なテント住人と闘って下さったwabiさんに感謝感激です。

  4. ケン | URL | -

    wabiさん、こんにちは。

    リンが子供を産んでたとは。。。
    やはり、避妊手術をするのが良い解決方法なのですけれども。
    このままでは、タクローとの間にも、子供ができるかも知れません。
    いや、すでに、この子供たちは、タクローの血が入ってるかも知れませんね。

  5. orenge | URL | iAn.OV3g

    こんにちは

    可愛い子供たちですねー。

    仔猫の可愛らしさは他の物を寄せ付けませんね。^^
    こんな子に惨たらしいことが出来る人間はヒトではありませんね。


    テントに暮らす人も自分の生活を護る為でしょうが話せば
    わかると思うのですが・・・色々なことがありすぎたのでしょうね。
    wabiさんのように云う人はいなくて怒鳴れば何とかなっていたのでしょうか?

    どちらにしても何事もなくてよかったです。

    先日のあの恐ろしい事件の後故にこの子達の先が心配ですね。
    どうか何事もなく過ぎることを願います。
    この子達とリンちゃんにも避妊が出来たらいいですね。
    むずかしいとは思いますが。。。

    wabiさんもお体に気を付けて無理をせずにかかわっていただきたいと思います。
    この物語がパッピーエンドになりますように。。。

  6. barusa39 | URL | TY.N/4k.

    こんばんわ
    新たな仔猫さんたちが居たのですね~
    何だか複雑な思いです・・・
    安全な暮らしが出来ると良いのですが
    それが心配ですね・・・

  7. wabi | URL | -

    おこちゃんさんへ

    そうです、里親募集をしている子たちはリンの子供です。
    三度目の追跡でやっと会うことができました。
    エリアを離れることが度々あり、予感めいたものはあったのですが、
    『父親』から聞いていなかったので驚きました。

    里親募集記事には4月生まれと記していますが、3月の後半の可能性もあります。
    私が海岸を離れていたときに出産したとはいえ、迂闊でした。

    例のテントの住人の出現にも驚きました。
    ゴミが散乱しテントも崩れている有り様でしたから、人が住んでいるとは
    思いもしませんでしたから。

  8. wabi | URL | -

    まさっぴいの夫さんへ

    リンは私が海岸を離れていた時期に子供を産んでいたのです。
    だから私も気づくのが遅れました。

    久しぶりに会った時に、「リンのヤツやけに食欲があるなぁ」
    なんて訝しく思ったくらいで、まったくドジな話です。

    防砂林には仔猫を餌食にする動物がたくさんいます。
    上空からはカラスやトンビに狙われるし、地上にはタヌキやアライグマもいますから。
    そして残酷なニンゲンも‥‥。

  9. wabi | URL | -

    そばかすクルルさんへ

    タクローは体全体を駆使して感情を表します。
    未だに警戒心を解いてくれませんが、時折仰向けになってこちらを様子を窺う仕草を見せます。
    私にとってはそれだけで十分愛しく思えるのです。

    小動物を虐殺する犯罪は罰を重くしても無くなりませんね。
    それどころか、弱者をイジメることしか出来ない卑劣なニンゲンが増えているのが現状です。
    小動物を虐殺するのに飽いたら、次は幼い子供を標的にする‥‥。
    そんな悪しき連鎖から生じる事件も場所を選ばず起こっています。
    哀しく、遣り切れないですね。

  10. wabi | URL | -

    ケンさんへ

    私と10ヵ月振りに会ったとき、リンは既に子供を産んでいたのです。
    なので、気付くのが遅れました。

    里親募集の記事には4月生まれと書きましたが、3月の可能性もあり、
    そこから逆算すると、タクローが発情するには2,3ヵ月ほど早いですね。
    ですから4匹の仔猫にタクローは関係していないと思われます。

  11. wabi | URL | -

    orengeさんへ

    猫に限らず動物の子供は可愛いですね。
    そのなかでも人と身近な関係にある、犬や猫の子供の可愛さは特別だと思います。

    防砂林に住む人達は総じて猫に優しく、どちらかというと庇護者の立場にいるのですが、
    このテントに住む人は違っていました。
    私がいくら説明しても取り合わず、そのうちに意味不明な言葉で怒鳴りだしたので、
    恐怖すら覚えました。
    今は仔猫たちもこのエリアを離れ別の場所へ移りました。

    リンと仔猫たちが気になっているのですが、あることが原因で、最近海岸へ行けない日が続いています。
    立ち直るまでに今しばらくかかりそうです。

    お気遣い、ありがとうございます。

  12. wabi | URL | -

    barusa39さんへ

    違う日の写真も混じっているので、分かり難かったと思いますが、
    この仔猫たちは、拡散記事を掲載していただいている里親募集している子です。
    つまり『 新たな仔猫 』ではありません。

    このような事態になったのは、現実の時間に更新が追い付いていないのが原因です。
    申し訳ありません。

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